恋文ー片恋ー
独白の形の短編小説です。
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うまれて初めて書く、手紙。
君宛てに書くこの手紙を君が読む事はないだろう。何故なら俺はこの手紙を出すつもりがないのだから。
でもだからこそ、正直にここに俺の気持ちを書こうと思う。
現実では絶対に口に出す事は出来ないけれど。
君が好きだ。
あらためて文字にすると、読まれる事はないとは分かってはいても何か照れる。
でも本当なんだ。
男同士とか。
何時からとか。
どこを好きなのかとか。
理由を訊かれたら、――――正直少し、困る。
でも、勘違いなんかじゃない。
君を見ると胸が締め付けられる。君の目に俺がどう映っているのか、考えただけで胸が騒ぐ。
君の一挙一動に混乱する。
これは、この気持ちは恋だろう?
けれどこの気持ちは絶対に君に伝える事は出来ない。
君は優しいから。
俺を想って傷つくだろう。
でも俺はズルイから。
そんな君に付け込んでしまう。
だから、この手紙は机の奥に終っておくよ。
もし何年後かに、この手紙を見たら俺はどう想うだろう。
青臭いと、笑って読むだろうか。
それとも、――胸が痛むのだろうか。
その時俺は君と、友達でいるのだろうか。
だけどそれは今、考えても分からない。
俺のこの想いと共に、眠らせるよ。
好きだ。
愛してる。
これは紛れも無い、君への恋文。出す事の出来ない、秘密の恋文――。