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アルゼルトのお友達探し

「……さて。どういう事か説明してもらおうじゃないか」

「……はい。すみませんでした」

 前シオンに教えてもらった情報を元に、俺たちはアルゼルトの元へとやって来ていた。

 シオンがお母さんの情報をあまりにも教えてくるもんだから、俺はアルゼルトの弱点まで知ることになってしまったのである。

 まあおかげで、こうやってアルゼルトの弱みを握って正座させてられるワケだが。

 ちなみに、アルゼルトの弱点は―――――背中、だそうな。

 背中がやけに敏感らしくて、俺がこっそり背後から忍び寄り触ったところ、ビクンと肩を震わせ倒れてしまっていた。

 言うこと聞かないとアークの装備の尻尾でくすぐるぞと脅したら、素直に正座してくれたワケだが……。

 ちなみにいつアルゼルトが暴走するのか分からないので、アークには猫状態で居てもらっている。なぜ猫耳まで着けているのは知らんが。

 まあ、取りあえず今は……。

「すみませんじゃなくて。どういう事だ? なぜこんなことをした?」

「ううう……。だってだって! ……これ以上森に攻め込まれるのが嫌だったのよおおおお!! 私の部下もいなくなっちゃうし、他のモンスター達までいなくなっちゃったら、私の遊び相手がいなくなるじゃないのよおおお!!」

「……は?」

 ……遊び相手?  

 ひょっとしてコイツ、遊び相手がモンスターなの?

「お前、どした? なんなら他の魔物モンスターの仲間たちと話せばいいじゃねえか」

「……言ってなかったけど、私はもう魔王グループに所属してないわよ。遊び相手がいないなら、私がもう魔王グループに居る必要ないじゃない」

「京夜。意味分かるか?」

「うーん……」

 コハクがおずおずと訊いてくるが、ぶっちゃけそれは俺にも分からない。

 でもコイツ、魔王グループ? とやらを辞めたとか言ってたよな?

 魔王グループとは、恐らく魔物モンスターの集団のことを言っているのだろう。なんだ、それならもう俺たちが殺す道理もないじゃん。

 モンスターとはいえ、人は殺さしてなさそうだし。

「うう……。私、話し相手が欲しかったのよ。なのに、京夜が私の部下を殺すから……」

 そう言ってアルゼルトは、悲しそうに喚いた。

 ふむ、なるほどなあ。そうかそうか、話し相手か。

 俺も、ライオンもどきとトリケラもどきを殺しちゃったことは悪いと思っている。いや、さすがにこんだけ悲しそうにされて罪悪感の一つでも覚えない方が珍しいだろう。 

 ……はあ。

 仕方ねえ。


「じゃあ、俺たちが話し相手でも遊び相手でもなってやるから、いつでも来いよ。最近は俺ら森に籠って家造ったりしてるから、基本そこにいるけど? もし来るなら手伝えよな」

「……え?」


 アルゼルトはポカンとした表情で口を開けていた。

 どうやら予想外の返答だったらしい。

『ちょ、ちょっと京夜さん! 一応モンスターなんですよ!? いいんですか!?』

『いいだろ別に。むしろこのまま悲しそうにされる方がめんどくせえんだ』

 こそこそと話しかけてくるライアに答えながら、俺はアルゼルトの反応を待った。

 どうしよう。殴られたりしなきゃいいのだが。

 

 ――――しかし、アルゼルトの反応は予想外のものだった。


「よ、よろしくお願いしますっ!」


 目をキラキラさせて、子どもみたいにアルゼルトはそう言ってきやがった。

 ……いや、うん。


 ツンデレなのか、何なのか。

 

 

 

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