覚醒
「佐々木・京夜。お前には明日、死んでもらおう。今日中に必要魔力を吸い取れば、お前はもはや用済みだ」
「…………」
薄暗い部屋の中、今日の魔力吸収係――――――アマテラスが俺に向かってそう言い放つ。
もう俺は死んでるのかと思ってた。前にアークとかに締め上げられて死にそうになっていたのが、今では懐かしいものに思える。
――――――だがどうやら俺は、明日完全に死ぬらしい。
そうか。魔力はもう殆ど吸収し終えたのか。一体どれだけの量を吸い取られたんだろうか。
そんな事を考えながらも、魔力を吸い取られ、俺の意識はどんどん遠のいていく。
……だが。
意識が遠のいていく、この瞬間。この瞬間で、アイツは現れるのだ。
遠のいていく意識の中、俺はゆっくりとアイツを想像する。
■
『……また会ったな、人間』
「偶然みたいに言いやがって。俺がお前を想像したんだからな」
『……ほう。その事なんだが、実は私も最近は一人で行動できるようになってきているみたいでね』
「……?」
『つまり、だ。お前に想像されるとここに現れていた私だが、自分の意志で動ける様になってきたみたいでね。お前の脳内だけでなく、何処へでも行ける様になってきている』
「へえ。よく分からんが、そりゃよかったな」
『……。……それよりも、人間。お前は明日、殺されるようだな』
「ああ。そうらしいな」
『……なぜそんなに落ち着いている?』
「へ? ……いや……なんていうか、考えるのがもう疲れたからかな」
『……そうか。だったら、私の存在をいい加減認めろ。そうすることで、全ての問題が解決する』
「……は? 何言ってんだ、お前」
『そのままの意味だ。お前はまだ、自分が正統な人間であると思い込んでいるだろう。……私の存在も、気に留めずに』
「お前が何なのか分かんねえなら、認めるもクソもねえじゃねえか」
『お前、いい加減気付いているだろう? 私が—――――何なのか』
「……やめてくれ……」
『いい加減、楽になれ。お前だって楽は好きだろう? お前を見ていたから分かる』
「クソッ……クソォッ……」
『いいか、人間。私の正体は―――――――――』




