第3話豚狩り!トンカツじゃ〜!
「そう。私はこの世界のあらゆる魔物を調理し、魔物は美味しいって証明したいの。アンタの強さがあれば強い魔物も手に入れられるわ」
「おぉっ!俺も丁度パーティ組んでくれるやつ探してたんだよ。ただし、条件がある」
「どうせ金でしょう?」
「違う。俺が倒した魔物で作った料理を必ず食わせろ。それが条件だ」
「あ、アンタ、分かってんの?魔物よ?」
「俺は決めたんだ。美味いものを我慢せずに腹いっぱい食う!飯=幸せだ!」
コロネは目を見開いたあと笑みを零し、手を差し出してきた。
「ぽっちゃり勇者。契約成立よ。残したら許さないからね!」
「おうともよ!」
むっちりした手を差し出し、握手を交わした。
◇◇◇
冒険者登録後即座に森フィールドへ進出した。
「街は魔物ってやつに襲われねぇのか?」
「魔導師がバリアを張ってるのよ。バリアから一歩外へ出れば、そこはもう人間様の土俵じゃない」
バキッバキバキッ
木々を蹴散らし、姿を表したのは巨大な豚。
「魔物の巣窟、デモンフィールドよ!」
「うおおおっデカすぎんだろ?!」
俺の身長の倍以上ある豚は家畜とは比べ物にならない。野生の瞳は鋭く、俺たちを捕食する側として見ている。
マジで倒せんのかコレ?!いや、やるしかねぇ!コイツをぶっ飛ばして、俺は美味い飯を食う!
拳を握りしめる。すると再び目の前にカロリー表示が現れた。
迫り来る豚。岩をも砕く硬い鼻。
極限のピンチに俺は全てを理解した。
「1000kcal使用!メッツパンチ!!」
赤く輝く赫灼の拳を豚の鼻っ柱に叩きつける。
豚の突進がカウンターとなり、威力は上々。木々をぶち飛ばしながらあっという間に豆粒大に吹き飛んだのだった。
「ふぅ〜!」
「凄まじいわね。あのキングピグがワンパンチ。ぽっちゃり勇者、アンタ何者なの?」
「俺は大河だ。いい加減名前で呼べ」
「さっさと追いかけるわよ。他の冒険者に横取りされちゃうわ」
「それは良くない!俺の食料だ!」
かなり遠くまで飛ばしてしまったらしい。折れた木々を追うと、豚は無惨にひしゃげ、岩に突っ込んでいた。岩から引っこ抜く。
見た感じ豚のデカいバージョンだな。丸焼きにしたら美味そうだ
「ね、アンタ。さっきのスキルなんなの?メッツパンチって」
「あぁ。目の前にカロリー表示が出たから咄嗟に思いついた。メッツは安静時の何倍のカロリーを消費しているかを表す単位だ。つまり、俺はカロリーを消費してクソ強いパンチが撃てる最強のデブっつーことだ」
「半分くらい何言ってるか分からないけど食えば強くなる。そういう事ね?だったら、食べなきゃね。余すことなく!」
「あぁ!動いたあとは飯だ!」
◇◇◇
「解体して取り出したキングピグの脂肪。その中でも中心部に位置する黄金に輝く肉……ゴールドファット!希少部位よ!」
「おぉ……」
なんつー手際。これだけデケェ豚のサシ方向を一瞬で見抜くなんて、実はコロネってすげー料理人なのか?
「普通に美味そうだけど、皆食わねぇのか?」
「食ったわ。でもたちまち全身が金になり絶命。今でも"金化"した男は高値で取り引きされてる」
「うわ……金化したデブはそりゃあ高値だろうよ」
「金化の原因は肉に染み付いた金粉。それを魔法注射器で吸い出す。そうすれば……」
金色だった豚肉はみるみるうちに美しい桃色の生肉に。
「うほー!プリプリツヤツヤ!美味そーな豚肉じゃん!」
「キングピグの肉は肉汁に旨味成分が多い。だから閉じ込めて、カリジュワに仕上げるわよ!」
「か、カリジュワってまさか……」
卵を潜らせ衣を付けて油の中へ。衣が茶色に染まったら大皿に乗せて――
「完成!キングピグの……」
「トンカツだー!!!」
「とん、かつ?とんかつ……なにその美味しそうなネーミング。良いわね!」
ふんわりトロ卵が熱々のトンカツにかけられる。俺はゴクリと喉を鳴らした。
お、俺の顔よりデカイトンカツ!カリジュワ!
「いただきます!」
熱々だが両手で掴み真ん中から豪快にいく。
カリッ……じゅわぁ……
「ンンッ!肉汁が溢れて卵と絡む……そんでもってこの衣だ!サクサクしてるのに分厚くなく、肉の柔らかさも味も邪魔しない。それでいて豚肉の旨味を引き立てている……美味い!美味すぎる!!」
「ぽっちゃり勇者って馬鹿そうに見えるのに食に関しては饒舌ね……」
「オカワリ!」
「早?!私が言うのもなんだけど金化しないかとか心配にならないの?ま、私の腕にかかればそんな事有り得ないけど」
「あぁ!コロネの作る飯は美味いからな!金化しても食べたいぜ!」
「っ……ば、馬鹿じゃないの!ほんと……全部揚げるからテキトーに作った卵焼きでも食べて待ってなさい」
「最高だぜコロネ〜!!」
キングピグ
2800kcal




