第64話 ボクが許嫁に?
まずいんじゃないかなあ・・・でも仕方ないか。こうなりゃ覚悟を決めて黙々とやることだけやってしまおう。
「お久しぶり。ユージン」
「やあアラシ! 久し・・・ぶ・・・り」
ほら、やっぱり絶句しちゃっている。
≪ゴクッ≫だって。
なにも生唾飲み込まなくてもいいと思うんだけど。
「・・・ア、アラシ。今日はまた一段と」
「それ以上何か言ったらシバキます」
「うっ」
ユージンが黙ったのを横目で確認して、ボクはベンチプレスのマシーンに仰向けになると軽めの荷重から筋トレをはじめた。女性化で筋力が落ちていくのを少しでも食い止めなければと、宮殿や学校ではできないマシントレーニング設備のある貴族倶楽部にやってきたのだ。
自前の女性ホルモンが体内にまわりはじめてから1カ月、すっかり素肌の感じが変わってしまった。
「ランさんの肌は抜けるように凄みのある透明感です」ってベルは言うし、学校でも「ランの肌ってマシュマロみた~い」とか「なんだか自分の肌がサンドペーパーみたいな気がしてきた。なんか憎たらしい!」とか言われてツネツネされている。
どうやら女性もうらやむ色白の肌になっているみたいなのだ。
よく分からないんだけどボクって男から見たら生唾ものらしい。
自分でも以前にくらべてすごく肌が敏感になっている気がしている。
風のそよぎや太陽の日差し、ちょっとした気温の変化にもすぐに素肌が反応してしまうので、日傘は外出時の必需品だし肌寒い時にまとえるよう柔らかい肌触りの薄手のショールは欠かせなくなってしまった。
「アラシ。今日はいつもより重りのプレート、軽めなんですね」
絶句してフリーズ状態だったユージンがようやく口をきいた。
「ええ。筋肉にあまり負担をかけるとせっかく調子がいいのに、スイングバランスを崩しそうなので」
ちょっと警戒してボクは答える。ユージンはしばらくボクの腕の上げ下げを目で追っていたが、何か思い当たることがあったのか急に言い出した。
「どうです。久しぶりにひとつ、勝負といきませんか? なんだか今日は勝てそうな気がします」
ほら来た。
やっぱりボクの筋力低下を見抜いているんだ。ときどき勝負してきたからなあ・・・きっと違いに気がついたんだ。でもユージンとの勝負は逃げるわけにいかないし・・・。
「アラシ、約束ですからね。私が勝負に勝ったら潔く負けを認めてくださいよ?」
「・・・分かった、分かりましたよ」
ユージンはボクのことを“女装癖のある弟分”ながら男友達として扱ってくれている。
でも、それは体力勝負でボクを凌ぐことができないからなのだ。もし、ボクを負かすことができたらユージンはボクを女として扱うつもりでいる。
そうなると巷で言われているように、ユージンどころか彼の父親のリシュナ伯爵までボクを許嫁にしようと、王家やうちの公爵に画策しはじめるに違いない。だって、国王も王妃もつねづねボクの花嫁姿が楽しみだって言ってるし、養女のボクが誰かに盗られてしまいはしないかいつだって心配している公爵も、なぜかユージンには気を許しているみたいだから。
女友達としてならまだしも、みんなで寄ってたかってボクを彼のお嫁さん候補にされては堪らない。
「!!」
そんなことを考えていたら、突然ユージンの赤ちゃんを身ごもり、お腹を見つめながら幸せそうに微笑む自分のイメージが浮かんできた。慌てて悪夢を振り払う。
「ね、念のために伺いますけど、ボクが潔く負けを認めた場合どうするつもりなんです?」
「もちろん、晴れてアラシを女性として扱います」
「やっぱり。でしたら負けるわけには参りません。いざ、勝負!」
ボクは一抹の不安を感じながらも覚悟を決めた。
