天界召喚
「がっ……!? はっ……!?」
『……しばらくそうしていろ。今迎えに行ってやる』
そう聞こえたかと思うと、俺の頭痛はどんどんと酷くなっていった。
ダ……メ、だ。喋れない。
「き、京夜さん! 大丈夫ですか!?」
「くそっ……アイツらっ……!」
皆が俺に駆け寄ってくるのが分かったが、今の俺はそんなの気にしていられなかった。
とにかく頭が痛い。今にも破裂しそうなぐらいだ。
俺が痛む頭を手で押さえていると――――――突然、巨大な魔法陣が現れる。
「佐々木・京夜。あなたには―――――死刑宣告が天界により告げられている。今すぐにでも天界に戻るぞ」
「ふざけるなっ!! 誰がお前の言う事なんざ聞くかっ!」
コハクのその声と同時に、俺以外の全員が天使に襲い掛かる。
ダメだ、行くなと言いたかったが―――――俺の口からは情けないことに、カヒューとかすれた空気しか出なかった。
俺の予想通り、天使3人はやれやれといった表情で。
「『ラグナロク・グラビティ』」
「……!?」
アマテラスがそう呟いた瞬間、突如皆が押し潰されていくように、地面へと崩れこんだ。
ど、どうしたってんだ。何が起こってる。
そんな俺の困惑の表情に、ミカエルが。
「佐々木・京夜。お前は気付いていないと思うが、今ソイツらはとんでもない重力に襲われているぞ? ……もって、あと数分だろうな。どうする? お前が行かないというのなら、ソイツらは殺すが」
「ッ……!」
ク……ソ、コイツら。
俺が一体、何をしたっていうんだ? 死刑? 意味が分かんねえ。
しかし皆の苦しむ姿に耐えられなくなった俺は、たまらず叫ぶ。
「おい! 分かった! 分かったからやめろ! 天界とやらに、行けばいいんだろ!? 行けば!」
「……ほう」
俺が叫んだ瞬間、パッと皆の重力効果が消えた。
俺はまだ治まらない頭痛を必死に堪えながら、引き続き叫ぶ。
「死刑宣告とやらは知らねえけどなあ! ……コイツらに、危害を加えるな。これは俺からのお願いだ。……天界には、行くからよ」
何言ってんだかなあ、俺。ガラにも無いこと言いやがって。
どうしようもないバカで、ダメで、迷惑かけてばっかだった奴らを――――俺は今、必死に守ろうとしている。
人間って、何言いだすか分かんねえもんだよな。俺だってよく分かってねえもん。
ただ、コイツらを守んなきゃ、多分俺はこの先ずっと後悔する。……だから、俺は天界に行くことを選んだ。
決して、カッコつけて言っているワケではない。これは、かなり本気で言っていることだ。
「……二言はないな? では、魔法陣に入れ。天界へと召喚してやる」
ラファエルがそう言うと、突如巨大な、青い魔法陣が浮かび上がった。
これに入ればきっと俺は、天界へと行くことになるのだろう。
正直言うと、もの凄く怖い。だって天界だよ? 神様もいるかもしれないし。
それに死刑宣告とやらも何故かは知らんがされているみたいだし、きっと俺は神様や天使の方々からお説教を喰らうことになるのだろう。いや、お説教どころじゃ済まないだろうけど。
「き、京夜さん……」
案の条、皆は俺を心配そうな顔で見て来た。
――――そうか。
どうやら俺はいつの間にか、心配される存在になっていたらしい。
でも、そんな心配そうな顔で見られても、どうしようもないんだ。レインだって、助け出さなきゃいけないだろうし。
……だが。
俺に死ぬ気なんて、一つもない。
だから―――――
「……では、天界への召喚を実行する。『イレザード』」
――――ちょっとだけ待っててくれ、皆。
ここから、京夜に変化が訪れて行くことかと思います。
まだまだ意味不明な文章あるとは思いますが、温かく見守ってやっていただければ幸いです。




