94.よし、もう一回だ!!
俺は地下迷宮でベルナベルと向かい合っていた。
間合いは遠め。
近すぎると瞬殺されるのだ、俺が。
「では主よ、どこからでもかかってくるが良い」
「わかった。先手はもらおう」
俺は〈ボーンガーディアン召喚〉で三体のボーンガーディアンを出した。
するとそれに反応するようにベルナベルが一気に距離を詰めてきて、爪でボーンガーディアンを倒そうとする。
赤い残光が走る――が、ボーンガーディアンは盾で受け止めた。
いや、遅れて盾が崩れ落ちる。
盾を切り裂くのか……これは防ぎようもない威力だな。
盾を破壊されたボーンガーディアンは次は大剣を突き出してベルナベルを攻撃する。
二体目のボーンガーディアンが回り込んでベルナベルの行く手を阻む。
三体目は少し後ろから二体の様子を伺っていた。
俺は〈創造:槍〉の詠唱を始める。
「我は創造する。剣より長き刃もつもの。汝の名は槍――〈ホーミングジャベリン〉!!」
ボーンガーディアンたちの頭上を越えるように投擲する。
〈槍技〉を習得したお陰か、投擲した槍の軌道がイメージできるようになっていた。
なるほど、相性がいいスキルによるシナジーは無視できない。
一体目のボーンガーディアンの大剣はベルナベルの爪でバラバラにされ、そのまま胴体を切り裂かれて消滅した。
二体目がシールドバッシュを仕掛けるが、ベルナベルはクルクルと駒のように回りながら爪で盾を引き裂き、破壊する。
俺の〈ホーミングジャベリン〉が軌道を変えてベルナベルの後頭部を狙う。
しかし〈ホーミングジャベリン〉さえもベルナベルは爪で破壊した。
ガラスが割れるような音とともに魔術が霧散する。
二体目のカバーに三体目のボーンガーディアンが割り込む。
だが展開は変わらない。
盾の次は大剣を、そして胴体を切り裂かれて二体目も破壊された。
いかん、一体じゃ横を抜けてベルナベルがこちらに接敵してくる!!
慌ててもう三体のボーンガーディアンを投入した。
ボーンガーディアン三体で十秒、ベルナベルを止めることは確かに可能だった。
ただしベルナベルが魔術を使わない状態での話。
〈空間:攻撃〉を使われたら、一撃でボーンガーディアンはおろか俺もろとも真っ二つにするのだろう。
延々とボーンガーディアンを出して時間稼ぎをするのが精一杯だった。
俺は魔力を使い果たして、降参する。
「駄目だ、勝てる見込みどころか良い勝負にすらならない……」
「主よ、もう少し防御や支援をすることじゃな。例えば……〈空間:防御〉をボーンガーディアンにかけてやるとかどうじゃ? わしの爪くらいならそれで防げるぞ」
「ああ!! なるほどなあ……じゃあちょっと入れ替わって来るから待っててくれ」
「うむ。戦い方の幅を広げていくが良いぞ」
俺は本体の元へ〈帰還〉して記憶の統合をし、新たな〈代理人〉にバトンタッチした。
次の〈代理人〉は助言通りにボーンガーディアンの盾に貼り付けるようにして〈空間:防御〉を使った。
さすがのベルナベルも爪で〈空間:防御〉は破壊できないらしい。
しかしボーンガーディアンは盾を無視されて大剣の側から破壊され、頭部から足元まで縦に引き裂かれた。
……盾の強化だけじゃ、駄目ってことか?
だが全身を覆うように〈空間:防御〉を展開しては攻撃もできない置物になってしまう。
どうすればいい?
すぐに答えは出た。
残った二体のボーンガーディアンの盾それぞれに〈空間:防御〉を貼り付けて、盾を並べさせた。
ベルナベルの前に壁を作ってやったのだ。
こうすればすぐに破壊はされまい。
「うむ、それでよい。二~三体の盾を並べればわしとて爪だけでは突破できぬ」
シュバっとベルナベルはボーンガーディアンの頭上を飛び越えて、背後に回った。
そのまま一気に俺の元へ走り、爪を俺の首に目掛けて振るう。
「うお!?」
「二体のボーンガーディアンの盾を並べるまでは良い。だが無視することは容易い。故に三体目が少し後ろで待機しておれば、このような時にも時間が稼げような」
「そうか……一体破壊された時点で補充しないと駄目か……」
「というか、主の魔力ならば序盤は三体ずつ出していくのが良かろう。ある程度、わしの動きを止めたところで攻撃に移るのが良いのではないか?」
「なるほどな。よし、もう一回だ!!」
「うむ」
俺は何度もベルナベルに駄目出しされながら、戦い方を洗練させていった。
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