京夜、苦戦中!
「ああっ! 透明マ✕トォォォォォォォ!!!!」
俺が警察員の方を警戒していると、透明マ✕トがどこかに飛んでいってしまった。
慌てて俺はその後を追うも、もう遅い。
「……や、やあ。どうも」
取りあえず俺は、軽い挨拶をしてみた。
識者な俺は、こういう時どうしたらいいか瞬時に把握できる。
「死刑」
警察員の男がそう告げると、いきなり俺めがけて一本の短刀が飛んできた。
咄嗟に体を投げ出すも、俺の肩をかすったその一撃は、とてもじゃないが躱し切れそうになかった。
「さっきのは……アイテムの力か? 全く、余計な事をしやがって。なぜなら、貴様は今すぐここで死ぬからあばばばばばああああああああ!?」
「うるせえぞ、お前」
ちょっと腹が立ったので、俺は渾身の目突きをその男にお見舞いしてやった。
全く、しつこい奴らだよなあ、コイツらも。
「さて、死刑はどっちかな?」
「ッ……舐めるな! 『ライトニング・ブラスト!』」
男が放ったその一撃は、俺めがけて一直線に飛んできた。
避けれないと判断した俺はすぐさまスパエメちゃんソードを鞘から引き、前に構える。
ふむ、中々の一撃だな。スパエメちゃんソードで受け止めてもその威力が伝わって来た。
しかし、魔法が使えるとはなあ……。この男一人ならともかく、大勢となるとちょっとヤバいかもしれない。
――――――俺が撤退しようかなーと考え始めた、その時だった。
「『睡眠弾・改』ッ!」
『なっ……』
俺以外の全員が、放たれて来た矢に驚愕の声を上げた。
同時にその矢は男の胸元へと刺さり、グースカという寝息が聞こえてくる。
「京夜。加勢するぞ」
「……ああ、頼んだ」
「ッ……!? なんだ、お前らは……」
警察員の誰かが、混乱した声を上げた。
うーん、この男が一番の実力者っぽかったし、これ以上コイツらと戦っても意味ないかもしれない。
しかし、俺がそう思っていたにも関わらず、アルゼルトが。
「ふん、コイツらにはちょっと痛い目見せてやるべきね。見てなさい、元魔王グループ所属員の実力を! 『ファイナル・オブ・バース』……」
「おいちょっと待て! おま、なんちゅう大必殺技かまそうとしてんだ!」
俺は咄嗟にアルゼルトの背中を指でくすぐると、必殺魔法を停止させた。
あ、危ねえ。コイツのことだから絶対大技かましてくるハズだからな。
「なんでよー! いいでしょ別に! なんかこの人達ムカつくんだもん!」
「だからといってむやみに人を殺めてはいけない! 考えろ!」
「いいじゃない、別に! 『ファイナル・オ』ぴゃああああああああああああ!??」
「やめろっつってんだろうが!」
俺は再びアルゼルトの背中をくすぐると、警察員の方々に向き直った。
しかし、今のがよからぬ誤解を招いたのか、警察員達はゴミを見るかの視線を俺に向け。
「貴様、モンスターと仲間に……? それに今のセクハラ……殺すッ!」
「おい! ちょっと待ってくれよ!」
「そうです! 京夜さんはセクハラする人なんかじゃありません!」
「……おおっ! ライア、分かってくれるか!」
「ええ! ……ただ、夜中『あん……』とかいうキッモイ寝言を言うだけで、それ以外は」
「肯定なのか否定なのかハッキリしやがれ! それに、お前も人の事言えねーだろ!」
ハアハアと息を荒くしながらも、何とか俺はライアの発言に突っ込みし終えた。
くっそ、疲れた。精神的に。
「仕方ない、できればやりたくなかったが―――――これを使うとしよう」
そう言って一人の警察員が取り出したのは―――――――拳銃だった。




