居ない3人
俺は洞窟から出ると、セギアから教えてもらった事を、改めて振り返っていた。
「天使……ねえ」
セギアにとっては、人間そのものの心が天使なんだとか。
それはあくまでたとえだろうが、なんか元気をもらった気がする。ネズミに助けられるとはなあ。
なんかどっかの昔話みたいな流れだが、それもまあ悪くない。
「んで、これどうすりゃいいんだ? 幸運を呼ぶらしいが……」
俺はセギアに貰った勾玉を見ながら呟いた。
なんだろうね、コレ。なんも説明されずに渡されちゃったけど、それは知らなくていいということなんだろうか。
キラキラしてるし、これこそゲームのアイテムみたいな感じがする。
「……ま、今知る必要もねーか」
俺はポケットに勾玉を突っ込みながら、アイツらを探しに行った。
■
「……おい、何があったんだよ」
気が生い茂る森の中。
俺はうつ伏せに倒れるライア、アーク、コハクを発見した。
「きょーや! 遅いよ! ああ……体力が……魔力ポイントが……」
「……」
……魔力ポイント? ああ、魔法に使うポイントみたいなやつか。
そういえば俺のハンターカードにもそんなの記された欄があったな。俺はちょっとしか溜まってなかったと思うけど。
……んで、コイツらには何があった。
「京夜さんが居ない間に、モンスターの襲撃があったんですよ! ラングレトラが襲ってきたんです!」
「……ラングレトラ?」
「空中飛行する、鳥型のモンスターだ」
首を傾げる俺に、コハクが親切に説明してきた。
ふーん。いいじゃないかいいじゃないか。コイツらの苦しむ姿を拝むのは俺にとっての快感でもある。
ごめんなさい。クズすぎました。嘘です。
でもトリケラもどきよりはまだマシだっただろう。数にもよるけど。
「ああもう……疲れた……」
そう呟くアークに、俺はそっと魔法を唱えてあげた。
「『ライフ・エナジー』」
「お? お、おおおおおおお!!」
俺がそう唱えた瞬間、アークの体に無数の光が現れた。回復魔法である。
まあ流石にこのままっていうのも可哀想だからな。ぐだぐだ言われるのも面倒だし。
「京夜さん! 私も!」
「京夜、頼む!」
「はあ……。『ライフ・エナジー』」
俺は二人まとめて魔法を使うと、ポケットからスキルドリンクを取り出し、グビグビと飲み始めた。
最近俺のポケットが4✕元ポケットへと化している。前に色んなもの入れ過ぎて、ポケットが破れたぐらいだ。
物の入れ過ぎには、気を付けよう。
俺がそんなことを考えていると、コハクが。
「ふう……助かったぞ京夜。それより見てくれよこの討伐数! 私たち頑張ったんだぞ!」
「おお、ホントだ。報酬貰えんじゃね?」
俺は周りに横たわっているモンスターを見ながら、そう言った。
クエスト受信していなくても、討伐依頼書がもし出ていたら報酬が貰えるんだとか。後で途中通る街のクエスト受付窓口にでも持って行ってみよう。
これだけ討伐していれば、そこそこの量の報酬がさぞかし貰えるだろう。
……しかし、今はそれよりも。
「3人共。残りの3人はどうした?」
「「「……あっ」」」
はい出ました迷子の子ネコちゃん。




