悪魔戦闘
「佐々木・京夜。今から、お前が犯した罪を言い渡す」
俺が魔力吸収機となってから、2週間程過ぎた頃。
拘束されている俺の前では、口調が丁寧そうな割には軽薄そうな男が、スラスラと俺の犯した罪を言い渡している。
はっきり言って、俺は何の罪も犯していない。強いて言うなら、天使3人組を懲らしめたぐらいである。
それがなんだ。濡れ衣じゃねえか、こんなの。
聞いてる限りは殺人だの強盗だの、した覚えのない罪が次々と読み上げられていく。
周りには目つきの鋭い天使達が、俺を睨んでいた。
俺の前には、ゼウスも居る。
やがて言い終わったのか、文を読み上げていた男は一礼すると、足早に俺の前から去っていった。
「さて。佐々木・京夜。今からお前を処刑する――――――と、言いたいところではあるが」
ゼウスはそこまで言うと、パチンと指を鳴らした。
すると手錠を掛けられたレインの姿が現れ、その周りには数人の天使がいる。
「京夜さん……」
目に涙を浮かべたレインは天使達に連れられ、俺の正面にある椅子に座った。
……何が始まるのだろうか。
「まずは、天使レイン。お前にもこの際、死んでもらおう。佐々木・京夜と絡んでいたこともあり、貴様はこの私、神王ゼウスを冒涜した。―――――お前も、もはや用済みだ」
そう言ってゼウスは、他の天使達から銃を受け取ると、それをレインに向けて構えた。
……。
「ではっ―――――――死ね」
そうゼウスが言うと同時に、銃の引き金が引かれた。
しかし、レインが血に染まることはない。
なぜなら――――――俺がレインの前に飛び込んだからだ。
俺の体からはポタポタと血が流れ、同時に腹部に激痛が走る。
「……貴ッ……様アアァ!!!」
少し遅れてゼウスの怒りの声が響き、再び銃が撃たれる。
しかし俺はそれをかわすと、レインの元まで走っていった。
手に繋がれている鎖が邪魔だが、気にしてもいられない。
「お前、危険だ。早く逃げろ」
「う……あ……」
「おい、早くしろ……って」
俺は次々と飛んでくる短剣やピストルをかわすと、「悪魔」を念じて走り出した。




