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14/30

方法その5 言うべき事ははっきり言って、確実にフラグをへし折りましょう

コンシューマで出せない理由その2とその3登場。

健全じゃないとヤだって方は見なかった事にしてください(苦笑)




 夏休み中は、美々ちゃんや他の友達と遊ぶ事が多かったです。

 実家に帰れば家業のお手伝いをさせられるのは分かっていたので、ずっと逃げ回っていたのですが、お盆だけはどうしても逃げきれず……。繁忙期なんて嫌いです。

 そうそう、1度だけさーりゃん先輩に連れられて美々ちゃんと一緒に、なんとエステに行ってきました!

 マッサージ、でっかいとろけるかと思ったです。おかげさまでつるっつるになって帰ってきました!

 先輩は追加で、永久脱毛コースもやって来たらしいですよ。

 お金吹っ飛んだけど、後悔はしていないって言ってました。半笑いぽかったですけど。


 それから、7月に泣く泣くお断りしたあの件のリベンジもしました!

 結局、映画では無く花火になりましたけどね。

 ちゃんと行ってきましたよ。

 東条先輩は一緒にいる間ずっと優しくして下さって、まるで紳士にエスコートしてもらってるみたいでした。

 ちょっとだけキザな所とかもありますけれど、わざとらしく感じないのは、その部分も含め、雰囲気に合っているからなのでしょうね。

 浴衣も褒めてもらっちゃいましたし。さすが紳士、でっかいソツが無いです。

 ただ、残念ながら……というか、よりによって花火が上がる前に東条先輩に呼び出しがあったので、急きょ退席せざるを得ず。

 ……お仕事だったんですかね?……仕方ない事かも知れませんが、ちょっとこう、もやもやします……。どうしてでしょう?



 そうして、8月は何事も無く過ぎ、9月。2学期になりました。

 始業式の日に、美々ちゃんと一緒に友美先輩とさーりゃん先輩にご挨拶に行った所、何だかさーりゃん先輩の顔が赤くてですね。

 ええええええーと……、白樹先輩とさーりゃん先輩達、どうもついに大人の階段昇っ……ま、まあそういう……そういう事もあります、よねー……。

 どうもその日1日で、ずいぶん周囲からからかわれたらしいです。

 真っ赤なさーりゃん先輩とは逆に、白樹先輩はすっごく……いえ、でっかい浮かれまくっていました。……あ、察し、というやつです。でっかい元凶さんです。

 ベタベタしすぎて怒られる白樹先輩とか、でっかい斬新な……。

 そういえば友美先輩はどうなんでしょう……?友美先輩も、もしかして、その……?

 何せお相手は“あの”(EDでもダダ甘っぷりがかい間見れた)空条先輩ですし……?

 さーりゃん先輩に聞いたら、「夢ぬっ壊れるから聞かない方がいい」って顔をそらされました。……それって、でっかい答えバレしちゃってますぅ。

 その後、東雲先輩ともお会いしたのですが、ダイレクト質問とか、ほんっと勇者ですよね!!でっかい褒めてませんから!

 ちなみにさーりゃん先輩からは、メールで石投げられたそうです。当たり前ですよ!私も投げます!( ゜Д゜)ノ⌒石

 しかもその事について楽しそうに話して来たので、その日1日メールも含め、ずっと無視してやりました。

 ……デリカシーの無い人、キライ。



 そんな、ある日の事でした。―――その事件が起こったのは。


「グループに属している訳でも無いのに周りをちょろちょろしているのって、はっきり言って迷惑なの。悪いけど、これ以上付き纏わないでくれる?」

 昼休みの教室で呼び出しをくらった放課後、美々ちゃんと一緒に行った人気のない北棟西階段で、見知らぬ女子の先輩はいきなりそう言い放ちました。

 最初一人で行こうとしていたのですが、美々ちゃんが心配してくれて、一緒について着いて行くから、と言ってくれまして。でっかい心強い友人なのです!

 

 ちなみに女子の先輩のリボンは赤。さーりゃん先輩や東雲先輩と同じく3年生の様でした。

 こう言っては何ですが、悪いけど、何て、でっかいみじんも思っていなさそうな口調です。

「あの、何の……というか、どなたのお話でしょうか」

「なによ!しらばっくれる気!?」

 うあ。

 何となく心当たりはありましたけれど、念の為にと聞いたらこの切り返しですよ。

 女子の先輩の剣幕に、美々ちゃんが、怯えて私の後ろに隠れちゃいました。

 大丈夫ですよ、私が傷付ける様な真似、させませんから!

「主語が抜けてます。私が親しくさせて頂いているのは、2年の央川先輩と篠原せんぱ」

「そう、その“東雲先輩”よ!」

 しの、のあたりで思いっきりぶった切られました。でっかい“しの”違いじゃないですかー!

