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方法その4 嫌いになるばかりでなく、認められる部分は認めてあげましょう 前編


一部腐臭を漂わせる表現が含まれます。



気が付かなかったらそれは貴方が穢れていない証拠です(笑)

ぜひそのまま清らかでいて下さい(笑)




 7月のあたまといえば期末試験です。

 なので、一緒に勉強しないかと美々ちゃんに誘われました。

 当然答えはでっかいイエスです!

 という訳で、初めて央川邸にお邪魔する事になりました。


 ちなみになぜか気が付いたら、さーりゃん先輩も参加する事になっていました。

 そこは白樹先輩と一緒にお勉強する所では?と聞いたところ、何でも今はイライラしているから近づきたくない、とのお返事をもらってしまいました。

 まさかケンカしてるのかと不安になりましたが、先輩はあっけんからんと「いーのいーのほっといて」なんて手を振るばかり。

 「8月になったら多分機嫌治るから……多分ね」って言っていましたけど、何かあるんです?


 そういえば、8月は白樹先輩のお誕生日だそうですが、それと機嫌が直る事と何か関係あるんでしょうか?

 誕生日パーティへのお誘いは頂いていますが、その事についてでは無さそうですし……。


 それはともかく、今日はお勉強の日です。

 着いてすぐ、広くて真っ白な玄関ホールに圧倒されました。

 ちなみに床は大理石張りだそうです。

 す、すごいです。さすが会社社長宅だけはありますね。

 その玄関ホールの片隅には、きちんと七夕の笹が飾ってありました。

 こういう行事もちゃんと大切にされるお家なんですねー。

 気になったので、応接室に連れて行ってもらう前にちょっとだけ見せてもらいましたが、色々書いてありました。皆さんノリノリの様で、少し笑ってしまいましたけど。

 ご両親さまはやはり、お仕事に関するお願い事でしょうか。

 お父様の方、小さく『これ以上空条様に突っ込まれませんように』って書いてあるのって……これってやっぱり先輩絡みですか?先輩?

 弟さん達のお願いは、やっぱり男の子らしく『新しいゲーム!(具体名)』とか『欲しいアニメのBD!(具体名)』とかでした。何だかほほえましいですね。

 美々ちゃんのお願いは……後で確認取ってからにした方がいいのかな?これから会うのに勝手に見るのも悪い気がしますし。

 まあ、ここにこうして飾ってある以上、見ても構わないお願いなのでしょうけど。

 さーりゃん先輩のは……『自社の営業部にいる鬼畜眼鏡に一泡吹かせたい。ついでにそいつと取引先のイケメンがキャッキャウフフしているとかいう噂の真相を解明したい。同僚のきんにくんとも仲が良いらしいので、どっちが本命なのか是非傍観……は難しいかもしれないから頑張って観察してみたい』

 …………。 

 長っ!

 後それが本当なら、是非でっかい会社見学を希望したいのですが。ええ是非にでも……!(ぐっ)

 

「らっしゃい」

「ようこそ」

 通された応接間では、すでに美々ちゃんと先輩が待っていました。

「こんにちは、今日はよろしくね」

「あっ、友美先輩!」

 なんと、でっかいザプライズゲストです!

 言っておいて下さいよ~、でっかい心臓止まるかと思ったです。

 でもでも、すっごく嬉しいです!

「先輩方、わざわざお付き合い下さってありがとうございます」

「いいの!気にしないで?元々独りで勉強するの苦手だったから、こっちも助かってるんだよ!」

「そういう事だから、今日は上下関係気にせずに無礼講で行こう。ね」

 でっかい優しい……です。その優しさにじんわり来ちゃいました。

 なら、そういう事にしておきます!友美先輩、さーりゃん先輩!


「じゃあ美々の部屋に行こっか」

「ん」

 という事でそのまま移動です。

 でもその前にちょっとだけ、さーりゃん先輩のお部屋を覗かせてもらっちゃいました。

 ガラス張りの戸棚の中にはシュタイフのぬいぐるみ達に混ざって、絵本やこの間誕プレで受け取っていた友美先輩似のドールさん、それに私がお渡ししたにゃんこ先生も飾ってあって、先輩の心遣いに嬉しくなりました。

 さすがにフリルまみれという訳ではないですが、ベッドにピンクの、文字通り『でっかい』うさぎさんのぬいぐるみがあったりして、普段のさーりゃん先輩のイメージとは少し違って、案外可愛い趣味にでっかいびっくりです。

 先輩は「増えちゃっただけだよ」って苦笑いしてましたけどね。

 でもその後すぐに「誕プレありがとうね」って言ってくれました。

 フォローもばっちり忘れないとこか、つくづく先輩はデキる人です。

 意外に本やゲーム、DVDが少なくてびっくりしたのですが、ここには本当にお気に入りの物しか置いていないそうです。あ、だから『マサルさん』ですか。

 それ以外の物はご姉弟共有の書庫に置いてあって、必要な時に取りに行くとの事。

 共有とはいえ専用の書庫とかすごいです……。

 先輩はただの物置だよ、なんて笑って言っていましたけど。


 逆に美々ちゃんのお部屋は、すっきりシンプルさんでした。

 さーりゃん先輩曰く、「学力上がりそうな部屋」だとか。……じゃあ先輩の場合は……。


 ま、まあそれはともかくとして、テスト勉強です。

 とはいっても、結局雑談混じりになってしまうのですがね。

 話の流れで、5月ごろにあったという創作ダンスの授業の話題になりました。

 何でも、実はその授業で隠し撮りされてたとか、しかもそのデータは何故かここにあったりするんだよね、とか。

 それって、でっかいどういう状況です?

