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二話 グラップラーアリス

 一応前話にきらきらしてるシーンを入れたのは公式企画用だったから。

 そうしなかったのはR15がダメだったから(>_<)

 童話なんて残酷なモノなのになあ……。



 アリスは道中に現れる『悪ぅいお人』を叩きのめしながら、そしてたまーに食料を強奪しながら一本道を延々と歩き続けました。


 幸いにも綺麗な川をよく見掛けるので水には困りません。 あ、当然ですが生水は飲みませんよ?

 そこら辺に落ちている石を叩き割ると打製石器を作り、それであっという間に樹皮を剥いで簡易的な鍋を、乾いた枝葉を使い火を起こし、水を煮沸してからそれを飲んでいましたから。


 とってもサバイバーですね、アリス(^_^;) 何処で覚えたの、それ?


 そんなこんなで野宿なんてしつつ、更に歩くこと半日。

 彼女の前には崖の様に見える岩山と、ドデーンと大口を開ける洞窟の様な入り口が現れました。

 踏み固められた道はその洞窟へ繋がっている為、まあ、道を間違えた訳ではなさそうですね。


「……黒瑪瑙、って……採掘場じゃあらへんよねぇ……?」


 思わずそう呟いてしまうアリスです。

 ですが採掘をしているような天井を支える木枠 ――支保工(しほうこう)は見当たりません。 それがないからイコール採掘場じゃないとは言えませんが、中を覗き込んでみるとどうやらトンネルになっているようで、ずっと奥に光が見えますね。


「……トンネル、やねぇ……」


 一見すると天然の洞窟の様ですが、ほぼ真っ直ぐな道と、比較的綺麗に削られた壁面や天井は人工的です。


 中はかなり暗いです。 とは言え何が出来る訳でもありません。 アリスはそのまま………。


 ………?

 おや? アリス?


「……これでぇ、何とかなるやろぅか?」


 アリスはそこら辺に落ちる乾いた枝葉を樹皮で作った紐で縛ると簡易的な松明を作ってしまいました。 芯になる部分は生木をへし折って使用していますね。 火がつくと煙は凄いでしょうが燃えにくくなっているはずです。 作ったのはそれを2本。

 火は例によってぱぱっと着火してしまいました。 普通はそんな簡単につくものじゃないんですが……( ̄。 ̄;)


 アリスはお手製松明を掲げるとトンネルの中へ入って行ってしまいました。


『都 への 道 へ突入します』


 トンネルの中は当然暗いのですが光源が在ると違いますね。 頼りない炎ではありますが自身の周囲くらいなら照らしてくれます(*^O^*)

 中は広く、天井は意外と高く、煙に巻かれる事はなさそうです。 また人の通りがあるせいか、コウモリなどがいる様子もありません。


 トンネル内ですからカツーンカツーンと靴音が響きます。


 意外と平坦な道は、人が歩いた為に削られたのか、歩きやすいように研磨したのか、その辺りの判別は出来ませんが、歩きやすいのは大変結構であると言えますね。

 アリスは天井と床、壁を松明で確認しながら歩いていますが、これなら光を目指して真っ直ぐに歩いても問題のなかったレベルです。

 おっと、ゆっくりと歩くアリスはふと足を止めましたよ。 訝しむように表情を歪め、床をじっと見ています。


「おなごはんの裾を覗き見るなんて、行儀の悪い事で。 よぉそんな、はしたない事が出来はりますなぁ」


 トンネル内にアリスの声が響きます。


 蔑みを含んだ声色は明らかに不機嫌です。 恐いですね(;゜ロ゜)

 その声に一見ただの岩肌に見えた床がパカッと開くと、そこからひとりの男が飛び出してきました。


『プッシュワーカー が 現れた!』


「人聞きの悪い言い方をするのは止めて貰おうか! その様な事はちょっとしか考えていない!」


 ちょっとは考えてるんだ?

 堂々と言ってのけるその勇気に乾杯(^_^)


「考えてはるんやないの。 ほんま、えらい事言わはるわぁ」


 彼女、半眼です。

 相手は昨日会った山賊やウサギおじさんとはまた違う、現代風の迷彩服に身を包んだ男ですね。 頭にはヘルメット、顔にはゴーグルとガスマスクをつけた怪しい格好ですが、彼女、全く動揺しませんね?