腹筋100回、腕立て伏せ100回、スクワット100回を1セットとして同じテンポで何セットまでできるかがいつもの勝負。これまでは先に音をあげるのはユージンだったけど今日は違う様子だ。
ユージンはこの惑星の男性の平均的身長の200cm。ボクは来たときより少し背が伸びて168cm。身長差32cm。身長に比例して体重も重くなるから体格の大きいユージンは不利なはず。それに加えボクにとっては、この惑星の重力は地球に比べて3分の2しかないのでその分とても楽に身体が動くのだ。
ところが、ボクの方が体内に疲労物質が蓄積されてきているのを感じているのに、ユージンは平然と5セット目を通過した。
「ユ・・・ユージン、今日はずいぶん頑張るじゃないですか」
「この日のためにと家でも鍛えてますからね。アラシ、そろそろ限界ですか?」
「い・・・いいえ。まだまだ」
8セット目を通過した。
「ア、アラシ。そろそろ限界なのでは?」
「・・・ま、まだまだ!」
もうこうなると意地だ。頭がボーっとして意識が遠のきかけたけど、ユージンの動きに合わせて必死に追いすがる。
「く、くそ。身体が動かない!」
10セット目が終わったところでユージンが悲鳴っぽい声を出して言った。こっちもほとんど限界だ。
「ユ、ユージン。今日は引き分けにしません?」
ボクも動きを止めて言った。
「い、いいでしょう。勝負は次の機会に」
「ああ、よかった。負けるかと思った・・・」
残念そうに疲れた表情を見せていたユージンが、それを聞いてとても心外といった様子で尋ねた。
「アラシは・・・そんなに私に負けたくないんですか?」
「ええ。負けたらユージンはボクを女扱いする気でしょ?」
「いけませんか? 女扱いしては?」
真剣まなざしで見つめるユージンの目を見て、ボクは一瞬ことばが出なかった。
「ユージンとは男同士の友達でいたいんです!」
ようやく答える。
「自分のことを“ボク”って呼ぶアラシは結構好みですけど・・・女でいることが嫌なのですか? 私のことがお嫌いですか?」
またしても核心を衝く質問が来てしまった。なんて応えれればいいんだろう・・・。
「・・・女はいや・・・かも。でも、ユージンは・・・決して嫌いではありません」
ユージンは満面に笑みを浮かべた。
「よかった! 私はアラシと一緒にいるだけで心が躍るんですよ。でも・・・そんな美貌に恵まれ、誰もがうらやむ愛らしい姿なのに・・・どうして女は嫌なのですか?」
別に好き好んでこんな姿になっているわけじゃないんだし、これって凄く答えにくい・・・。
「・・・自分を女だとは思っていないから・・・」
思わず本当のことを言ってしまった! ちょっと目を白黒させていたけれど、ユージンは大きくうなずいた。
「アラシが男のように扱って欲しいというのであればそうしましょう。なにごともゆっくりゆっくり、アラシがその気になるまで、私も待ち続けます」
「へえ~そうユージン様がおっしゃったんですか!」
「うん。これでしばらくは、これまで通りでいられることになったんだけどね」
その夜、髪をブラッシングしたり就寝前のケアをベルが念入りにしてくれている間に、今日あった出来事を話す。
「でも、それって完全に愛の告白ですよ。ランさん」
「告白? で、でも、どのみち女神杯に勝って地球に戻ることになったら、お別れだしね。ユージンとはこのまま男同士の関係でいた方がいいんだよ」
「ちょっと、待ってくださいよ。ということは、もしランさんが負けたら・・・その時にはユージン様とご結婚するわけですね!」
「!!」
ボクは自分の花嫁姿と王家立ち合いの結婚式でユージンに抱きしめられ誓いのキスをされるシーンを思い浮かべてゾッとした。ゲッ! もし負けたら完全に女扱いされて男に唇を奪われるんだ・・・いや、それだけじゃない・・・この身体だって・・・!
