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デブだと処刑される世界で、カロリー最強の勇者になった件 ~魔物を喰って強くなるぽっちゃり勇者は、食=幸せを取り戻す~  作者: あきかたりれお
第一章デモンフィールド

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第8話ロコモティブモード


「肥満取締部隊?」


「えぇ。その名の通り、肥満体型の人間を捕まえて運動、食事制限にて更生させる国家機構よ」


「ダイエット強制警察ってことか。なんて恐ろしい連中だ」


過度なダイエットは死に直結する。俺はぶるりと背中を震わせた。


「えぇ。ぽっちゃり勇者の体を見れば即逮捕。この世界はね、太ってることが罪なのよ」


「ンだぁ?そのふざけた法律は……食って幸せになった体の何が罪だ。分からせてやろうじゃねぇか、デブの恐ろしさと多幸感をよ!」


「ちょっ、やり合う気?!国家機構って言ったでしょ?逆らえば首を跳ねられるわよ!」


「関係ないね。俺の"食"を邪魔する奴は誰だろうと許さねぇ」


立ち上がりロネーゼの前へ。赤い瞳と睨み合う。


「フゥン。何か言いたそうだな?まずは君のだらしないスリーサイズから測っていこうか。肥満検問だ。この煙が邪魔だね。タリア」


「御意」


タリアテッレ。否、タリアと呼ばれた女が杖を掲げる。下から巻あがった風が白い煙を吹き飛ばした。


晒される俺の肉体。


恥ずかしさも何もねぇ。俺の体は、幸せの証明だ――


「?……」


「え?」


「あら……」


ロネーゼもカルビもコロネも目を丸くしている。


思ってた反応じゃねぇな?ン?なんか、体が軽いような……て、手がクリームパンじゃねぇ?!なんだこの骨が浮き出るイケメンな手は――


「おぃ密告者。コイツのどこが肥満体型だと言うんだ?」


「へっ?!いや、さっきまですげぇ腹だったんスよ!こ、こんなやつ知らない!」


「どういう事だ?」


俺自身状況が読めない。と、コロネが横から手鏡を差し出してきた。


シュッとした輪郭、黒髪に短い三つ編み。見知らぬイケメンが鏡に映っていた。


誰だコレ?!俺か!まさかインスリンラッシュでカロリー消費しすぎて痩せた……?


「よく分からないけど、このままやり過ごすわよ。ぽっちゃり勇者」


コロネに耳打ちされる。


カロリー消費しまくった後だ。太ってる時みたいなパンチは打てねぇかもな


「おぃ、虚偽報告は処罰の対象だが?」


「う、嘘などでは……あ、あぁそうだ!この者達は禁止されている魔物食を行っている犯罪者でもありますよぉ!」


「魔物食は現行犯でなければ取り押さえられんが?」


「現行犯ですとも!ほら今もこちらに」


ヤベェ!さっき焼いてたキングピグの肉がまだ……このままじゃ没収されちまう!俺の肉!


次の瞬間、周囲がスローモーションに見える。否、俺の動きが速すぎるのだ。

ゴーレム鉄板上の肉を口にねじ込み、何事も無かったように元の位置へ。


すげぇ!体が軽い!羽が着いてるみたいだ!


「バラバラになったゴーレムしか無いが、まさかコイツらがこんな硬い物を食べていたと言いたいのか?アルビカルビ」


「そ、そんなはずは……なぜっいや確かにさっきまで巨大な魔物の肉が!」


「もういい黙れ。残りは執務室で聞いてやる」


カルビは「ヒィ」と泣き言を漏らしながら軍服に連行されて行った。


自業自得だな……


「あらぬ疑いをかけてすまなかった。何が肥満体型だ。美しい肉体じゃないか。もしやデモンフィールドのボス、キングゴーレムを倒したのは君たちか?」


「ええそうよ。この通り、魔石も手に入れたわ」


「魔物という悪を切り裂く勇者だったか。次のフィールドもこの調子で頼む。すべてはこの美しい世界のために」


ロネーゼは腹部にて手のひらと拳を合わせる。この部隊特有の敬礼なのだろう。


肥満取締部隊は去っていき、緊張から放たれてため息。


「ちょっとちょっと、なんで急に痩せてるのよ。顔よく見せなさいよ」


「だぁ〜も〜女はこれだからよォ。見た目は良いんだろうがデブの時と比べたらパワーがミジンコだ。とっととカロリー摂取しねぇと魔物のエサになっちまう」


「あら、でもさっき信じられないスピードで肉飲んでたじゃない。もしかして痩せると超スピード手に入るんじゃないの?」


「確かにな。太ると動きは鈍いが超パワー。痩せると非力だが超スピードか。悪くねぇな」


「だったら食べながら戦えば最強ね」


「そんなの味わえねぇだろ。とにかく飯だ。カロリー消費しすぎて腹減った」


「アンタはいつも腹減ってるじゃない。ぽっちゃり……」


「大河」


「……やっぱりデブの方がしっくりくるわね。とっとと魔物食べなさい」


「おぃ」


俺たちはゴーレムの一部と魔石を手にし、飯を求めて歩き始めた。

















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