「そんなお人には、お灸を据えんとあきまへんなぁ」


 口調は柔らか、表情は苦笑。 でもその目は全く笑っていません。


 それが解ったのでしょうか。

 男は反射的に身構えた様ですが、松明を落とし瞬時に間合いを詰めたアリスは彼が両手に持つナイフの『刃』を抓み軽~く奪い取ると、膝蹴りをえげつない箇所へ食い込ませました(゜Д゜)

 ぐしゃっ、という擬音の似合う、そんな音が響きましたよ。 コワイコワイ。


「…………――かぉぁぁぃ……ぃょわぁ……っ……ぉぅ……」


 奇妙な声を絞り出しながら、男はその一撃で全ての戦闘能力をを奪われ、先程まで潜んでいた穴に後ろから落ちていきました。


『プッシュワーカー は 戦意 を 失った!』


 アリスは開いていた蓋の部分を閉じると、蝶番と蝶番の間へ奪ったナイフを突き立てます。 同じ様にその反対側へもナイフを刺していますね。 それで空いた隙間に小石を詰め込んでいます。

 これで開かなくなる事はないでしょうが、恐らく開けにくくなったはずです。 嫌がらせですね(*^O^*)

 彼女はついでとばかりにその上に中くらいの石も乗せてから、松明を拾うと歩き始めました。 蓋がズレると落ちるような位置に設置された石は、果たして彼女の思うような動きをするのかどうかは解りませんが、それを期待して歩くのも乙というモノなのかもしれませんね。


 前進する事暫し。

 トンネルの出口に差し掛かりかけた時、背後からゴンッ! と鈍い音が響いてきました。 石と石が当たる音ではないようですし、どうやらいい感じに命中したみたいです。


『とどめ を 刺した!』


 怪しいウィンドウは無視しつつも、アリスは小さく微笑みながらそのまま足を進めます。

 このままトンネルを抜けるかと思いましたが、どうやらそうはいかないようですね。


 外の光が眩しいそこにはふたりの巨漢が立っていたのです(゜Д゜)。


『怪しい人影 が 2体 出現した!』


「我はこの場にて客人の目を守るエマジェンシグジットインザケイブ!!」


 デッカい声で巨漢のひとりが自己紹介(>_<)。

 2mを遙かに超える様な長身と、筋骨隆々の鍛え上げられた体躯。 剃り上げられた頭はまるで修行僧のよう。


「同じく! サウンドオブウォタエンタリングケイブ!!」


 同じ様な顔と体格をしたもうひとりも自己紹介。

 トンネル内に響き渡る大音量にアリスは顔を顰めます。


「はぁ……。 『洞窟の非常口』はんと『洞窟に入り込む水音』はん?」


「判りにくく発音しているのにずばっと当てないで頂きたい!」


「変わったお名前どすなぁ」


「そんな事は解っているのだ!」


 滂沱の涙を流して男泣きするサウンドオブウォタエンタリングケイブ、もとい水音さん。 そんなにイヤなの? 眼球の幅いっぱいの、滝のような涙がとっても劇画調です。


「そんなんより、こん先が黒瑪瑙の都でおますのやろぅ? ここぉ通してもらわはっても、よろしおすやろぅか?」


 水音さん、『そんなん』言われて崩れ落ちました。 両膝を岩盤に強打して、そのままのたうち回りに移行するという、流れるようなボケ方には脱帽するしかありません(゜Д゜)

 そんな相方に見向きもせず非常口さんはにっこりと微笑みました。


「はい、勿論構いません。

 しかしこの先を進む前にこのサングラスをおかけ下さい」


 彼がどこからともなく取り出したのは、サングラスと言うには難しい、紙製の色つき眼鏡です。 幼児雑誌の付録や、昔の3D映画で使われた様なちゃっちいヤツですね。

 レンズ部分に貼られているのは黒のセロファンフィルムです。


「都は全てが黒瑪瑙で作られており、黒黒と輝いています。 そのまま入都すると輝きの余りに目が潰れてしまいますので、常にこれを身につけて――」


「オズ魔のぱくりかいな!?」


 アリスはツッコミと共に風になりました。

 洞窟内に響き渡るような強い踏み込みと共に目の前の鳩尾へ掌打。 突き抜ける衝撃が視認できるほどの威力ですよΣ(゜д゜!


「ぱ……パクリではない……。 オリジナルの……二次創作は、許可されて……」


 そこまで言って非常口さんは両膝をつきました。 その目はうつろです。


「いる……」

 

 その一言を最後にバターンと倒れてしまいました(゜ロ゜)

 水音さんはまだのたうっているので邪魔するヤツはもういません。


「二次創作っちゅうのはそんなもんやおへん」


 言い捨てたアリスはトンネルを抜け、都 ――ブラックオニキスを目指します。


『ケイブ兄弟 を 倒した!』


 兄弟だったんだΣ(゜д゜



☆ ☆ ☆



 黒瑪瑙の都(ブラックオニキス)は眼鏡越しでなければ、白一色で統一された都市のようです。

 試しに先程のちゃっちい眼鏡を掛けてみると、まあそれなりに黒く輝いているように見えますね。


 高い塀に囲まれた街らしく、真っ直ぐに行くと固く閉ざされた門があり、その門前には衛兵らしい人達が見えますよ(^-^)


 衛兵さん、遠目に見ると三銃士の着ている様な、白い外套(カソック)を身につけている様に見えましたが近くで見ると少し違いますね。

 足元まで伸びる外套は、カソックと言うよりも人間広告塔(サンドイッチマン)でその形状はきっちり長方形。 下地は白ですが若干の模様の入ったそれはどう見てもトランプ(カード)です。


 ちなみにここにいるのは『スペードの8』と『クラブの9』。

 彫りの深い外人顔にはおしろいの様なモノを塗っているのか真っ白で、眉は麻呂眉です(゜Д゜)。 手には槍、頭には烏帽子を被っているという謎のスタイルは、RPGゲームの装備のような不自然極まりない組合わせを思い起こさせます。

 そうそう、ふたりともちゃんと紙眼鏡をつけていますよ。 なんてCHAOS!


