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京夜の落下事件

「おーい! 張り付け終わったぞ――――――!!」

 数十分の張り付け作業を終えると、俺は地上にいる3人に向かって叫んだ。

 下を見ると同時に、俺は震え上がる。何メートルあるんだろう、これ。

『じゃあ降りて私のお手伝いしてくださいー!! 色々大変なんですよおお!!』

 ふむ、大変か。ならばしばらくここに居よう。

 面倒くさいし、俺の疲労感もそろそろ頂点に達しようとしている。いい加減休みたいのだ。

「ピピ、アイツ何をやらかしたと思う?」

「インクブチマケタ! インクブチマケタ!」

「マジで? うわあ……絶対行かねえ」

 なるほどなあ、インクぶちまけたねえ。

 アイツ色付けやるとか言ってたし、多分その際にぶちまけたんだろう。いやあ、なんたるバカ。

 インクまみれになって泣き喚くライアの姿が想像できる。

「ま、もうしばらくここに居ようぜ。ピピも疲れただろ?」

「ツカレタ! ツカレタ!」

 そんなやりとりをしながら、俺はぼーっと天井板の上で空を眺めた。

 一応命綱は着けているんだが、そのロープを繋いでる場所が弱いので、多分落ちたらすぐ壊れる。

 まあ、結構頑丈に付けたし、簡単に壊れるという事は無いだろう。

 それにしてもいい天気だ。雲がふわふわ浮かんでる。

 ――――――しかし。

 わたあめ食いたいなーって俺が思い始めた、その時だった。


「は? 待て待て待て待てああああああああああああああ!!」


 ……しまった。さっきのは死亡フラグだ。

 くそっ、同じ失敗を繰り返した! バカ! 俺のバカ!

「ああああああああああああああああっ!!」

 ヤバい、死ぬ。

 何とかしないと。翼で飛ぼうにも、見られたらダメだし……。

 そうこうしてる間にも、どんどんと地上が迫って来ていた。どうする俺!? こういう時、ゲームならどうするよ!?

「ああああああ!! ……あっ」

 ふと俺の頭の中に、一つの名案が浮かんだ。

 そうだ―――――――俺には透明マ✕トがあるじゃないか。

 俺はそのことに気付くとすぐさま透明マ✕トを取り出し、体に被せる。

「うおおっ!? あ、危ねえ……」

 俺は地面に墜落する寸前の所で、翼を生やして停止した。

 危ない……あと1秒でも遅れてたら、本当に死んでたかもしれない。

 この時、俺は命の大切さを知った。そして誓う、絶対にこんなミスは次は犯さない、と。

 しかし、誓った次の瞬間。

「ああああああ!? 屋根があああああああ!!!」

 命綱のせいで取れてしまったのだろう、屋根の板が俺めがけて豪快なスカイダイビングをかまそうとしていた。

 くそっ……ふざけんな。屋根に殺されてたまるか。

「ぐっ……」

 俺は落ちてきた屋根をギリギリ食い止めると、その場に力なく崩れ落ちてしまった。

 さすがは悪魔の力。筋力が比べものにならないくらい上昇してる。

 

 ―――――――うん。

 もう二度と、屋根には上らない。

 

  

 

 

 

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