第4話手羽先じゃ〜!滝壺パンチ!
「鶏肉が食いたい」
魔物が蔓延るデモンフィールド。生い茂る木々の隙間を飛び交う鳥を見つめながらボヤく。
「今日の夕食が決まったわね。鳥の魔物なら、アカガミドリが絶品よ」
「アカガミドリ?」
「えぇ。その名の通り頭部が赤い鳥。ソイツの肉は200℃の高温で触れることすら叶わない。けど、ある事をすればプリン顔負けの弾力を誇る鶏肉になるの」
「食いたい!絶対に食いたい!」
腹から爆音を響かせ鳥を追うこと、3秒。
「ちょ……待て、休憩……」
「バテるの早過ぎよ!このぽっちゃり勇者!!」
「仕方ねぇだろォ……体が重いんだから。キュッキュッボンのお前は知らねぇだろうけどよぉ」
「どうやら先に調理されたいらしいわね。デブ肉はどう処理すれば食えるようになるのかしら……」
「嘘ですなんでもないです。すいません鳥食べたいです」
「欲望に忠実ね……飛び道具もないし、ぽっちゃり勇者のパワーも届かなきゃ意味ないわ」
「じゃーどうする?今更俺の腹は諦めきれねぇぞ」
「簡単よ。向こうから来てもらえばいいもの」
◇◇◇
コロネと森を歩くこと10分。草が生い茂っている箇所に巨大な卵を見つけた。全長30cmはあるだろうか。
「アカガミドリは卵を温める習性があるわ。ここで待てば必ず戻ってくる」
「そこを待ち伏せすんだな!おーし!捕まえてやろうじゃねぇか。俺の脂肪でよ!」
コロネと木々の間に身を隠す。そして数分後、アカガミドリが戻ってきた。
うぉ……魔物ってのはどいつもこいつもデケェ。人間なんて丸飲みじゃねぇか
白い体に真っ赤な頭。鉤爪は黒く鋭い。掴まれれば一溜りもないだろう。
けど、美味そうだな……
ぐぅるるるるっっころ、ごろろろっ
「あ」
「おぃ」
コロネに睨まれる。俺の腹の爆音によりアカガミドリは危機を察知。
俺は咄嗟に飛びかかる。
「うおあっ!」
大きく羽ばたかれ取り押さえに失敗。諦めず追いかける。
アカガミドリを追いかけ、木々をぬけた先は滝壺。アカガミドリは悠々と飛び立つ。
逃げられる!いや逃がさねぇ!俺は絶対絶対――
「鶏肉が食いたい!」
「ちょっバカ!その先は……!」
躊躇なく崖を飛ぶ。アカガミドリを捕らえたが落下。このままでは滝壺に叩きつけられる。
水面もコンクリみたいになるんだっけか?!こうなりゃ一か八か……拳で落下ダメージを相殺する!
滝壺に落ちる寸前。クリームパン拳が赤く輝く。
「2000kcal使用!メッツパンチ!!」
アカガミドリごと滝壺目掛け拳を振り抜く。
飛沫と抉られた石礫が高くまきあがった。
落下抵抗したが、デブ故俺も飛沫を上げて滝壺へと突っ込んだ。
「ぽっちゃり勇者!生きてる?!」
「ぷはっ」
水面から顔をあげる。隣にはプカプカ浮かぶアカガミドリ。
「鶏肉、とったどー!!」
◇◇◇
「飯のことになると無茶するわね。目の色変わっててアカガミドリもドン引きしてたわよ」
「なぁなぁ!ある事ってなんだ?どうやったらコイツの肉がぷるっぷるになるんだ?!」
服を搾りながら食事を心待ちにする。解体されたアカガミドリの肉は陽炎が立ち上るほどの熱が。そのままではとても食べられないだろう。
「赤ワインでフランペする。そうすることで温度が適温になる上に香り付け、旨味の引き出しまで可能よ」
「フランペって……」
コロネはフライパンの上で、赤ワインをかけた鶏肉に火をつける。
「うおおお!!あ、青い炎!」
「特殊な火だからね。可燃性超高いから素人は触るんじゃないよ」
真っ赤だったアカガミドリ手羽先が桃色へ変わっていく。火が消えると、手羽先の全貌が明らかに。
「プリップリじゃねぇか!!みずみずしすぎんだろ?!」
「コラーゲンよ。ぽっちゃり勇者のほっぺより柔いかもね」
手羽先に火が通ったら、調味料をかけながら焼く。少し焦げ目を付けて、お皿に盛り付ければ――
「アカガミドリ手羽先の照り焼きよ!」
「待ってました!!いただきまぁーす!」
タレまでプルプルになってやがる……どんだけだよ?!この肉の柔らかさはよ!
両手で摘み、かぶりつく。
「おおおおぉ……ッ」
ほっぺが落ちる!いや!落ちてんじゃねぇか?!ぷるぷるっもちもちっっ!
「心地いい弾力の肉!噛めば噛むほど口の中で弾けて照りダレが広がりやがる……美味い!胃袋が蕩けそうだぜ!」
「ん〜……久しぶりに食べたけどアカガミドリの手羽先は癖になるわね。私ってばまた最高の魔物料理を生み出しちゃったわ」
◇◇◇
「はぁ〜食った食ったぁ。けど、口の中が物足りねぇな」
「えぇ……あれだけ食べたのにまだ食べるの?」
「俺の胃袋に限界はない。それに、現代世界から言われてるんだ。甘いものは別腹ってな」
アカガミドリ
1600kcal




