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疲れマックスもう嫌です

「京夜さん、おかえりなさい! というか早く手伝ってください!」

「ああ……悪い……」

 俺は疲労感で満ち溢れた体を動かし、何とかライアの元へと向かった。

 バレなかったはいいが、この先ライアの手伝いをしなきゃいけないと思うとテンションが下がる。

 透明マ✕トを駆使し、何とか俺は再び屋根の張り付け作業を終えた―――――――が、もう体力の限界だ。

「お前……インクだらけじゃん……どうやったらそんなに汚れるんだよ。まあ、知ってたけど」

「だから大変だって言ったじゃないですかあ。うう……この服お気に入りだったのになあ……」

 ライアはワンピースの裾を持ちながら言った。

 いや、自業自得だと思う。まず家造るのにワンピース着てくるのがおかしいし、インクをぶちまけるコイツの不器用さにも呆れてしまう。

「……で、俺に手伝えと。悪いが俺はもう無理だ。体力の尽きというものがあってだな……」

「いいから手伝ってください。手伝うって言っても、近寄ってくるモンスター追い払うぐらいの仕事です。頑張ってください! 不器用な京夜さんには着色作業は無理でしょうし」

 へえ、そうかそうか。そんなに服をインクまみれにしときながらも俺の方が不器用だと決めつけるんだ。

 しかし俺はそれを声にする気力も残っていない。声に出すのにも労力を消費するのだ。

 しぶしぶ俺はライアの指示に従って、近くの岩場へ座る。ここで、モンスターが出たら追い払えと。

「面倒くせえ…。なあ、ピピ」

「メンドイ! メンドイ!」

「おお……ついに略語まで使うようになったか……」

 ピピの日本語上達の速さに感心していると、早速一匹小さいトカゲのようなドラゴンが現れた。

 ……。

「やれ、ピピ」

「イヤダ!」

「……だよなあ……」

 嫌々俺は立ち上がると、そのドラゴンを両手で掴んだ。

 そして遠くに放り投げると、再び俺は岩場へと座る。

 こんな感じで続けばいいのだが。小型のモンスターだったら、両手で掴んでポイで済むし。

 ただ、めんどくさいのはポイしたモンスターが再び戻ってくる事である。殺したくないし、素直に立ち去ってくれればいいけどなあ。

「……ピピ、そういえばお前、俺の名前呼べる?」

「キョウヤ!」

「おお、もう完璧じゃん。アークどうすんだよアイツ」

 アイツはインコ以下か。ピピでも「う」の発音は出来ているというのに。

 ……京夜、か。これって明らかにキラキラネームだと思うんだが。両親がつけてくれた名前にケチをつけるのは気が引けるけど。

 お母さん、お父さん。僕、転生して女の子に名前上手く呼んでもらえてないよ? どうすればいいの?

「どうしようもないよなあ」

 知ってる。どうしようもない。

 これ以上アイツに発音練習をさせても無駄かもしれん。もう諦めようかな。

 むしろこのままからかい続けた方が面白そうだし、これはこれでいいかも。

「キョウヤ! ウシロ! ヤバイ!」

「……は?」

 ふいにピピが俺の頭をつついてきたので、俺はゆっくりと振り返った。

 なんだなんだ。美少女でも見つけたか。

「ガルルルルルルルルルルルルルルルアアアアアアアア!!」

「……!? えええええええええ!?」

 犬!? いや、猿!? そんな感じの、モンスター……?

 よく分からんが、美少女じゃない。無念。

 俺はその五月蝿い雄叫びを聞きながら、ゆっくりと立ち上がった。


 ……もちろん、すぐにこの場を撤退する。

 

 

今日は最新が、遅くなります。多分。ごめんなさいっ☆

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