バカバカバーカ!
「……。『プチ・サンダー』」
「あああああああああああ!! すみません! 分かりましたからやめてください!」
俺が無言で3人の肩に手を乗せプチ・サンダーを放つと、ライアが必死になって抵抗してきた。
なんでこう、ロクなメンバーが居ないんだろう。完璧とまでは言わないけど、もう少ししっかりして問題のない可愛い子が良かった。
いや、あのですね? ちょっとぐらいバカな方が愛嬌あって可愛らしいとは、俺も思うけどね?
ただ、バカ:8 可愛い:2ぐらいでバカの割合が多い。ちなみに可愛いはかなりおまけしてやった。
外見は可愛いとは思うんだが……やっぱバカすぎるよなあ……。
この時人は外見で判断するべきではないと、俺は改めて感じていた。
「ちょっときょーや。これは私たちのせいじゃないよ? まず説明を聞いてからにして」
「ほう。悪かったな。じゃあ一部始終を説明してくれ」
俺が続きを促すと、アークは得意げに説明してきた。
「私たちもさっきまでは一緒にこの森を歩いてたの。でも、私がラングレトラの群れが出たのを見て、森の辺り一面に上級水魔法をぶちかましたら、3人は急に震えだしてどっかに行っちゃっt」
「お前のせいじゃねえかよ!」
得意げになっているアークの頭を叩くと、俺は深くため息をついた。
ああもうなんでこうなるんだ。俺が居ないとコイツらはまともに行動できないんだろうか。
まあアイツらも道は分かってるハズだし、一応戻ることは……。
……ん? ちょっと待て。
「……なあコハク。アイツらに、地図は持たせたよな? さっきお前に渡してくれと頼んだはずなんだが」
俺は家を出る前に、コハクに地図を渡すのを頼んでいたのを思い出した。家からイデア聖街までの道と距離が示された、大事な地図だ。
いやいや。コレは流石に……。
「……すまない。さっき風に飛ばされてどっか行ってs」
「バカ! バカか!? なあ、お前らバカか!?」
アークに続いてコハクの頭を叩き、俺は必死に訴える。
いや、コハクに渡した俺にも非があると思うけどさ!? でも、コハクは一番まともな奴だし大丈夫だと思ったんだよ!
ダメだ、コイツら。もうダメだ。終わりだ。
「ちょっと京夜さん。私は何も過ちを犯してませんよ? どうです、すごいですよね!?」
「……へえ。じゃあ一つ訊きたいんだが、ピピは何処にやった?」
実はライアが家を出る前「ピピ持って歩きたいです!」と言ったので、俺はしぶしぶピピを手渡したのだ。
思えば家を出る前色んなことをコイツらに頼んだ気がする。バカだなあ、俺。
案の条、ライアは顔を引きつらせ。
「ピ……ピピは……。ラングレトラに食べらr」
「バーカ!」
バシッという小気味のいい音が、森に響いた。