「お似合いのカップルですわ! ベルは姫様付きの侍女ですから、ランさんにご一緒してお嫁ぎ先に参りますよ。ランさんがご出産なさったら、ベルがお子様の面倒を見て差し上げましょうね」
「・・・ベル。本気でボクに赤ちゃんを産ませる気?」
「そりゃあ、好きな殿方の子を身ごもるのは女の幸せですもの」
「ボク、男なんですけれど・・・」
「男だっておっしゃいますけど、ほれ、そこに子宮をお持ちじゃありませんか!」
チョンっとボクのお腹を突っつく。
「うっ・・・。でもでも、ボクは排卵することができないから!」
「子供を産める能力がある以上は女ですよ」
「出口がないから自分じゃ産めないし!」
「ちゃんとご自分の子宮で赤ちゃんを育てることができるし、授乳だってできるって言うじゃありませんか。ランさんはすでに立派な女性ですよ」
そりゃあ自分でも気がついてはいたけど、改めて他人から突きつけられた現実にショックを受けてしまった。
「じゃあ・・・やっぱり・・・ボク、女にされてしまったんだ!」
「うふふ。気持ちは男の子みたいですけど見た目も中身も、ねえ」
「中身は・・・卵巣と子宮を移植手術されてしまったから。でも、見た目は・・・そうだよ! 裸になったらボクにはまだ男性のシンボルがあるんだ! 第一ボクには男を受け入れるための・・・女の・・・女の穴がないもん!」
「あらあら! 可愛らしいお口でなんてはしたないことを。さあさあ、誰もがうらやむ天使のような綺麗なお肌とおぐしにベルが磨きをかけて差し上げますわね」
ベルは、まるで駄々をこねる幼い女の子を宥めるみたいにボクの言うことなど右耳から左耳に聞き流し、やさしくナデナデしながら輪をかけて入念な美容マッサージをしはじめた。
まあ、ベルにこうされるのって女性化して繊細になってきた素肌にはとっても気持ちいいし、どんどん癒されていく感じがしてきて、苛立っている気分だって落ち着いてくるんだけど・・・このままでは、ベルに本当に女の子としての幸せを感じられるように調教されてしまうのかも。
「調子はどうじゃ?」
「はい。来月に迫りました女神杯に向けて万全の態勢で臨めるよう日々精進いたしております」
記者会見とかいろいろあったので、忙しいことを理由に移植手術以後ずっとご無沙汰していたのだけど、直々に国王から呼びだしがあったので観念して王宮に参内していた。
「それにしてもラン姫。アナタ、ひと月あまり見ぬうちにずいぶん綺麗になりましたね」
「そ、そんな王妃さま。お恥ずかしゅうございます」
「誰ぞに懸想いたしたか?」
「そんな陛下まで。滅相もございません」
「そうですかしら? 聞きましたよ、リシュナ伯爵のご子息と貴族倶楽部でずいぶん仲良くされているとか」
「!!」
「あはは。照れおるわ」
「おほほ。ほんに顔を赤らめて愛らしいこと」
やっぱり自前で地球由来の女性ホルモンを分泌するようになったので、見た目にも明らかにどこか違ってきているのかもしれない。
「ときに、ランや。今日呼び立てたのはほかでもない、姫に頼みがあるのじゃ」
「なんでございましょうか?」
「来月はいよいよ4年に1度のスポーツの祭典じゃな」
「はい、陛下」
「平和の祭典ということで交互に両国で開催してきた訳じゃが、今回はヤーレの番なのじゃ。これがいかにも残念無念」
「はあ・・・」
そんなこと言ったって順番なんだから仕方ないじゃない、と思った。
「知っておろうが女神杯の戦績は99勝99敗、次に勝った方が栄えある100勝じゃ。その大舞台が敵国での開催なのじゃ。4年前に勝っておればこんな悩みもなく祝えたものを。この一大事を敵のホームで戦わねばならんとはの」
話の趣旨は見えないけど、きっと国王は女神杯にまた勝てないと思って不安なのかも。それじゃあ元気よく・・・。
「はい、ランとしては何としてもお国に勝利をもたらし陛下ならびに妃殿下に捧げます!」