 というか、案の定東雲先輩絡みだったですう。

「彼はもうすぐ受験なのよ!?それなのにまとわりつくなんて、良識がなっていないわ!」

 誤解です。向こうから来るんです。こっちからコンタクト取った訳じゃないですよ。

 ……そう言えたらよかったのですが。言ったら火に油、なんでしょうね……。

「私は先輩の事、」

「“先輩”なんて馴れ馴れしく呼ばないで!」

 えーあー、じゃあ何て呼べば……。でっかい話通じてない気がします……。

「特にどうとも」

「嘘よ!」

 でっかい一刀両断です。ああもう本当に……。


 東雲ルートの中盤に、思いを寄せる女子の生徒から忠告を受けるというイベントがあったのは知ってます。そして“その後”何が起こったのかも。

 もしかして、コレ、ですかねー……。

 というか、イベントかどうかはともかくとして、実際こんな風に思いつめる女の子が出るくらいの“事”をまだやっている、という事なんでしょうか……?

 ああもう、いい加減なお付き合いばかりしてるから、人間関係こじれて収拾つかなくなるんですよ!

 夏休みのお出かけで少し見直したかと思ったら、途端にこれとかあれとか。

 ……でっかいがっかりです。


 ……あれ、何でこんなに落ち込んだんですかね、自分。

 東雲先輩が割とダメな方の人間だという事は、最初から知ってたじゃないですか。

 やっぱり、って思うだけでいい筈なのに、どうしてこんなに……。

 少し見直しちゃったから、その分がっかり度合いも大きかったとかですかね?

 そう、なのかな?

「聞きなさいよ!」

「うぁっ!?」

 うっかりぼんやり考えていたら、顔、すごい力で掴まれたですっ!

「「真理亜ちゃん!」」

 え?

 今の、美々ちゃんと、もう一人……東雲先輩?

「神山君!!」

 あ、東条先輩まで。

 加勢する気満々な男子生徒2人に、さすがの彼女も手を引っ込めてくれました。

 ああ、痛かったです。

「大丈夫?」

「失敗しちゃいました」

 後ろの美々ちゃんに、心配しなくても大丈夫と笑って見せます。

「先輩、呼んだの。ダメ?だった?」

「いえ、でっかいGJ(ぐっじょぶ)ですっ」

 小さな声でささやいて来たので、こちらも小声で返します。

 いい判断ですよ。実際でっかい助かってますから。


「……っ、東雲君は、“私の運命の人”なの!邪魔しないで!」


 どん、と後ろから突き飛ばされたのはその時でした。



 あ――――――――――


 宙に浮く感覚。

 この感覚を、“私”は覚えています。


 目の前に広がるのは、学校の階段では無く、“あの日”の“真っ暗な”―――


 夜景、が――――――


「真理亜ちゃん!!」

 がくん、と体が急に止まって痛い、です。


「しの、のめ、せん、ぱい?」

 あれれ?まともにあたま、はたらいてない―――ような?

「大丈夫!?怪我、怪我してない!?」

「たぶん、だいじょうぶ、です?」

「よかっ、……よかったああ」

「真理亜ちゃん!」

「神山君、無事かい?」

「あ―――、美々ちゃんも、東条先輩も、すみません。ありがとうございます、無事です」

 急につかまれた腕や肩が少し痛かったですけど、階段から落ちるよりは全然ましだったのは、いうまでも無い事です。

「……よかった」

「そうか」

 私のその言葉に、2人ともほっと胸をなで下ろしたようでした。


「さっきの女子は……」

「いませんね」

「逃げちゃったみたいだね……」

 東雲先輩の言葉に、美々ちゃんがこくりと頷きます。

「あの女子が彼女に危害を加えたのは、貴方のせいではないのか?東雲先輩」

 え?

 さっきの衝撃でまだぼんやりしていた私をよそに、東条先輩は東雲先輩に詰め寄って行きます。

「ちょっとまってよ、いきなり何なの」

「先程、東雲先輩がどうの、と言っていたでしょう。という事は、彼女に何かしたから神山君にとばっちりが行ったのではないかと」

「っ、それは!」

「つまりは貴方のせいだ」

 東条先輩は、はっきりとそう断罪しました。


「貴方はもう、彼女に近づかない方がいいと思いますよ」

「彼女ってなに、どっちの彼女?」

 お2人とも、でっかい低い声です。

 私も美々ちゃんも、口を挟める雰囲気では無くなっていました。

「両方、と言いたいところですが、特に彼女……神山真理亜嬢の事です。今居なくなった彼女に対しては好きにすればいい。だが、彼女が危険にさらされるというのなら、ボクはそれを見過ごせない」

「それを決めるのは君じゃ無いんじゃないの?少なくとも、彼氏でも無い赤の他人が、彼女の交友関係に口出しする権利は無いと思うけどー」

「ボクらは少なくとも、先輩後輩という親しい関係を築いている。無遠慮に割り込もうとしているのはそちらの方では?」

「割り込んでるのはどっちかなあ!」

 でっかい大声になって来ています。

 放課後で良かったと思うべきなのでしょうか……。美々ちゃんもいますし、いつまでもこんなうすら寒い場所に、そしてでっかいぎすぎすした空気の悪い場所に長居したくないのですが……。

