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悪魔の俺に誰か、助けを!

「お――――――――い!! セギア――――――――!! 久しぶりに来てみたぞ――――――――!!」

 俺は洞窟に入りながら、大声でそう叫んだ。

 叫んでみたら分かったが、結構声が響く。ヤベえ、迷惑だったかな。

 心配になりながらも待っていると、洞窟の中から一匹のネズミが現れ、俺に話しかけてくる。

「これはこれは京夜さんじゃないですか! お久しぶりです。セギア様に何かご用ですか?」

「ああ。少し、話をしたくてな。案内してくれるか?」

「了解です」

 俺がそう言うとそのネズミは、どんどん洞窟の奥へと進んで行った。取りあえず声は迷惑じゃなかったっぽいので安心する。

 俺はその後をついていきながら、改めて周りを見た。

 ……前ここに来た時はあまり気にしてなかったが、ものすごく狭い。俺一人ギリギリで入れるくらいだ。

 俺は幸いデブではないので良かったが、これ本当危険。岩が服に引っかかるんですけど。

 装備を気付つけてしまわないよう注意しながら、ひたすらネズミの後を追い続ける。

 所々ある岩に気をつけなければ。痛そう。


 そんな注意もむなしく俺がゴンと頭を天井にぶつけた瞬間――――――奥に、なにやら光の様な物が集まっているのが見えた。

「セギア様はあちらにおられます。どうぞ、ごゆっくりしていってください」

「あ、ども」

 俺はネズミに案内され、光のある元へと連れていかれた。

 そこに俺が向かうと――――――おお、いたいた。

「おお、京夜じゃないか。久しぶりだな」

「久しぶり……つっても大して時間経ってないと思うんだけどな。ちょっと話がしたくてここに来た」

「大歓迎だ。お前らもそうじゃろう?」

 そうセギアが言うと、周りにいたネズミたちが喧騒の雰囲気になった。

 そっかあ。なんかこんなに歓迎されてるとなると照れるを超えて泣けてくるわ。ちきしょう。

「私も暇なものでな。お前さんとはちょうど話がしたいと思っていたところだ。――――それで、話とはなんじゃ?」

「ああ、それなんだが――――――。まず、見ててくれ」

 俺は強く「悪魔」を意識して、手に力を込めた。

 すると俺の手はすぐさま悪魔の手へと変化し、爪も鋭くなっていく。

「……ほう。お前さんがその能力を見せるとは。……しかし驚いた。実際にこの目で見てみるとなると、やはりとてつもない力を感じるのう」

「だろ? いい加減どうにかしたいんだよ、この能力。たまに無意識に尻尾生えちゃってたりするしさあ」

 そう、わざわざセギアの元へ来たのは―――――この相談がしたかったからである。

 別に家からこの洞窟までもそう遠くないし、歩いて来れる距離でもあるんだが、中々行く機会が無かった。

 まあちょうどイデア聖街に行くまでの道だし、ついでにってことで。

「ふむ……。なるほどなるほど。前にも言ったが、私にはどうすることもできない。なにせネズミだからな。

 ……ただ、アドバイスならできるが、聞くかの?」

「ああ、なんでもいいから頼む」

 今は取りあえず、この能力をどうにかしたかった。

 たまーに風呂入ってたら急に頭から角生えてきたりするし、洗濯物干してたらズボン突き破って尻尾出てきたりするし。パンツ見えちゃうから非常に困る。

 セギアしか唯一の相談相手が居ないワケだし。

「まあ、まずはお前さんがその能力に慣れることが大事じゃろうな。私も本で読んだことがあるだけなので全部は信用しない方がいいだろうが、力の制限は非常に大切になってくるハズじゃ。お前さん無意識の内に能力が発動してしまっていると言ったな? ならば、まずは能力に慣れることが大事じゃろう」

「慣れ……って具体的には?」

「日頃から能力を抑えることを意識しろ、という事じゃ。まあ口で言っても伝わりにくい。まずは能力が発動しないように意識して生活してみろ」

「へえ……」

 なるほどなあ。考えたこともなかったわ。

 てかすげえなこのネズミ。なんでこんな頭いいんだよ。

「まあもう一つは、やはりお前さんをそんな風にした張本人に会うことじゃろうな。大体、そんな奴は到底人間とは思えん。お前さん、何者なんじゃ?」

「……さあ。何者なんだろうな」 

 張本人もクソもない。だって転生したらいきなり使えるようになってたんだもん。

 確かに言えることはニートに戻るため日々努力している哀れなハンターだということ。自分で言っちゃうのもアレなんだけどさ。

「この能力が消える事はないのか?」

「ああ、ないじゃろうな。その張本人に会えない限りは」

「……」

 俺は沈黙しながら、小さくため息をついた。

 うん、もう仕方のないことじゃないか。このぐらいで落ち込んでたら、前に進めない。

 それに、これがきっと俺の運命さだめだったんだろう。


 ―――――だけど、なんでだろう。

 涙が、止まらない。


「京夜、大丈夫か? ホラ、これで拭きなされ」

「う……あ……わ、悪い……」

 俺はセギアが差し出して来てくれたハンカチを素直に受け取ると、それで涙を拭った。

 くっそ……なんだよ、コレ。なんなんだよ。

 俺はどうしようもない怒りの気持ちを抑えながら、何とかあふれてくる涙を抑えた。

「お前さんの辛い気持ちは、よく分かる。ワシは何百年もこの世界を見てきた。酷く理不尽な世界だとも思う。だが、耐えるのじゃ。今はきっと、それがお前さんにとって一番大切な事じゃ」

「う……わ、分かった……」

「……。そうじゃ、お前さんにこれをやろう」


 そう言ってセギアが差し出してきたのは――――黄金に輝く、勾玉だった。

 

 

 

 

毎日1時に最新したいですっ! てへっ☆的な事を書いたんですが、明日は無理です。ごめんなさい。

その代わり明日の朝出せたら出します。ホント、すみません。

今後ともよろです!

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