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追放された制度設計官は、国が壊れるまで戻らない 〜有能すぎて追放されたが、もう誰も導かないことにした〜  作者: 影山クロウ


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第83話 説明できる

現場は、いつも通りの朝だった。


だが、カイの周囲だけが、少し違う。


若手が、待っている。


「今日も、見てもらっていいですか」


カイは、頷く。


斜面の前で、立つ。


風は弱い。

前日、少し雨が降った。


カイは、土に触れる。


「ここで止まるかどうかは」


若手が、息を呑む。


「土の軽さを見る」

「水の逃げ方を見る」

「音が鈍いかどうか」


言葉が、すらすら出てくる。


説明できる。


それが、嬉しい。


「理論にあるだろ」

「違和感を拾えって」


若手が、笑う。


「はい」


カイは、少しだけ胸を張る。


「違和感は、曖昧じゃない」

「観察すれば、分かる」


若手は、真剣にメモを取る。


カイは、さらに続ける。


「止まるときは、止まる」

「理由は、後からついてくる」


その言葉は、どこかで聞いたような響きを持つ。


だが、カイは気づかない。


彼の中では、

止まる理由は、すでにある。


過去データ。

経験値。

成功体験。


それらが、支えている。


作業は中断。

補強。


雨は来ない。


斜面は崩れない。


若手が言う。


「やっぱり、分かるんですね」


カイは、軽く笑う。


「慣れだよ」


だが、その瞬間、

心の奥で、何かが固定される。


——俺は、再現できる。


夜、若手が別の現場で、

カイの言葉を思い出す。


止まる。

土に触れる。

音を聞く。


「……ここだ」


補強。


成功。


翌朝、報告が上がる。


《カイ式判断により未然防止》


その文言を見たセルマは、

しばらく動かなかった。


説明できることは、

共有できる。


共有できることは、

型になる。


型になるものは、

守られる。


だが、

火は、

説明できるだろうか。


カイは、自室で、

若手からの礼のメッセージを読む。


「助かりました」


胸が、熱い。


——伝えられた。


止まることを。


その確信は、

ゆっくりと、

固まり始めている。


まだ、壊れていない。


だから、

疑わない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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