「先程の事をもう忘れたのですか?今のは、『貴方がそばにいるからこうなった』んだ」

 その言葉に、さっと東雲先輩の顔色が変わりました。

 沈黙が、辺りを包みます。

「……っ、くしゅっ」

 あ。


 この時期、まだこの時間でも外は明るいですが、この場所は日陰になっていて汗が引くと涼しささえ感じてしまうほどでした。

 不意に出たくしゃみでしたが、ぎすぎすした空気を打ち破るだけの力はあった様です。

「大丈夫かい?」

「気が付かなくてごめんね~」

 お2人には、申し訳なさそうな顔で謝られました。いえ、気付いていただけて何よりだと思います。

「もうこんな時間か、2人とも、ボクが送ろう」

 東条先輩が腕時計を見ながらそう言うと(でっかい高価そうなゴージャスな腕時計でした)、東雲先輩まで「僕が責任もって連れて行くよ」何て言い出しました。

 ……これって何だかデジャヴの様な?


 結局、先に行動をしたのは東雲先輩でした。

 今回もまた、以前と同じ様に東条先輩を置き去りにして、東雲先輩は美々ちゃんと私の腕をつかみ、一緒に駐車場まで歩き出しました。

 ……ある意味らしいですね。

 でも、らしく無かったのはその後の方です。

「……迷惑かけて、ごめんね」

 腕を離した先輩は、そう言って謝って来ました。

 こうやって落ち込んだ様子の東雲先輩を見るのは、初めてな気がします。


 本当は、そんな事無いって言いたいです。

 迷惑だったのは、逃げてしまったあの女子の先輩の方で、東雲先輩に何か直接された訳では無かったのですから。

 でも、でも……。


 ここで何でも無いと言うのは簡単です。

 今まで通り、交友関係を続けるのも。

 でもそうやって、何も無しに簡単に許してしまったその後は――――――?

 その後に何が待っているのか、『私』は、いえ、私ももう知っていました。


 『私』の存在を否定する言葉―――

 空に舞う感覚。

 落ちてゆく真っ暗な世界。

 そして―――


 もしこの後、あれと同じ事が――――――この世界でも起こるとしたら―――?


 今の出来事だけで、ここまではっきり思い出してしまっています。

 似た様な状況に陥った時、私は私でいられるでしょうか。


 私は―――、『私』は―――


 少なくとも、それは嫌だという結論が出ました。

 私は、ギュッと口元を引き結びます。

「ちゃんと反省、して下さい」

「うん……」

「“最初に出会った時”からそうでしたけど、先輩は人づきあいを軽く考えすぎだと思います」

「……うん」

「そんな、女の子侍らせる様なお付き合いの仕方をするから、だから誤解されるんです」

「うん、ホント、ごめんね」

 らしくなさ過ぎな東雲先輩を、一方的になじっているみたいです。

 何だかとっても……でっかい嫌な感じです。

「今後は巻き込まないでください」

「うん、気をつける。……さっきの子、また会った時に言っておくから」

「絶対、ですよ」

 言い過ぎ、ですかね。でも、ここで言わないと後が怖いですし……。

「うん。だからあの、無視とかさ、しない、よね?」

「……無視は、しません。でも、お願いですから節度ある交際をお願いします」

「……よかった」

 心底ほっとした、という様な表情で、やっと先輩は微笑んでくれました。

 後で、ちゃんと話しあえるように、とここまで黙っててくれた美々ちゃんに、「あれで、よかったの?」って聞かれましたけど、そんなのでっかいこっちが聞きたいです!



 あの女子の先輩は、いわゆるヤンデレさんに近いんだと思います。

 東雲先輩ルートのこういう所、地雷なんですけど、でも、実際に同じ目に遭ってみて抱いた感情は、さっきも言いましたけど、今回のこれは先輩のせいじゃない、という物でした。

 さーりゃん先輩に今回の事報告したら、『好感度上がって自分のハードル下がってるよー、気をつけてー!』というご意見をもらっちゃいました。う、でっかい気をつけないとダメダメですっ。


 それはともかく……先輩のせいではないけれど、完全に自業自得ではありますよねー……。

 そこは譲れないと言いますか。

 ああでも、ホント、どうにかしてほしいなあ。

 後が怖くて、思わずブルりと震えました。










無いのも不自然かと……。

むしろ白樹君はよく耐えた方。

それまでに何も無かったとは言いませんが(苦笑)


ここまでの話の流れが何の事だかわからない方は

そのままの奇麗な貴方でいて下さい!!(笑)





そしてまーりゃんの方には何だか不穏な空気が漂って来ましたよ……っと。



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