プロローグ
僕の投稿時間なのですが、平日には午後3時半ぐらいから執筆を開始できます。
あとちなみに、最初辺りは説明などで、ギャグ的要素は少ないです。個人的にはだんだんと読みやすくなっていってると思いますので、よろしくお願いします。
基本的には、登場人物が増えてくる流れで、面白くなっていくかと。
では! まだまだ変な部分もあるとは思いますが、楽しく読んでいただければ幸いです!
不思議だ。
不思議すぎる。
……なぜ俺は、悪魔の前で正座なんかしなくちゃならないんだろう。
「あのさあ……どういう死に方してるのお前。滑り台で落ちて死亡って。なに? ふざけてるの?」
目の前では、いかにも悪魔っぽいオッサンがイラつきながらこっちを見ている。
……怖い、怖いって。
……だがしかし悲しい事に、これは事実だった。
俺はどうやって死んでしまったのかを思い出す。
俺こと佐々木京夜は今日、親から外に出ろと追い出され、しぶしぶ近所の公園に出かけた。
もちろん必死になって抵抗したが、それも無視。
酷いって言ったら、「お前の頭の方が酷い」ってお父さんから怒られた。まあ、でしょうね。そうだよね。
……なぜ公園に出かけたのかは覚えてないが、多分、行くあてがなかったんだと思います。
……というか今までずっと外出てなかったのに、なんで今更追い出されたんだろうか。
まあ取りあえずそれはさておき。その公園で俺は、昔よく遊んでいた滑り台に上って、遊ぼうとした。
ここまではまだ良かった、良かったんですよ。はい。
しかし、次の瞬間。
「お? ……ってうわああああ!!!」
滑り台の床下が抜け、たぶんだが俺は真っ逆さまに落ちていきました。てへっ☆
……自分でも何が起こったのか分からないが。
しかし死んだということに間違いは無いらしい。
いや、コレはマジで笑い事じゃないヤツだ。
死んだという事は、天に召されたという事であり、自堕落な生活が送れないということでもある。
学校にも行かず引き籠っていた俺に、これからどうしろと?
何なの? 滑り台で死亡って、何なの?
俺が運命の理不尽さに怒りを感じていると、突如悪魔のオッサンが肩を震わせ。
「ブッ……! よく考えたらおま、久しぶりに家出て滑り台乗ったら床下抜けてボーンして死んだって事だろ? ブワッハッハッハ!! バーカバーカ!」
「……死にたい……もうやだ……」
俺は自分のバカっぷりに、思わず顔を伏せる。
いや、ね。ホントなんで俺こんな下らない死因で死んじゃったんだろうね。
俺が反論できず俯いていると、悪魔のオッサンは笑いながら。
「じゃあお前の死んだときの映像見てみる? マジ笑えるから」
そう言ってオッサンは、近くにあったテレビのような物のリモコンのスイッチを押した。
するとそれに映し出されたのは、カンカンと上機嫌で滑り台を上る俺の姿。
……。
『滑り台から見る眺めって、気持ちいいね……フッ』
テレビ画面の俺は、突如そんな決めゼリフを吐いた。
「ブワッハッハッハ!! おま、何言ってんの!? 何カッコいい事言っちゃってんの!? ニートがそれ言っても全然カッコよくねえから! ガハハハハハ!」
「はい、すいません……」
返す言葉もない。だってその通りだと思うもん。
だがテレビに映し出された俺の姿は、とても清々しいものだった。
『フッ……滑るか』
「ガッハハハハハハハ!!」
「すみません……」
決めゼリフを言った覚えはある。
仕方がない。カッコつける機会が引き籠っていると中々なかったものだから、久しぶりに外出てこういう事言ってみたかったんだよ。
するとテレビ画面に映し出される俺は、滑り台を滑ろうと身をかがめ――――――
『うわあああああああああああああああああ!!』
「ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「すみません……」
ギブアップ。試合終了。
画面に映し出された俺の姿は、とてもマヌケだった。
キメ顔が突如引きつった表情に変わり、直立の状態のまま落ちていく俺の姿。
なんか、もうね。
自分でもマヌケだったって事が分かるってことは、他人から見たらもっとバカに見えるって事だろう。
一旦落ち着いた俺たちは、ゆっくりと正面に向かい合い。
悪魔のオッサンが言った。
「ヒー……ヒー……。……お前のおかげで俺の仕事が増えた。聞きたいんだけど、もうちょっとマシな死に方できなかった?」
「いや待ってくれ悪魔サン? 俺にも一言言わせてくれ。まず、なんで俺は地獄なんかにいるの? そしてなんで滑り台から落ちたくらいで死ぬの?」
そう、俺が今現在いる場所は……なんと、地獄という名の死後の世界。周りには枯れ果てた木々が山ほど生えており、俺の前に座ってるオッサンの周りには子分みたいな悪魔がうろついている。
……せめて天国に行きたかった。
悪いことしてないのに、地獄なんかに飛ばされちゃったし。
そして俺のふざけすぎてる死因について。
普通滑り台から落ちたくらいなら、大けがぐらいで済むだろう。
ましてやそんな高い滑り台でもなかったハズだ。死ぬなんてことは普通無い。