『トランプ兵 が 2体 名乗りを上げた!』


「これ、そこの者。 我こそは心臓の女王(ハートクイーン)が家臣、真壁(まかべ)兵衛乃(ひょうえの)上忠也(かみただなり)である。

 名乗りを許す。 早に答えよ」


 と、言ってきますが名前が長いですね。 『8』でいいんじゃないでしょうか?


「うむ。 我は心臓の女王が家臣、宇佐見刑(うさみぎょう)部之鋤(ぶのすけ)一心亜門(いっしんあもん)吉良由岐布丞(きらゆきのじょう)である。

 さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ、早々に名乗られるが良かろうぞ」


 長い長い長いっ長いってΣ(゜д゜!! 

 名前も長けりゃ『さあ』も多い! さあ問題です。 『さあ』は何回言ったでしょう? なんて。

 まあ、死苦ですけど。

 こいつは以後『9』と表しましょう。


「はぁ……。 うちは有住絵梨佳と申しまんねん。 どうぞよろしゅう」


 よろしゅう、と言いつつよろしくしたくなさそうですよ、アリス。 気持ちは解りますが(^_^;)


「うむ。 アリス・ミエリカ殿であるな」


「何処で切ってはりますのん!?」


 アリスのツッコミに9は不思議そうに首を傾げています。 天然なんでしょうか?


「して、如何用で此処に来られたのかな?」


「……ハートクイーンはんにお目にかかりたいんやけど、よろしゅうおすやろうか?」


 とは言うものの、一応は『女王』と言うくらいですから、直ぐに会えるとは思っていないようですね。 アリスの表情にはその人と会える期待ではなく、その方法を教えてもらう教授の思いが見えます。


「すべき事を語るのは至極容易である。 我らを倒し門の鍵を手に入れよ!」


「汝の細腕で我らの肉体を打ち破れるのならな!」


 その言葉と共にふたりがムキッとポーズを取ると、何とその肉体が肥大化!Σ(゜д゜

 あっという間に3m近い身長を持つ筋肉の塊に化けてしまいましたよ。


 当然カソックなどのサイズは変わりませんが、はち切れる寸前で踏み留まっている様に見えますね。 足元まであったはずのカソックの裾はギリギリ股間を隠す程度になっており、何ともデンジャラスなメタモルフォーゼに思えます。


 しかし、アリスは涼しい顔です。

 一見危機感のない彼女の様子に、8が仕掛けます。 槍を地面に突き立て素手で襲い掛かってきましたよ。


 ――ドォオォォォン!


 轟音が鳴り響きました。


「はいな、倒しときましたえ~」


 これは……合気道の入身(いりみ)投げですね(゜Д゜)

 8は自分が何をされたのか解らない様子で空を見ています。 ああ、青く澄んだ空が見えます。


「何と!? 然れど我が残っておるわ!」


 今度は9が襲い掛かってきました。 

 彼は8の様に槍を手放さず、殺す勢いで襲ってきていますよ。

 流石にこれでは彼女も串刺しでしょうか!? 危うし、アリス(>_<)


 ですが次の瞬間、その鉄槍は宙へ飛んでいました。


「乙女に()もん向けるなんて、男前やあらへんわぁ」


 呆気に取られた9へ向かって神速の踏み込みを見せた彼女は、その華奢な両手を目の前 ――だいたいお腹の辺りです―― へ突き出しました。


「吹っ飛びなはれ!」


 ――ズドン!!


 砲撃のような振動と共に9は吹き飛ばされ、そのまま門を砕いてしまいました。

 ガラガラっと、瓦礫と化した門や壁が崩れ落ちます。 凄まじい破壊力ですね(-ω-)


「鍵ぃ、要らんかったみたいどすなぁ」


 彼女がそう言いながら視線を向けると8のヤツ、目を閉じてしまいましたよ(゜Д゜)。 気絶した振りか死んだ振りかは判りません。


『トランプ兵 を 倒した!』


 アリスは呆れたように8から視線を切ると、瓦礫を退かしながら門を潜り抜けます。


 さあ、入都です(*^O^*)




変な話…………。

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― 新着の感想 ―
あれ、もう童話を諦めて格闘技のお話になってしまったんですか〜w アリスちゃん強すぎ&たくましすぎ〜w あ、「さあ」は36回です\(^o^)/♪
楽しい。 ( ・∇・) しかし、突っ込みが追い付かない。 一体何処から、突っ込めばいいんだ!? (;>_<;) ミエリカは、何か文字っておられるのですか?
カオスやわぁ。 (╹▽╹) トランプ兵って字面をみると、何となくドナルドのイメージをしてしまう。 (´ε`)
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