「それがね、聞いてよみんな酷いんだよ!」

 友美先輩がぷんぷん怒るのには訳がありました。

 なんでも今回の授業、前回と前々回の同じ時期に行われたダンスの授業での評価が高すぎて、でっかい周りから期待されてたんだとか……主にさーりゃん先輩のせいで。

 隠し撮りの一件も、どうやらその事が原因だったみたいですよ?

 で、その問題の映像を見せてもらったのですが……でっかい完成度高いですっ!?

 5人の女の子達が駅のホームで待ち合わせして、楽しそうに電車に乗る情景がはっきりと浮かび上がるそれは、まるで1編の物語の様。

 乗った後も、それぞれ個性が出ているのが面白い所ですね。

 卒業旅行をイメージした、とさーりゃん先輩は話していましたが、確かに衣装とか小道具のトランクなど、そんな風です。

「ホントに行けたらいいよね!」

「誰か1人くらい、卒業までに大学の合否はっきりしない人が出たりして」

 先輩、先輩っ、それでっかいフラグですからっ!!


 肝心の勉強については、試験範囲のおさらいを中心にやりました。

 なんとさーりゃん先輩に、2年前に実際に受けた試験問題を見せてもらったりして。

 美々ちゃんが使うだろうからと、毎回問題用紙は取っておいてあるんだそうです。

「でっかい優しいお姉さんです。うらやましい」

「そう、かな?かも?」

「絶対そうです!自慢じゃありませんけど、私の兄はここまで面倒みてくれませんでしたもん」

 年が離れてるせいもあるとは思うんですけど、基本的に勉強を見るのは家庭教師さんでした。

 分からない所を訊くとか、やった事無いですよ。

 そうそう、それと後先輩からは「継続はね、力になるよ」とも言われましたっけ。

 先輩……でっかい実感こもってます。


 さて、その席で一つ指令が下されました。

「しののんと1日デート、行っておいで」

 なんと!?先輩でっかいフラグ折りの協力、してくれるんじゃなかったんですか!?

 先輩の言い分としては、私にとっての地雷なのは分かっているけど、ゲームと現実はまた違う、と。そういう事らしいです。

 友美先輩がいるから、ぼかした言い方してましたけど、多分そういう事だと思うんです。

 私からすれば、ゲームだろうと現実だろうと、変わり無いように思えるんですがねー……。

 聞いていた友美先輩からも「歩み寄りも大事だよ」と言われてしまいましたし。

「好きになれとは言わないから、せめてもう少し普通に接してあげてほしいかな、友達としては」

「先輩それでっかいフラグです」

「だーかーらー……分かったじゃあ、嫌いのままでも良いから、せめて何か一つ良い事探しをしよう!」

 良い事探し、ですか。


「先輩、そこまで先輩が東雲先輩押しをする理由は何ですか?」

 どうしても納得行かなくて、友美先輩が帰った後に、ついぽろっとこぼしちゃいました。

 6月の体育祭の時には、あんなにカッコよくかばってくれたのにな。

 はっ!?まさかここへ来て仲人プレイとかいうやつです!?

 でも、こっちの事情も知っているのに、それって酷くないですか?

「そりゃ、私が東雲君の事友達だと思っているからだね。あそこまで嫌われているといっそ清々しいとも思うけど、好きだったゲームのキャラでもあった訳だし、思い入れもあるから、そんなに毛嫌いして欲しくないって言うか。やっぱ見ててちょっとは可哀そうかなって」

 本人も心入れ変える気はあるみたいだし、なんて先輩は言いますけど。

「えーでっかいうそですぅ(棒)」

 口をとがらせたら、美々ちゃんが「無理はしないで、いいと思う」なんて言ってくれて。ありがとう美々ちゃん!

 でも、そんな光景を見ても先輩は、『東雲押し』を止めてくれる訳ではなかった様です。

「まあ、1度くらいはいいんじゃない?それで何かイベントが起こる訳でもなし。どーーーしてもダメなら、そのダメな部分本人に直接言って、もう付き纏わないで下さいってきっぱりはっきり言っちゃえばいいよ」

 あっさり言ってくれますけどね、先輩、だからそれ、でっかいフラグですって。



 そんなこんなで試験も終え、無事に夏休みに突入……してすぐにデートすることが決まりました。

 最終的に「1回デートしたり、あるいは普通の態度になったら、案外それで気が済んで興味無くすかも?」って、さーりゃん先輩に言われたのが決め手になりました。

 先輩、言葉質は取りましたからね!

 というか、そもそも東条先輩のタイミングさえ合えばこんな事には……。

 そう、東条先輩から電話があったんですよ。一緒に映画でも見に行かないかって。

 ……それも、よりによって東雲先輩とお出かけの約束をした後に、同じ日を指定されてしまって。

 だーかーらー!!それ、もう少し早ければ、迷う事無く東条先輩の方にO.K.出して、東雲先輩に「残念ながら……」って言えたのに!!


 ああ、人生とは、かくもままならないものなのでしょうか。





ピンクのウサギはですね、昔ボカロの曲に『ももいろうさぎ』という『嫌死系』な歌があったのですよ……。今もありますが。

そんなホラーなリスペクトでした。



櫻「宴会芸は「あばば」の方でなくぜひ「C○ntrast」を希望」

キチメガ氏「だが断る」




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