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デブだと処刑される世界で、カロリー最強の勇者になった件 ~魔物を喰って強くなるぽっちゃり勇者は、食=幸せを取り戻す~  作者: あきかたりれお
第一章デモンフィールド

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第2話悪食娘が作る異世界グルメ


「なんなんだテメェは?!」


「俺は田部大我……最強のデブ勇者だ!」


キマッた!!よく分からんがいけるぜこの体!


「クソッぶっ殺してやる!」


男は腰から取り出したナイフを振り上げる。


避けなきゃ――って体おっそ!無理これ刺されるっ!


グッと全身が強ばる。

男のナイフが肉壁にぶつかった。


バキンッ


折れたのは再び男の武器の方。俺の丸みを帯びたボディには傷一つない。


「お、俺のお宝ナイフがあああ!」


「だから言っただろ?俺のボディにはナイフなんか効かねぇって」


危なかった……


「それより俺を刺したってことは、刺される覚悟があったんだよなぁ?」


「ま、待て待て!俺はこの女から借金を取り立てる義務があるんだよ!勘違いだぜ〜」


「大の男が二人がかりで女の子から取り立てる。そんな輩はなぁ、ド悪人って現代世界から決まってんだよ!」


クリームパン拳を突き上げ、男をアッパーに処す。


「この体、なかなか良いじゃねぇか!」


「そこのぽっちゃり勇者。助けてくれてありがと。凄いパワーとタフネスね」


赤い髪の女が笑う。橙色の綺麗な瞳だ。


「いいってことよ!お陰でこの体の強さに目覚めたしな!」


ぐぅう〜ごろろろ、ぐるるる


鳴り響く爆音は腹の虫。


「ふ、お腹空いてるの?お礼と言っちゃなんだけど、カンタンな物なら作れるわよ。味は保証するわ」


「マジで?!食べたいです!」


「着いてきて。まずは調理場を借りないとね」


「サンキュー!えっと……」


「私はコロネ。よろしくね」


「チョココロネ……」


「ン?」


「いや、なんでもない!」


コロネに連れられて向かったのは町外れの食堂。


「表から入らねぇのか?」


「客じゃないからね。ほら、さっさと来な」


狭い入口は苦手だ。ムチムチしながら扉を潜ると、中は厨房だった。


「あぁ?誰かと思えば悪食娘じゃねぇか。まさかまたキッチン貸せとか言うんじゃねぇだろうな?」


巨大な包丁を持った筋肉ダルマが出てきた。


「そのまさかよ。助けてもらったお礼をしたいの。借りるわね、モグじぃ」


「おい!良いつってねぇぞ!……ったく、頼むから客にバレねぇようにしろよ?魔物を調理したキッチンなんて噂一つ流れみろ。こんなちっこい店、一溜りもぇよ」


「ありがと。ぽっちゃり勇者はそこ座って待っててね」


「はーい!」


異世界に来て初めての食事……顔面よりでっけー肉とか、ほっぺた落ちそうなくらい柔らかい果実とか、そーゆーのかなぁ〜


「おぃアンタ。冒険者か?悪いことは言わねぇ。コロネの料理を食うのはやめとけ」


「なんで?すげーマズイとか?」


「聞こえてるわよ。私の料理がマズイなんてある訳ないじゃない。モグじぃも邪魔しないでよね」


「はぁ……ま、調理してるとこ見たら食う気も失せるだろ」


意味深な言い草だが、お腹がすき過ぎてなんでも食べられる気がする。俺は料理を心待ちに、コロネの姿を見つめた。


コロネが鞄から取り出したのは焦げ茶色のパサついた肉だ。


「なんか俺の知ってる生肉じゃねぇんだけど。腐ってるみたいな色してね?」


「コイツはオーク肉よ。そのままだと硬いし臭いしお腹を壊すわ。けど、塩もみするだけで……」


コロネはふりかけた塩を生肉に刷り込み、揉んでいく。するとオーク肉は次第に柔らかく弾力を持ち、水分まで滲み出してきた。


「臭みを抜いたら火を通す。ここでは温度が大事よ。一気に加熱して、肉汁が閉じこもったら……即冷やす!この温度差がオーク肉の毒素をぶち壊すわ!」


コロネは天井近くまで燃え上がった炎にも億さず、濡れ布巾へ着地させる。

即座に大胆に、そして迷いなく調味料をぶっかける姿。俺の胸がワクワクと高なった。


「仕上げに炒めておいた野菜を盛り付けてソースをかければ……」


ドンッ


ソースがかかった巨大肉とゴロッとした野菜達が大皿にて登場。


「オーク肉のドミグラスソース添え!召し上がれ!」


「うおおあああ!美味そう美味そう!すぅ〜……すげー良い匂い〜」


「マジで食うのか?やめとけよ兄ちゃん」


「ちょっと。邪魔しないでって。 まぁ、オーク肉なんて食べたがる人いないのは分かってるし、アンタにも無理強いはしない――」


「食うに決まってんだろ?やらねぇぞ!」


「え、ええ……食べなさいよ」


「うし!いただきます」


肉を切る。ほとんど力を入れずとも刃が通る。なんて柔らかな肉だ。


すげー綺麗なサシ……これは美味いやつだ


パクッと一口。


「んん!!口の中で肉か溶ける!それなのに噛めば噛むほど肉汁が染み出て口ん中に広がってく……甘みの強い肉とドミグラスソースが相性抜群だぜ!」


「と、当然よ。私の料理なんだ……から……」


モグモグモグモグ


手も口も止まらない。肉も野菜も頬張り、旨味によって俺の脳は痺れ上がった。


と、目の前にデジタル表示の数値が浮き上がる。


1257kcal?カロリー表示?異世界って飯食うとそういう表示が出るってことか?意地悪な仕組みだなぁ〜


さらに腹の奥が熱を孕む感覚が――したような、しなかったような。


それよりも。


思いっきり美味しいもの食べるって、最高――!


「っはー!美味い!オカワリ!」


「えぇ?もうオーク肉無いわよ」


「んえぇ〜!マジかぁ。もっと味わって食えばよかった〜……」


「ふ、はは、あははは!アンタ、面白いわね本当に」


「?……変なこと言ったか?」


「ねぇ、ぽっちゃり勇者。提案があるわ」


「ていあん?」


「私と冒険者パーティ、組んでみない?」


橙色の瞳を輝かせながら、コロネは口角を上げた。



























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