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追放された制度設計官は、国が壊れるまで戻らない 〜有能すぎて追放されたが、もう誰も導かないことにした〜  作者: 影山クロウ


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第57話 歪んだ接続

噂は、

形を変えて届いた。


「最近、

 事故が減っている地域があるらしい」


誰がやったのかは、

分からない。


報告書もない。

申請もない。


だが、

数字だけが、

静かに揃っていた。


制度側の会議室で、

担当官が首を傾げる。


「……

 この区域、

 管理外ですよね」


別の者が答える。


「ええ」

「基準も、

 適用されていません」


「それなのに、

 事故が起きていない」


誰かが、

小さく言う。


「参考になる」


その言葉は、

善意だった。


商業連合でも、

同じ話が出ていた。


「非公式な改善が、

 行われている」

「コストをかけず、

 成果が出ている」


代表の男は、

指を組む。


「……

 誰がやっている?」


「分かりません」

「名前が、

 どこにもありません」


代表は、

笑った。


「なら、

 探しましょう」


探す理由は、

称賛ではない。


接続だ。


若者たちは、

山を越えていた。


次の集落へ向かう途中、

道の端が、

不自然に沈んでいる。


若者は、

立ち止まった。


「……

 嫌な沈み方だ」


同行者が、

頷く。


「今なら、

 直せるな」


二人は、

作業に入る。


許可はない。

見物人もいない。


ただ、

立って、

直す。


そこへ、

一人の男が現れた。


身なりは、

きちんとしている。


「……

 失礼」

「ここで、

 何を?」


若者は、

顔を上げる。


「壊れないようにしてる」


男は、

周囲を見る。


「あなた方、

 この一帯で

 同じことを?」


若者は、

答えなかった。


答えなくていい。


男は、

名刺を差し出す。


制度の印。


「公式な話ではありません」

「ただ……

 協力できるかと」


その言葉に、

同行者が身構える。


若者は、

静かに聞いた。


「協力、

 とは」


男は、

言葉を選ぶ。


「記録だけでも」

「名前は、

 出さなくていい」

「成果を、

 共有したい」


若者は、

土を押さえながら言う。


「名前が出ないなら、

 意味がない」

「記録が残るなら、

 同じです」


男は、

一瞬、言葉を失う。


「……

 なぜ、

 そこまで」


若者は、

手を止めずに答えた。


「繋がると、

 囲われる」


男は、

深く息を吐いた。


「我々は、

 敵ではありません」


「分かってます」


若者は、

はっきり言った。


「でも、

 味方にも、

 なれません」


その言葉は、

拒絶ではない。


距離の宣言だ。


男は、

名刺をしまう。


「……

 気が変わったら」


「変わりません」


作業は、

終わった。


道は、

今夜も耐える。


男は、

去っていった。


若者は、

背中を見送らない。


同行者が、

小さく言う。


「……

 来ましたね」


若者は、

頷く。


「見つかった」

「でも、

 掴めてない」


それでいい。


世界は、

火を見つけた。


だが、

名前がない。


記録もない。


だから、

接続できない。


遠くで、

制度の灯りが見える。


商業連合の光も、

揺れている。


若者は、

暗闇の道を進む。


——繋がらない火は、

 広がらない。


——だが、

 消えない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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