家、完成
「出来た……出来たあああああああああああああああああああ!!!!!」
日が落ち始めている、森の中。
俺は最後の釘を打つと、バカでかい雄叫びを上げていた。
「へえ。中々形にはなったじゃない。これなら安心して住めそうね」
「いやあ、そうだなあ……。頑張ってれば完成するもんなんだなあ……」
俺はしみじみと呟きながら、再び完成した家を見た。
俺の隣では、アルゼルトが目を輝かせている。
頑張った甲斐があるってもんだな。そこそこ広さもあるし、4人住めないこともないだろう。
……いや、5人か。アルゼルトもしばらくここに居るって言ってたし。
でもまあ、今となってはそんな事も気にならない。取りあえず、完成した事を祝おう。
製作期間は、約3ヵ月程。毎日クエストにも行かず働いていたのが功を奏したのか、割と早く完成することができた。
「中に入ってみましょうよ! どんな感じか見たいです!」
「私も見る!」
やはり二人も完成したことが嬉しいのか、家の中へ駆け出していってしまった。
まあ、やっと完成したワケだ。これで毎日毎日宿に行くこともない。ひゃっほおおおおおおおお!!
「やっと完成したな……。色々と大変だったが……」
俺の後ろで、苦痛の表情を見せながらも清々く、コハクがやって来た。
コイツは、ひょっとしたら俺以上に頑張ってくれていたかもしれない。家の主な形造りはコハクにやってもらってたし、コイツをもっと褒めてやるべきなのかもしれん。
「お前、よく頑張ったよ。今日だけは褒めてやる」
「なっ……それじゃあ私が普段はちゃんとしてないみたいじゃないかっ……。一体、どこがダメだっていうんだ!?」
「え? そりゃあ……。……まあ、ここで話すのもアレだし中に入ろうぜ」
「おい! なんだ今の間は!?」
コハクが焦りながら俺を追いかけてきたが、構わず俺は先に進む。
コハク、知らない方がいいってこともあるのだよ。
「おお……なんかいい感じに洋風になったな……」
俺は部屋全体を見回しながら、呟いた。
ちなみに、家具などは作ったのもあるし、買った物もある。買った家具を運ぶのは筋肉男ティールに手伝ってもらった。
アイツの筋力は計り知れん。俺よりも力があるんじゃないだろうか。
俺はアイツほどムキムキはしていない。なんだろう、やっぱ悪魔の潜在能力的なアレだろうか。
「うわお……テレビが見れますよ! ホラ!」
「おお、ホントだな。やっぱコンセント繋いどいて良かったな……」
やっぱり生活面的な事では前世と大して変わっていない。ただ、建物の造りがちょっと違うってだけで。
設計図などは俺が書いたんだが、見事に前世と異世界の建物が混ざり合ったような、不思議な設計図ができてしまった。
もちろんのごとくそれは却下され、コハクに修正してもらった。そもそも俺には画力が無い。
まあそんなコハクの頑張りのおかげで、外見も良くなった。最初からコハクに書いてもらえば良かったわ。
「ふっ……こんなに早く完成できたのは、やっぱり私のおかげよね! 感謝しなさい?」
「ああ、どうもどうも。まあモンスターだしなあ……」
いつの間に俺の背後に立っていたアルゼルトが、自慢げに言ってきた。
コイツも途中から手伝いを始めたとはいえ、いい働きをしてくれた。何より飛べてるから、足の筋力の負担がないのだ。
まあ、その間俺はシオンに構ってやるので忙しかったんだがな。当然、お母さんが居ないとなれば、シオンは暇になる。
「ピピ、完成したぜ。どうよ、この出来?」
「スゴイ! スゴイ!」
「だろ? いやあ、ホント頑張ったよなあ……」
俺は近くにあったソファーに座りながら、ピピに話しかけた。
コイツも俺のよきお供となって働いてくれた。ありがとおおおお!!
まあ、みんな頑張ったと思う。こうして完成したワケだしな。
「よし、じゃあ今日はみんなで飲むか!」
「「「「おおおお―――――――――――――!!!!」」」」
完成! おめでとう、京夜!




