こえ
ここはどこ?
だって回りは暗闇でしょう?
お客さんだよ
あぁ…
無駄だよ
僕はここから出ない
出れないんだ
静かに目を開く
目の前には優男
誰だ…
僕は何も言わない
僕の瞳は何も映さない
「えっと覚えてるかな?」
優男は僕に話しかけた
『由だよな…』
その声は優男の心の声
こいつは僕を知っている
でも僕は知らないし興味はない
数秒の沈黙
「あー俺の事覚えてないかな?」
「昔近所に住んでたんだ」
男はへらへら話す
『大丈夫だ』
僕はただ無表情に男を見据えていた
「由!」
がたん
男は突然立ち上がり僕の腕を掴んだ
けれど僕はなんの反応も示さない
「…………」
『きっと大丈夫、俺が何とかするんだ』
「由…聞いて…俺は敵じゃないよ、お前を傷つけない」
僕の腕を掴む手に力が入った
「酷いことしない、気味悪がらない」
「俺さお前が心配で戻ってきたんだ」
「……」
『ダメか…?いやあきらめねぇ…』
なんの歪みも聞こえないこいつの本心
どくん、どくん、
「由、戻って来い…これからは俺が近くにいてやる。なんかあったら俺を呼んで頼ってくれ…」
どくん、、、
「ごめんなずっと一人にしちまって…」
ないてるのかこのおとこは…
なんで…?
声を…出してみようか…
何年ぶりかに…
ダメだ
声がする
僕が僕を否定する
「っ…由頼むっ……信じて…」
なんて悲痛な叫びだろう
他人事にしか取れない
ごめんねごめんね
貴方は誰…?