やっと眠れる! おめでと……え?
「ふああ……ねむ……」
俺は何とか洗濯物をたたみ終えると、布団を敷いた部屋へと移動した。
やっと眠れる。地獄から解放される。
そう思って電気を消すと、ふと誰かがやって来たのが分かった。
なんだ、もう夜遅いのに。
「……あれ、ライアじゃん。どした? 寝たんじゃなかったのか?」
「目が覚めちゃいましたよ。なんか皆この部屋来て眠るそうです」
「……」
それは俺に死ねと言っているのだろうか。地獄のナイトフィーバー開催の言葉にしか聞こえない。
よし、隔離だ。俺はいち早くこの場から離脱する。
そう思って俺が部屋から去ろうとすると、ライアが俺の足を掴んで止めに入って来たのが分かった。
「おい、離せよ。俺はこの部屋の安全と無難さを優先的に考え、この部屋から離れようとしているというのにお前は……」
「行かせませんよ。絶対に行かせません」
「はあ? なんでだよ」
「…………」
「……?」
無言で力を込めてくるライアに、俺は重々しくため息をつくと、諦めたように自分の布団へと入る。
全く、なんだというのだ。折角一人でゆっくり寝ようとしたのに。
まあいい、蹴られるより早く俺が眠ってしまえばいいこと。さっさと寝よう。
しかしそんな俺の願いも虚しく、ライアに腕を掴まれる。
「ああもう……何なんだよ……。頼むから寝させてくれって……」
「……京夜さんは、本当にロリコンなんですか?」
「―――は?」
「いえ、ですから、京夜さんはロリコンなのかと……。その……さっきもシオンちゃんとお風呂入ってたみたいですし……」
なんだ、そんな事か。面倒くさいことじゃなくてよかった。
眠気に少しイライラしてたので、俺は半ば投げやりに返す。
「安心しろ。俺はロリコンじゃない。……てか大体いつからそんな噂が立つようになったんだよ。シオンと一緒に歩いてるってだけで、それ以外なにもねえじゃねえか」
「そ、そうですよね。良かった……」
もうコイツの言動はなんだかサッパリ読めん。俺がロリコンだからなんだというのだろうか。
しかしこんなラブコメチックな状況でも、全く俺は動じない。紳士だから。
「てか皆来ねえじゃねえか。もうすぐで来るのか?」
「――――それは嘘です」
「……は、はあ?」
「ロリコンかどうか聞くためには、二人きりの方がいいと思いまして」
「ふ、なんだそりゃ」
そのライアの言葉に、俺は小さく鼻で笑った。
それにつられたのかライアも、クスクスとおかしそうに笑っている。
寝ぼけてるのか何なのかは知らんが、まあもう移動するのも面倒くさいのでこの部屋で寝るとしよう。不本意だが。
「……京夜さん」
「……なんだよ。まだ起きてたのか?」
小声で囁いてくるライアに、俺は生返事で返した。
いい加減寝たいのだが。
「何かしたくならないんですか?」
「ならない」
「あ、そうですか」
この質問が来ると思っていた。変態扱いされる俺だからな。
というかこの真夜中女の子を襲う方がおかしい。いくら変態でもそこまではしないだろう。
―――――最後に何かライアが言いかけたような気もしたが、俺の意識はそこで途絶えていってしまった。
是非この話から何かを感じ取っていただきたい(*´ω`*)




