京夜vsオヤジ
「流石にバリケードは無理だよな。……となると、俺たちが力尽くで止めるしかないワケだが……」
「ねえきょーや、本当にやるの? 後でまた悪い噂が流れても知らないよ?」
アークが心配そうに俺に行ってくる、が。
……何を今更。
「あいにく、俺は今後の沙汰など気にしない、現在を生きる男。せっかく完成したこの家を壊されたくはないだろ?」
「まあ……そうだけど……」
「よし、じゃあ決定。俺が今日から家の前に立って、敵が来たら知らせるから、お前らも戦ってくれ」
「「「「えー……」」」」
俺の言葉に4人は、不機嫌そうに声を漏らした。
……まあ、そうですよね。
この問題の原因を作った奴が、何を偉そうに言ってるんだって話になるもんね。
だが、これは一大事である。うだうだ言っている場合ではない。
「ティール達も呼んで、協力してもらうか。アイツらがいれば心強い」
「ねえきょーや! もう来てるよ!? なんかすごい重そうな装備着けた人が走って来てるよ!?」
「……えっ」
俺は慌てて窓の方を見た。
なるほど、確かに見える。誰だありゃ……?
てかなんでこんな言った傍から現れるんだよ!? 漫画みたいな展開だなあ、オイ!
心の中でそんな文句を呟きながらも、俺は急いで家から飛び出した。
「……やっぱやめよ」
そして、3秒で家のドアを閉めた。
鍵をしっかりと閉め、入ってこられないようにする。
……オヤジだった。ハゲオヤジ。
皆さんは覚えているだろうか? 俺がかつてハゲオヤジと戦い、見事に髪を剥ぎ取って圧勝したのを。
できればあのオヤジとは二度と会いたくない。面倒くさい。
「ちょっと! 何また戻って来てるんですか! ……ってあああああああああああ!! また増えたあああああああ!!」
「はあっ!?」
俺は再び窓の方を見る。
するとハゲオヤジの後ろに、見覚えのある警察官の方々が付いて来ていた。
「京夜! まずはお前が行け! そして謝れ!」
「ええっ!? ちょ、待っ……」
俺が抵抗するも虚しく、俺は強引に家の外へ追い出された。
うわ……どんどん距離が近づいてきてる……ヤダわあ……。
……。
……あ、そうだ。
「透明マ✕ト大先生、再び登場!」
俺は隠し持っていた透明マ✕トを体に被せると、走ってくるハゲオヤジに向かって駆け出した!
するとハゲオヤジは何が起こったのか分からないといった表情で、その場に立ちすくんでいる。
お、ちょっとだけ髪が生えてきたみたいだな。育毛剤でも使ったのだろうか。
だがっ! それを剥ぎ取ってこそ、真の男!
「うらああああああああああああああああ!!」
俺は全速力で走り、ハゲオヤジの背後に回り込むと、その髪を剥ぎ取った。
頭に傷をつけない様微調整するのがまた難しい。それなりのテクニックだって必要になってくる。
だが、こういう時だけ機能する俺の器用さは、一体何なんだろうか。
「うらあっ! ……プッ」
「あああああああああああああああああ!?」
見えないことをいいことにいろんな悪戯を俺は仕掛けると、最後にピピを使って攻撃することにした。
「いけえっ! ピピィィぃぃ!!」
「ピ――――――――!!」
その時俺には、ピピが笑っているように見えた。
ありえない。幻覚だ。
動物が、笑うハズがない。
しかしオヤジの頭を一心不乱につつきまくるその姿は、嬉々として悪戯をするインコの姿そのものだった。
「いだだだだだあ!? 分かった、分かったから! 帰るから! ……くっそおおおおおおおおおおおおお!!」
よし、一人目撃退完了。
後は……。
「何なんだ、今のオヤジは。……それよりもササキ・キョウヤ……死刑だな」
え、終身刑じゃなかったんですか?




