第三話 有住の拳
堂々完結!?
残酷なシーンがありますのでご了承下さい。
城門を潜ると白い城が雄々しく建っているのが臨めます。
『サザンクロス に 入りました』
ウィンドウがサザンクロスって言っちゃってますよ(゜Д゜)。 まあ、アリスは無視しちゃってますけど。
さて、白いお城はあのちゃっちい眼鏡をしていれば黒々としたお城に見えるのでしょう(-ω-)。
……ホントに見えるんですかね?
アリスは何故か持ったままだった紙眼鏡をかざしてみました。
………………黒くは見えますが……しょぼいですね。 白いままの方が荘厳に見えるのは気のせいでしょうか?
「もう、どうにもならへんわぁ、これは」
ポイっと捨ててしまいましたよ、アリス。
駄目駄目だめですよ! と言いたいところですが、周囲はまるで廃墟のように人っ子ひとりいません(゜Д゜) 一応は城下町の中なのですが……。
建物は廃屋という感じではなく、普通に人の住んでいそうな清潔さを保っていますが、人のいる様な雰囲気はありません。
「すんまへん、お邪魔しますぅ」
不思議に思ったのかアリスは近場の一軒の扉を開けましたが、人のいる様子はありません。
首を傾げながら別の家も、その隣の家も同じ様に見て行きますが誰も人がいないようです。
「だぁれも……おらへんなぁ?」
呟きつつも首を傾げます。
出来れば女王様と会う前に身繕いをしたかったのですが、出来ないものは仕方ありません。 手櫛で少し髪を整えつつ城へと直行します。
歩く事少し。
白い、大きなお城の前に、巨大な『何か』がいるのが見えてきました。
剃り上げられた頭。 不貞不貞しい表情。
その顔には無数の傷が走り、凶悪さをマシマシしています。 でもふっくらほっぺたにあるハートのタトゥーはとってもチャーミング(*^_^*)。
肉塊と呼ぶに相応しい、丸々とした体躯。 それはとても人間のものとは思えません。
その身長はおおよそ3mにも及び、その推定体重は500㎏以上。
立って歩けているのがそもそも恐ろしい。 その骨格は一体どれ程の強度を持つのか想像も出来ません。
その『巨人』は何故かピチピチになった真っ白いふりふりフリルだらけのドレスを身に纏い、アリスへ微笑みかけます。 その胸には大輪の赤い薔薇!
これは――恐いっ!!Σ(゜д゜
ちなみにこのドレスのフリル、標準よりはむしろ大きいサイズなのですが、本人のサイズが大きい為にかなり小さく見えますね。
『心臓の女王 が 現れました!』
これ……『ハート』違いじゃないですか(゜Д゜)?
え? 似てるだけ? ホントに? いいんですか、こんなキャラを使って!?
チャーミングなお髭がないから大丈夫? モチーフはブッ○ャ―?
なら……いいんでしょうか?
「いらっしゃい、お嬢さん。
我が城へどの様なご用件かしら?」
見掛けによらぬ、鈴の音のような声が分厚い唇から漏れ出しましたよ。 なんてアンビリーバボー(・□・)!
声だけ聴けば正しく美少女、その口調は淑女のそれなのに、なんでこんな外見なんでしょう!
そしてその表情はどう見ても真っ黒な笑顔です。
「………………」
さしものアリスも言葉を失った様ですね。
言葉が出てきませんよ。
「ウサギのおっさんに言われて来ましてん。 元の世界に帰りたいんやけど、どないさしてもろたらよろしいやろ?」
そう思ったらそれ程物怖じしていないようです。
自身の二倍近い身長と十倍、は流石にないでしょうがそれくらいありそうな体重をした巨漢を相手に堂々としたものですね(・ω・)。
「ああ、なるほど。 貴女は異邦人なのですね」
ハートクイーンじゃ納得した様子で頷きつつ、アリスを見つめます。 こうギョロッと。
「ならば刮目しなさい。
さあさあさあ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!」
大声を上げつつ女王 ――と言う名の巨漢は大仰な仕種でその贅肉を踊らせます。 ぶるんぶるんと激しく踊る脂肪は見ていて気持ちの良いものではありません。
「十数年ぶりの試練の時は今来たれり!!」
両手を広げ、足を揃えて真っ直ぐに伸ばし、そのシルエットは十字……というかヤジロベエっぽいですが、多分本人は十字のつもりだと思われます。
すると何と言う事でしょう。
誰もいなかったはずの街から拍手喝采が聞こえてくるじゃありませんか! え? ホラーなの?