俺が疑問に思っていると、オッサンは。
「知るか、そんなの。ただ、死因に関しては、打ち所と、お前の普段の体力と運動神経が関与していると思うが? お前、普段から運動してたー? なあー?」
「ぎくっ」
俺は普段から学校にも行かず、家でアニメだったりゲームばかりしていたりする。
今日除いて最後に外出したのはいつだったっけな……あれ? 下手したら2年前……。
まあ、要するにヒキニートです。はい。
いや、ニートがあまりよろしくない存在ということは十分に理解しているが、人権はある。そう、生まれつき持っている、人類全員が持っている権利が。
ニートだって、人間なんだ。この事を忘れないでほしい。
「『ぎくっ』って口に出していうヤツ初めて見たわ……まあ自業自得ってことよ。んで? どうすんの?」
「は? 何が?」
「だぁーかぁーらぁー……このまま成仏して他の死者とのんびり天国で暮らすか。それとも、他の世界に転生して、一から人生をやり直すか。感謝しろよ、転生できるようになったのはつい最近のことなんだから」
おっと、何やら良さげなイベントが来ましたね。
まあ確かに、このまま成仏して天国で暮らすというのも悪くはない気がする。転生よりは無難な選択と言えるだろう。
……しかしなあ。ニートの夢を捨てるわけにはいかない。完全インドア派の俺にとって、人と接して暮らすなんてのは自殺行為だ。
そして、アニメ、ゲームなどがこれから天国ではできないと思うと、絶対転生の方がいいハズである。
転生して女の子とイチャイチャパラダイス……って願いはやめておこうか。過度な期待は身を滅ぼすって言うしな。
だがまあ多分ここは、気が付いたら部屋の中ってことになってるだろう。そして、そこからニート生活スタート。
青春なんてものは存在しないニート生活だが……まあ……もう引き籠れたらいいよ、それで。
それに俺はまだ17歳。現在を生きる少年だ。
だったら、ゲームでもアニメでもなんでもして、後悔しない現在を送りたいと思わないかい?
……こんなダメ人間の自論ばっか言ってたから、追い出されたのかも。
「よし分かった。俺は別世界に転生し、一から人生をやり直す。……たとえ、赤ちゃんから始まったとしてもだ!」
「……えー。ホントに転生選んじゃったよコイツ。うわー、ないわー、この引き籠りクソニートが転生とか……。世界が腐る」
「……いいからさっさとしてくれ」
いや、クソニートで何が悪いっていうんだ。もう一度言うが、ニートだって人間なんだぞ。
「分かった分かった。でもまあ、あっちの世界で頑張ってれば神様がお前の前世に生き返らせてくれるかもな。両親とも会えるぜ? まあ元気出せよ」
「頑張るってなんだよ……まあせいぜい努力しますわ」
俺が投げやりに返すと、オッサンはめんどくさそうに呪文を唱え始めた。
しかし、よくよく聞いてみるとおかしい。
「ホホッ♪ 私女の子。世界を平和にするため、今日も戦うわっ! 『プリt」
「……なあ、やる気あるか?」
どう考えても女の子のような決めゼリフを口ずさんでいるようにしか聞こえません。
ふざけているようにしか思えん。
一言で言えばキモイ。オッサンがプ✕キュアみたいな決めゼリフ言っちゃってんだよ? それはもうドン引きですわ。
というか、なんなんだよ。なんで死んで一番最初に見る人物がオッサンじゃなきゃいけないんだよ。普通可愛い美少女が、こっから先を導いてくれるハズだろ。
しかし、それはそうと悪魔と話しているというのに緊張感が全くない。俺が話せるくらいだもん。このオッサンはなにか特別な力を持っているのだろうか。
そんな事を思っていると、悪魔のオッサンはめんどくさそーに。
「バカ言え。転生用の呪文は、女の子みたいな決めゼリフをテキトーに言うだけでいいんだ。簡単だから結構俺は助かるけどな。……なんか、男として大事なものを失う気がしてくるけど。……あと、言っておくが赤ちゃんから人生は始まらないからな? お前の今現在の格好、年齢でスタートするからな? 分かってる?」
「もういいよ、なんでも……」
とうとう俺は話についていけなくなった。
これから新しい人生の第一歩を踏み出すというのに、こんな適当な呪文でいいんだろうか。
まあ赤ちゃんから始まらないっていうのは楽だけど。ニートが今の年齢から始められるワケだし。
しかし、いやしかし……。
ああ、もういいや。考えんのやめよ。めんどくせえ。
色々と複雑な気分に頭を悩ませていると、俺の体全体が白い光で包まれる。
「おおっ!? なんだコレ!?」
「なにって転生の予兆に決まってんだろ。そら行くぞ」
そして俺は宙に浮き、ふわふわと動き出した。
ヤベえ、これが転生ってやつか。最初は死んで最悪と思っていたが、これはこれで案外悪くないかもしれない。
もちろん、ニートを再び始める俺に冒険なんか待ってるハズもないのだが。
「じゃあな悪魔サン。お元気で」
「そちらこそいい人生を」
……俺の意識が途切れる瞬間、オッサンがにやりと笑っているように見えたが―――――――気のせいだったのだろうか。