天界の悲劇
一体どれだけの時間が経っていたのだろうか。
目を覚ますと―――――まず、周りの風景に目を疑いたくなる。
ありえない程、「白」一色で染まっている世界。建物も地面も空も、全て白で塗りつくされている。
ここまで白に恐怖を感じることがあっただろうか。ここまで白いと、逆に不安になってくる。
俺が目を開け前を見ると、そこにはやたらとデカい男が立っていた。
流石に人間は白ではないが、その男はどこかただ者ではないオーラを感じる。
「――――佐々木・京夜。ようこそ天国へ。私はこの世界管理の最高責任者でもあり、神でもある―――――ゼウスと言う者だ」
はあ、ゼウス。そうですかそうですか。
どうやらコイツが神様らしい。てかデカいしキモイしとっとと失せていただきたいところだ。
俺はイライラしながら神様に詰め寄ると、早速文句を言い始める。
「おい、これはどういうことだ……どういうことですか。死刑とは、なんですか? 僕が何か過ちを犯しましたか?」
「ほう。人間ごときが神に随分と偉そうな口を利くものだな。そのような言い分をしている時点で、死刑確定だな」
「ざけんな」
敬語で接する必要もないと判断した俺は、すぐにタメ口で言い返した。
は? コイツが神様? 神様ってのは、もっと穏やかで、優しい性格をした人のことを言うと思うんだが。
それがなんだ。偉そうな口を利いただけで死刑? ざけんじゃねえ。
「おいおい、それ以上言うとお前の命は無いぞ? 神と話しているという自覚はないのか?」
「はっ、誰がお前みたいな奴―――――がっ!?」
突如襲って来た頭痛に、俺はたまらず崩れ落ちる。
くっそ……コイツの、仕業か。
「いい加減にしろ。大体お前は何なのだ、ロクな死に方もしないで迷惑ばかりかけおって」
「……俺だって、死にたくて死んだわけじゃないんですけど。しかも、俺は一回地獄に行って転生させられたんですけど?」
「……ほう」
俺がそう言うと、急にゼウスの瞳が鋭いものとなった。
何なんだよ、ホントに。ちゃんと敬語で接したハズだぞ。
俺がそう思っていると、ゼウスはパチンと指を鳴らした。
するとどこからか手下みたいなのが現れ、俺の体を持ち上げていく。
「お、おい! 何すんだよ!」
「……取りあえずお前は、様子を見ることにする。なにもすぐに死刑にはしない」
……なんだというのだ、全く。
考えるのが疲れた俺は、されるがままに別の場所へと運ばれていた。
はあ、もうなんか嫌になって来たわ。悪魔化でもしてコイツら殺そうかな。
そんな事を考えながら、俺は眠るべく目を瞑った――――――――




