08 土佐の人切り
※実際の歴史とは異なる点が多く、あくまでフィクションですのでご注意を!!
それでも読んでやろうという方ぜひ読んでやってください。
武市半平太。
江戸の遊学中に尊王攘夷派になり、土佐勤王党を結成。
土佐藩内を尊皇派にしようとし、郷士であるにもかかわらず疾走。
夢半ばに切腹を命ぜられ果てる。
そんな未来を抱えた彼は今、少年たち(?)に勉強を教えていた。
半平太が教科書にしてるのは頼山陽の『日本外史』である。
それを見ながら半平太の口から繰り出される言葉は巧みで
彼に心酔する者が多いのを納得させる。
目の間には、かわいらしいまつげをパチパチさせながら、
頼が真剣な眼差しを向ける。
その横でノートの筆記に追われる結は、
シャーペンが無く大変そうだ。
部屋の隅では竜馬が鼻毛を抜きながら退屈そうに寝っ転がっている。
その隣には刀を抱き、時々熱っぽく青年が目を向けていた。
「「ありがとうございました!!」」
結と頼の声がした。
半平太の話が終わったらしい。
結が立ち上がる。
「お茶、飲む人。手挙げて!!!」
余談だが、結の入れるお茶は千利休も驚くほど天下一品である。
平たく言うとおいしいのだ。
「ちょうど喉が渇いた頃合いだ。頼むかな。」
半平太が少し手を挙げる。
「ハーイ!!僕のも!!」
頼は元気よく言う。
竜馬はうるさいと言う顔をしてに頼の方を一別すると、
面倒くさそうに手を挙げた。
そんな中きょとんとしている青年に結がニッコリ笑いながら聞いた。
「お茶、お飲みになりますか?」
「はぁ。お願いします。」
結から視線をずらしながら青年はそう答えた。
その答えを満足そうに聞き、結は台所の方へ歩き出した。
台所に入って、
まず、お茶を入れるためにすることは湯を沸かすこと。
現代ならばコンロの元栓をねじってひねれば火がつくが、
この時代はそうも行かない。
火打ち石を使って火をつけるのだ。
土佐にいた頃はずいぶん苦労したが、
今ではこちらの人と同じくらいのスピードで火がつけられるようになった。
火をつけ湯を沸かし、湯飲みに湯を入れる。
そして、お茶っ葉の入った急須戻し、再度注ぐ。
これがおいしいお茶の入れ方である。
緑色にきれいに染まったお茶が入った。
「やったー!!今日も成功!!
・・・・それにしてもあの人誰だろう?」
竜馬の隣の青年を結は思い出した。
トコトコ、お茶の入った湯飲みのお盆を持って、
結は部屋の前に立ち足で襖を開けた。
スパーンといい音を立てて襖が開く。
青年が何事かという顔をしている。
「結太郎、お前。足で開けるのはよした方がいいぞ・・・・。」
苦笑しながら半平太が言う。
「はぁ~ぃ。」
結が小さくなる。
すると、結の持っているお盆に手が伸びてきた。
結はすかさずその手の持ち主に蹴りを食らわせた。
「竜馬兄さん、先生とお客さんが先でしょ!!」
「あたたた。ほがーに怒らのうても・・・・・。」
竜馬が(# ̄З ̄) ブツブツ言ってるのを結は完全無視をする。
「先生どうぞ!」
お茶を結が半平太に渡す。
「ありがとう。
・・・本当に結太郎はお茶を入れるのが上手だな。」
「竜馬兄さん、頼もどうぞ!!」
「ありがとう。」
「Thank you!!」
部屋にいた全員が頼に目を向ける。
「に、兄ちゃんとのありがとうって言う合い言葉だもんね・・?」
「あ、あ!!そ、そうなんだよね!!」
頼と結が慌ててホローする。
「そういえば、結と頼には紹介してなかったな・・。」
半平太が青年の方を見ながら言った。
「以蔵君。こちらへ来なさい。」
「は、はい。」
(いぞうくん?イ・ゾ・ウ?
え~!!!!あの人切り以蔵で知られる岡田以蔵!
まさか、この人は思いもよらんかった!!)
結は半平太の横でこちらに向き直った以蔵を見た。
(素朴そうな人だな・・・。
それに忠実そうな目を持っている。
スゴイぞ!!私!!
よしコレクションを・・・。)
「以蔵、これが前話した時内結と頼だ。」
「以後御見開きを。」
「何卒よろしく。」
結と頼が頭を下げる。
「岡田以蔵という。以後御見開きを。」
すかさず、結の悪い癖が炸裂する。
「あの~。これにお名前書いていただきたいのですが・・・・。」
口は優しいが半強制的に筆を渡した。
「はぁ。」
以蔵は不思議そうな顔をしたが何も聞かずにスラッと書いてくれた。
(字、うまくない・・・。以蔵さん。)
その時、寝転がっていた竜馬が不愉快そうに言った。
「以蔵にゆうて、わしにゃ書けって言わないがか・・・。」
結がニヤリとする。
「何?竜馬兄さん・・。書きたかったんだー!!」
「ほがなことはないきに!!!」
顔を赤くして竜馬が言う。
「いいよ。兄さんも書いてよ!」
別に結、竜馬をいじめてノートを渡さなかったわけではなく、
時間無くて忘れてしまっただけであったのだった。
「時間、無くてさ!ごめんね!ほらよっと」
「ああ。」
ノートが竜馬の元にダイブする。
竜馬もさらさらと書き、結に渡した。
結はそれを受け取ると開けはなっていた襖の外に出て、縁側に腰掛けた。
ここからが本番ですv(≧∇≦)v
がんばります!!
結の幕末サイン帳
NO,2 岡田以蔵(土佐)
NO,3 坂本竜馬(土佐)