「うむ? そうじゃの、ラン。その意気やよし、女神杯のことは頼みまいらせるぞ・・・しかしなのじゃ、いままさに予が悩みに思うのはそういうことではないのじゃ」
「はあ・・・?」
「陛下が仰せになりにくそうですから、わたくしから言いましょう」
王妃がボクの目を覗き込み心の中まで探るような真剣な顔で言い出した。
「陛下とわたくしは大会期間中わが国選手を応援する為、ヤーレを訪問します。先方の大統領からは連邦を代表して懇篤なご招待をいただきましたし滞在自体は支障はないのですが・・・」
なんだか王妃も言いにくそうだ。
「ラン姫、思い切って言いますよ。アナタが女神杯に向けて大切な時間を過ごしていることは承知していますが、アビリタ王室の名誉の為にひと肌脱いでもらいたいのです」
「・・・ひと肌・・・脱ぐ?」
「そう。お願いしたいのは大会開会式の前夜、国際ハテロマ競技大会委員会が主催する国家元首夫妻が一同に会する晩餐会のことなのです」
「晩餐会には陛下と王妃殿下がご出席あそばすのでは?」
「もちろん陛下もわたくしも出席するのですよ。ラン姫には晩餐会の中で行われる余興というかイベントに出てもらいたいのです」
「余興・・・」
「余興といっても、国同士の名誉がかかっているのです。前回は開催国であるわが国が接待役でしたから、こちらに有利な歌唱コンクールというか歌合戦を仕掛けて見事ヤーレを凹ませ、失礼、ヤーレを打ち負かしたのですよ。なにしろうちの選手団には声楽家出身や民謡名人が揃っていましたから」
「選手による歌合戦・・・」
「ところが余程それが悔しかったと見えまして、今回向こうが提案してきた余興というのが、美人コンテストなのです」
「び、美人コンテスト?」
「そう。今回のヤーレの女性選手たちはモデルもやっているような美女ぞろいなのです。ところがわが王国の女性選手ときたら・・・ラン姫も記者会見に出席されてお分かりでしょうけど化粧っ気もなく男勝りを売りにしてきた大女ばかり」
「・・・」
「そりゃあ彼女たちはきっと本職である競技には勝ってくれるのでしょうけど、各国の国家元首夫妻が一堂に会する場でアビリタ王国の女性がいかに“魅力的”なのか、ヤーレのモデルもどきの女たちと並べて恥をかかせるつもりなのです!」
なんか話の行方が見えてきた。
「ランに、どうせよと仰せで?」
「ひと月におよぶ大会期間、最終種目の女神杯出場者は最後の最後に選手村に入ればよいのじゃが・・・ラン姫には前夜祭から来て欲しいのです」
「つまりは?」
「うちの選手団で勝てる美女はラン姫しかおらんのじゃ!」
「ラ、ランはプロのモデルさんになんか敵いません・・・」
「ラン姫、アナタ王立女学院でモデルやって大評判だったではありませんか」
「そ、それは・・・」
「もはやラン姫しかいないのです。姫が出なければわが王国は惨敗です」
「予と妃に恥をかかせんでくれ。この通りじゃ」
国王に頭を下げられてはもう断れない。
国王名代の海外歴訪から帰国した際に、雑事に煩わされず女神杯に邁進できるよう今後は公務いっさいを免除すると言ってしまった手前、国王陛下も言い出しにくかったのだ。
地球に帰還する唯一の方法は女神杯に勝つこと。その為に2年半、文字通り血の滲む努力で女の子にもなって来たのだ。そして、どうにかアビリタ王国の女神杯代表の座を勝ち取り、セックスチェックをクリアする為の移植手術もした。
あとはヤーレ代表との一騎打ちでアスリートとして全力を尽くすだけだと思っていた。それが最後の最後になって、アスリートではなく女として魅力を振り撒かなければいけなくなってしまったのだ。
よりにもよって美人コンテストなんて・・・それもボクが頑張らないとアビリタ王国が惨敗するって? そりゃあ、女装コンテストになら出たことあるけど、プロポーション抜群の生まれながらなの本物の美女と対決させられるの? ボクは男なんだもん、比べられたらひとたまりもないじゃないか・・・。引き受けたものの悶々とした気持ちになってしまった。
