強制全校集会、女王たちの戴冠式
異様な召喚
月曜日の朝。本来ならば週の始まりを告げる憂鬱な朝礼のはずだった。しかし、スピーカーから流れる西園寺麗奈の声は、どこか熱っぽく、それでいて有無を言わせぬ支配的な響きを湛えていた。
「全生徒および教職員に告げます。一時間目の授業を中止し、直ちに体育館に集合してください。私たちの学園に訪れた、新たな『光』を分かち合うために」
生徒たちは、吸い寄せられるように体育館へと向かう。日向結衣がばら撒いた「記事」の毒は、すでに彼らの無意識を蝕んでいた。
悠真は、舞台の袖で出番を待っていた。背後には、完全に人格を書き換えられた「女王」たちが控えている。
星野葵、天宮玲奈、西園寺麗奈、そしてカメラを構えた日向結衣。
「準備はいいか?」
悠真が問いかけると、四人は一斉に膝をつき、彼の指先に口づけを落とした。
「はい、悠真さま。……すべては、あなたの望むままに」
集団暗示の極致
体育館は、異様な熱気に包まれていた。千人近い生徒と教師が、一言も発さず、舞台の上に立つ一人の少年を見上げている。
悠真はゆっくりとマイクの前に立った。
「……皆、これまでの退屈な日常に、満足していたか?」
彼の声が、レベル5のスキル『無意識の常時監視』と、麗奈が調整した音響システムを通じて、体育館の隅々にまで浸透していく。
「勉強、部活、規律……。そんな偽物の価値観で、自分を縛り付けて何になる。俺が今から、お前たちの本当の望みを教えてやる」
悠真が大きく両手を広げた。これが、レベル5へと進化した**『集団暗示』**の真骨頂だ。
「目を開け。そして、本当の自分をさらけ出せ。……この場所では、羞恥心など無意味だ。あるのは、俺に選ばれ、愛されるという至上の悦びだけだ!」
悠真の言葉が『トリガー』となり、体育館の空気が一変した。
生徒たちの瞳から、個性の光が消え、深い陶酔の色が広がる。
「あ……。熱い……。体が、すごく、熱い……」
「桜井くん……、ううん、悠真さま……。私、ずっと、こうなりたかった……」
聖域の崩壊
最初に動いたのは、最前列にいた美人の若手女性教師だった。彼女はうわごとのように悠真の名を呼びながら、震える手でスーツのジャケットを脱ぎ捨てた。
それを合図に、体育館全体で「解放」の連鎖が始まった。
女子生徒たちが次々と制服のボタンを外し、スカートを足元に落としていく。布地が床に擦れる音が、波のように重なり、体育館を埋め尽くす。
千人近い女性たちが、一斉に下着姿、あるいはそれ以上の姿へと変貌していく光景は、まさに地獄のような、それでいて天国のような狂乱の極致だった。
「葵、玲奈、麗奈。……見せてやれ。俺に選ばれた者の姿を」
悠真の命令に従い、四人の女王たちが舞台の中央へ進み出た。彼女たちは、全校生徒が見守る中で、自らの衣服を完全に脱ぎ捨て、悠真の足元に横たわった。
「皆さん、よく見て……。悠真さまにすべてを捧げることは、こんなに、こんなに幸せなの……っ!」
葵が、恍惚とした表情で声を上げる。
それを見た女子生徒たちが、堰を切ったように舞台へと押し寄せた。
「私も……私も仲間に入れてください!」
「悠真さま、私を……私を見て!」
彼女たちは、競い合うように自らの肌を晒し、悠真の視線を求めて叫ぶ。かつては学園一の規律を誇った場所が、今や一人の少年を神と仰ぐ、巨大な肉の祭壇へと化した。
結衣は、その狂気と快楽のすべてをカメラに収めていく。彼女自身の顔も、多幸感でぐにゃぐにゃに歪んでいた。
戴冠の刻
悠真は、舞台の上からその光景を見下ろした。
自分の足元で悶える女王たち。自分を求めて泣き叫ぶ大勢の女子生徒たち。そして、もはや抵抗する術を持たない教師たち。
「今日から、この学園は俺の庭だ。……そして、お前たちは俺を飾るための花だ」
『学園全土陥落:完全成功』
対象:聖リリアンヌ学園 全生徒・教職員
獲得経験値:計測不能(MAX到達)
現在の地位:学園の絶対神
悠真は、最も近くにいた西園寺麗奈の髪を掴み、自分の方へ引き寄せた。
「麗奈、生徒会に命じろ。……明日から、この学園の制服は廃止だ。代わりに、俺が選んだ『最高の礼装』を着用させろ。……もちろん、俺がいつでも、どこでも、彼女たちを愛でられるようなデザインだ」
「……はい、悠真さま。……すぐに、手配いたします」
麗奈は、涙を流しながら微笑んだ。その瞳には、もはや一欠片の疑念も、一欠片の正義も残っていない。
桜井悠真という非モテだった少年の、復讐と欲望の物語。
それは今、一個人のハーレムを越え、一つの小さな「王国」の誕生へと至った。
だが、悠真の欲望は、まだ、これしきでは止まらない。
「次は……隣の女子校か。それとも、この街全体か……」
彼の指先が、次の獲物を探すように、冷たい空気を切り裂いた。