「貴女に試練を与えましょう。
その拳を以てわたくしと戦い、息の根を止めてご覧なさい。
さすればこの『銀の靴』が貴女の物になりますわ。
この『銀の靴』を履き、かかとを三回鳴らせば好きな場所に行けますの」
「靴?」
アリスはそう言われ何故かつま先立ちをする女王の足元を見ますが、裸足でつま先立ちをしているように見えます……あ!? デッカい親指に靴を履かせていますね。
「……それを……履かなあきまへんの?」
イヤそーな顔をするアリス。
この短い旅の中でも、彼女のこんな表情は見た事がありませんね。 レアですよ、レアΣ(゜д゜。
「何か問題でも?」
小鳥の鳴くような可愛らしい声で問い掛けてくる巨大な肉の塊です(・ω・)
問い掛けつつもその一見贅肉にも見える全身の筋肉にちからを込めて、一気に肥大化! 戦闘準備に入ってますよ!
「いぐど!」
急に仙台弁になったハートクイーンの拳 ――というか張り手がアリスを襲います。 彼女はその攻撃に触れる事なく懐に入り込むと、石畳を砕く勢いで踏み込み、その可愛らしい拳を純白のドレスを着込んだ肉塊へ叩き込みました。
――ズパンッ!!
凄まじい炸裂音が響きます。 ドレスが、その下の脂肪がぶるんぶるんと大きく震えました。 それはもう豪快なくらいぶる~んぶる~んと震えますよ(((・д・)))
「そんなごど、さっぱりきがね!」
風鈴の鳴るが如く響く美しき仙台弁と共に、丸太のような足で回し蹴りが放たれます。 親指に嵌まった銀の靴が飛んでいかないのが摩訶不思議。
「まだやっぺさ!」
更に張り手、張り手、回し蹴りが空を切った後、繰り出されるのは何処にそんな能力があったのか、フライングボディプレス! 日蝕の様に日を陰らせながら落ちてくる巨体はジャンボジェットの如き迫力です(゜Д゜)
――ズ……シン……!!
無数の石畳を破壊し、大地へめり込ませた驚異のプレス攻撃を躱したアリスは丁度いいところにあるクイーンの頭をブーツで蹴り飛ばしますが、こちらもあまり効いた感じはしませんね。 石頭を言うよりゴム鞠でも蹴飛ばした感じでしょうか。 衝撃が吸収されています。
「まだまだいぐど!」
クイーンは寝転がったまま一度地面に身体をバウンドさせるとその反動で立ち上がります。 動けるデブは健在です。
短い足が極限まで持ち上げられ、一気に落下をします。 かかと落としです。
見てはいけない、と言うか見たくない様なモノが視界に入った気もしますが彼女は気にしません! つおいΣ(゜д゜
短いとは言え足は足。 また身長も高いクイーンのそれは見事なほど綺麗にアリスの真上から襲い掛かってきました。
「はいな」
アリスはそれを受け流し、クイーンの巨体を城へぶつけてしまいましたよ(・д・)
瓦礫が崩れ、土埃に視界が霞む中、アリスは音もなく間合いを詰めていきます。
灰色の視界が一瞬だけ切れ目を見せる ――ドレスが破れたのか、肌色の土手っ腹が見えたその瞬間、
「破っ!!」
裂帛の気合いと共にその腹に掌打が叩き込まれました。
瓦礫の音のせいか、別の要因があるのか、衝撃音は聞こえません。 不発でしょうか?
「そんなごど、きがねっつったらきがねんだっちゃ!!」
ハートクイーンがそう言って立ち上がった時です。
――パァァァァァン……!!
クイーンの背中が破裂し、胃が、腸が、腹に詰まった内臓が後方へ飛び散ってしまいました(゜Д゜) その様相はカエルの肛門に爆竹を入れるが如く。 うわっ、グロ映像ですよ、これ!?
「わたしぃの本気の一撃、よぉ効かはったみたいやねぇ」
『心臓の女王 を 倒しました!』
「……ええ……、この銀の靴は貴女のモノよ……。 アデュー、マドモアゼル」
血に染まり真っ赤になった『銀の靴』を差し出すハートクイーン。 何故か最期の言葉はフランス語でした。
「~堪忍しておくれやすぅ」
差し出された『銀の靴』……というか『赤い靴』を蹴っ飛ばし、アリスは途方に暮れるのでした。
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「……何なの、これ?」
「え? エリカを主人公にした童話~」
「いや、童話って途中で話が変わってんじゃん、何よ『有住の拳』って!? なんかグロシーンあるし!?」
「なんか楽しくなっちゃってさ~」
「やめてよね~……何か変にリアル情報入れてるし……」
「エリカがネタにしやすいキャラなのが悪いのよ」
「まさかの責任転換!?
何にしても実名はやめなさいね。 後はちょっと誠意を見せていただきたいわ~」
「む~、いつものカフェの新作パンケーキでどうでしょ~?」
「まあ、よろしおす」
そんなわけでヒロイン有住絵梨佳は舞妓見習いの普通の女子高生でした。
それでいいのかって?
ほら、『不思議の国のアリス』もルイスがアリスに語って聞かせた物語だっていうし……。
あ、ヤバそうならイラストは外します(^_^;)




