表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された制度設計官は、国が壊れるまで戻らない 〜有能すぎて追放されたが、もう誰も導かないことにした〜  作者: 影山クロウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/95

第41話 余波の中で

翌朝、

集落は動いていた。


止まってはいない。

だが、

進んでもいなかった。


濡れた地面を踏み、

人々はそれぞれの場所に立つ。

修理ではない。

確認でもない。


ただ、

「見る」。


壊れた水路。

沈んだ床。

濁った流れ。


誰も、

口を開かない。


老人は、生きている。

だが、

もう歩けない。


商業連合は、

粛々と動いた。


「補償は、

 本日中に」

「医療手配も、

 規定どおり」


制度側も、

追加資料を持ってくる。


「想定外ではありません」

「基準は、

 改定可能です」


言葉は、

正しい。


だが、

誰の心にも、

届いていない。


若者は、

倉庫の前に立ち尽くす。


——全部、

 後回しにした。


——全部、

 正しかった。


だからこそ、

何も掴めない。


集会所に、

人が集まる。


今度は、

全員だ。


「誰が、

 悪かったんだ」


誰かが、

ようやく言った。


すぐに、

別の声が返る。


「誰も、

 悪くない」

「仕組みの問題だ」

「運が悪かった」


言葉が、

散らばる。


若者は、

喉を鳴らして言った。


「……

 俺たち、

 考えなくなってた」


その一言で、

空気が変sれる。


誰も、

否定しない。


否定できない。


商業連合の男が、

慎重に言う。


「それでも、

 仕組みは必要です」

「感情で、

 戻るべきではない」


制度側も頷く。


「再発防止には、

 基準強化が最善です」


若者は、

唇を噛む。


「……

 それで、

 誰が立つ?」


沈黙。


アルトは、

集会所の端にいた。


誰も、

彼を見ない。


だが、

彼は見ている。


——ここからだ。


責任を探すか。

意味を探すか。


どちらも、

簡単ではない。


夜、

若者が一人、

焚き火の前に座る。


「先生……」


アルトは、

顔を上げない。


「答えは、

 ない」


若者は、

分かっている。


それでも、

言葉を絞り出す。


「……

 でも、

 このままじゃ」


アルトは、

ようやく言った。


「このままでは、

 いられない」

「だが、

 戻ることも、

 できない」


火が、

小さく弾ける。


「だから、

 分かれる」


若者は、

顔を上げる。


「また……」

「今度は、

 思想だ」


アルトは、

静かに続けた。


「正しさを、

 守る者」

「正しさを、

 疑う者」

「正しさを、

 使う者」


若者は、

息を呑む。


——争いになる。


アルトは、

首を振る。


「争いではない」

「選択だ」


夜は、

深い。


アルトは、

帳面を閉じた。


——世界は、

 もう一度、

 考え始める。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