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俺は急いで服を脱ぎ、風呂へと向かった。
見るとそこは結構広く、外で入る形式となっている。
「さむっ!! 早く入ろ……」
俺は大急ぎで体を洗い、風呂へと入った。
……あー、気持ちいい。マジ癒されるわ。
というか時間延長できないとか放送で流れていたが、何か理由があるのだろうか。
来たばかりで疲れているんだから、もう少し部屋でゆっくりさせてほしい。
あの女将さんの「ゆっくりしていてくださいね」スマイルは、一体何のためにあったんだろう。
……まあいい、とりあえず今は風呂でのんびりするか。
ついつい俺が時間を忘れ、長風呂してしまっている、その時だった。
「グオオオオオオオオォォォォォォォ!!!!」
「ひぎゃあああああああああぁぁぁぁ!!!!」
目の前には、2メートル以上の大きさのある熊が、立ちはだかっていた。
盛大に叫びがハモり、俺は走ってその場を後にする。時間延長できないってこういう事かよ。
……ちょうど今、女湯の方から似たような叫びが二人分聞こえてきた気がする。
たぶん、ライアとアークも熊を目撃したんだろう。
あと一応言っておくが、覗かないぞ。
俺は急いで脱衣所に入ると、用意してくれたと思う浴衣を着て、走って自分の部屋へと駆けつけた。
「はあ……はあ……お前ら、無事だったか……」
「え、ええ……京夜さんも熊を……?」
「ああ……すげービビったわ……」
俺たちは息を切らしながら、机の椅子に座り込む。
ああ、のんびりしてた気分が台無しだ。俺の叫び声黒歴史が最新されちゃったじゃねえか。
ライアが作ってくれたお茶を飲みながら、いったん俺たちは落ち着くことにした。
「ふう……取りあえず熊については置いておいて。明日はどうするんだ? 何か計画とかあるのか?」
「そりゃあもちろん! 魔物モンスターを倒しまくりに行く!」
アークが親指を突き出し、バッチリアピールをしてくる。
が、しかし、俺にとっては全然バッチリじゃなかった。
「……いや、今の俺たちのレベルじゃ無理だろ。取りあえず装備をそろえようぜ。それから、クエストに行く時はなるべく必殺技を使わないように」
今日のラバードドラゴン狩りで、二人はかなりの体力を消耗してたしな。かくいう俺も、ゼルドギア戦の必殺技で結構体力を削られた。
でも、「悪魔」という職業がないなら、俺はなぜ必殺技を発動できたんだろう。そしてなぜ必殺技が使えるということに気が付いたんだろう。
「さすがは京夜さん! 的確な指示っぷりですね!」
ライアが拍手しながら感心してくれていた。
まあ、必殺技については後日考えるとしよう。
「そりゃあどうも。うし、そうと決まったら今日はもう寝ようぜ。明日に備えて体力温存だ」
「「はーい!!」」
うむ、二人とも元気でよろしい。
俺は布団に入り明かりを消すと、すぐさま眠気が襲ってきた。やっぱり今日はかなり疲れたらしい。
ああ、やっぱりニートに戻りたいなあ……
俺がそんな事を考えながら眠りに着こうとしていると、ライアが俺の布団にもぞもぞと入ってきたのが分かった。
「……おい。自分の布団で寝ろよ」
「うう。冬の夜は寒いんですよう。京夜さんの布団の方がまだあったかいです」
「むにゃむにゃ……うへへ……もう食べられないよお……」
次はアークが転がりながら布団に入ってきたのが分かった。
結構俺の布団までは距離があったというのに、どういう寝相をしているんだコイツは。
そして先ほどのベタな寝言がわざとじゃないということを知り、俺はさらに驚いた。
「うへへ……京夜さんったらブツブツですねえ……」
さらに隣から寝言が聞こえてきた。
これもまたわざとじゃないということを知り、驚く。
いや、それ以上に知りたいのは「ブツブツ」という奇怪な単語が聞こえてきたということだ。俺の肌はサラサラなハズだぞ。
ああ、どうして俺は女の子二人に囲まれながら寝てるんだろう。嬉しいけどさ、でもちょっとニートがこんな経験していていいのかという罪悪感が湧いてくる。
やっぱりニートに戻ったほうが楽だという思いを持ちながら、俺は暗い天井を見つめていた。
京夜くんの散々だった一日が終了しましたね!
今僕は自分の小説を見返していて気付いたのですが、あとがきの最後が大抵「引き続きよろしくお願いします」で終わっていることが分かりました。
しかしこれ以外に締めの言葉が見つかりません。引き続きよろしくお願いします!