陛下の御前を退出するとセナーニ宰相が待ち受けていた。ボクの苦悩などまったく歯牙にもかけずいつもの高圧的な態度で言う。
「陛下からのご下命は承ったな?」
「・・・ええ。これって閣下の差し金でしょ? 絵を描いたのは閣下なんでしょ?」
憤懣やる方ないこの気持ちをぶつけられる相手を見つけたので、ボクだって言い募る。
「おやおや畏れ多いことを。陛下の御意なるぞ!」
しらっと返されてしまった。
でも、その通りなのだ。地球から降ってわいた何の身寄りもないボクを保護してくれている、この国で一番偉い人の意思なのだ。
「ええ、ええ分かりましたよ。宴会の余興も大切な公務のひとつだって言うんでしょ・・・」
「ほほ、物わかりがいいじゃないか」
セナーニ宰相は満面の笑みで手を打ち鳴らすと、事務手続きを説明するように言い出した。
「でだ、キリュウ君。これでキミは前夜祭に出ることになったから、開会式からすべての競技の最後となる女神杯までの1ヶ月間、選手村にいることになったのだよ」
「そうか、そうなるんだ・・・ひと月も・・・トレーニングどうしよう」
ボクは改めて、自分の過ごす状況について思い至った。
「そのことなら心配は無用。食事も練習施設も最高のものが用意されておる。ヤーレは金持ち国家じゃから、むしろここで練習するよりいい環境かもしれんぞ?」
「で、でも選手村では同室で共同生活になるんでしょ?」
「部屋はわが国選手団のメンバーと同室、食堂は他国の選手たちと一緒だ。国籍を超えた友情を育てることも大事な目的だからの」
セナーニ宰相は、当然の話だとばかりに説明する。ボクの心配はそういうことじゃないんだけど。
「困るんです。この2年、公爵家姫君として生活してきたから自分で自分のことができなくなっているんです、あ? も、もちろん男としてのことならできます! それは女としてのこと、髪とか爪とか着替えとか、女の子っていろいろあるでしょ? ボク、ひとりじゃ何もできないんですよ!」
「そんな美しく着飾ったナリをしているのにか?」
「そうです。これだってみんな侍女やメイドたちがやってくれたんです。姫は何もやってはいけないんですよ。そりゃあ女性化プロジェクトで、しっかり料理や裁縫、家事全般は習いましたが、普通女の子なら自分でやるであろう身の回りのことを何も知らないんですよ。ボクだって、ひとがやってくれる以上は女のことなんか覚える気もありませんしね」
宰相は唖然とした表情でボクを見つめた。
「ふむう、そうだったのか。キミのその、女体の管理のことがあるからヴェーラ博士には選手団医師として入ってもらったが、身の回りの世話をする人間も必要だったのか・・・」
「引き受けてしまったことですから、余興のコンテストはいいですけど、ボク自分じゃ着替えることもできないんですからね!」
思わず大きな声で言い切ってしまった。自慢するわけじゃないけれど、本当に女の子としてのイロハが何もできないのだ。
「よろしい。アビリタ王国選手団長として、このセナーニが責任をもってキミの侍女を団員に加え同室といたそう」
「それで結構です」
「その代り」
「その代り? これ以上ボクに何かしろって言うんですか?」
「なあに簡単なことよ。せっかく1ヶ月選手村に居続けるのだから、わが選手団のマスコットガールになってもらう」
「マ、マスコット・・・ガール?」
「そうだ。開会式から閉会式まで記者会見のフォトセッションにはすべて出てもらう。わが国が勝てそうなメイン競技では応援席に座ってもらう、これは義務というよりキミにとってのメリットじゃな、それから・・・」
女神杯を戦うことだけに集中するつもりが、なんか自分でもよく分からないうちにお役目をどんどん増やされてしまった。