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悪魔と人間

 どのくらいの間、そこにいただろうか。

 上もなければ、下もない。右もなければ、左もない。

 ――――――暗闇である。



『……人間。お前には、私が何だかわかるか?』


「……知るかよ。何なんだよ、お前」


『そうかそうか。知らないのであればいい。……随分と愚かな人間と思ったまででな』


「お前に何が分かるってんだよ。こっちの事を知りもしないくせに」


『はっはっは。お前が思ってるより、私はずっと前からお前を見てきているぞ。引き籠って、自堕落な日々を送っていたという事も、全て知っている』


「……お前、ホント何なんだよッ……! どっか行けよッ……!」


『お前もまた随分と妙な事を口走るものだな。……だって私は、お前自身が作り出しているのだぞ?』


「は? ……何言ってやがる」


『いやいや、本当のことを言ったまでなんだがな。……私は、お前自身が作り出した、『幻影』なのだよ』


「……お前なんか作ったところで、一体俺に何の得があるってんだよ」


『それはお前自身が一番よく知っているハズだぞ? 得も何もない。現実が嫌になったためにお前は私を作り出した。そうだろう?』


「…………」


『どうやら図星の様だな。……あの天使の言っていたことも少しは考えたか? お前は、なぜ生きている? ……確かそんな事を訊かれたハズだ』


「分からねえよ、そんなの。……じゃあお前は、なんで生きてるってんだ」


『おや? 気付かないか? さっきも言っただろう、『現実が嫌になったためにお前は私を作り出した』。……要するに私は、お前の現実逃避の材料となったワケだ』


「……嫌な言い方するんだな、お前」


『そうか。お前にはこの言い方が酷く聞こえるか。……だが人間に比べれば、私なんてまだ優しい方だ。人間……お前も、一応はその中に入っているんじゃないのか?』


「…………」


『……。おっと、どうやら時間みたいだ。私はそろそろ行かなくてはね。……また次の日、お会いしましょう』



「……ああ、また」



『ええ』


 

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