表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初期クラスが自宅警備員であるため一歩でも宿から出ると経験値が全く得られなくなるらしいので、自室に引きこもります!  作者: イ尹口欠
聖痕収集編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/177

81.マジか、ふたつも入手したの?

 よくよく話を聞いてみれば、悪魔たちはこの世界に()んでいた。

 魔界ならぬ創世の女神の地上で、悪魔たちは己の眷属たる魔族を生み出して仕えさせたが、それすら退屈しのぎにならなかった。

 天敵たる人類といつ終わることのない戦いがあったからだ。

 心休まる日々はない。


 そこで現れたのが、魔王――先代とはいえ七大罪の“憤怒”を司っていた高位の悪魔だ。

 魔王の庇護下にあれば、人類に襲われても死ぬことはない。

 悪魔たちは魔王に隷属を誓い、その代わりに魔王軍として協力して人類に当たることになった。


 当初は小規模な集団だったらしいが、年月を経るごとに魔王軍は大きくなっていった。

 だがしかし、この世界に倦んでいたのは魔王も同じだったのだ。


 俺は魔王城を〈隠れ里〉にして、悪魔たちの安住の地とすることに決めた。



「いや、まったくよく分からない。記憶を統合してもいいか?」


 本体である俺は、無事に魔王を倒して〈帰還〉した〈代理人〉たちからの報告を聞いて、頭を抱えていた。

 なぜ魔王軍が隷属しているんだよ。

 街を滅ぼした悪魔たちが俺の配下になったら、マズいだろうが対外的に。


 ……いや、今更か?


 体面を気にするような俺じゃないよな。

 ともあれ魔王の考えはちょっと人類には理解できない。

 その場で見聞きしてきた〈代理人〉たちの記憶を統合して経験を共有しなければ、分からないことだらけだった。


 ……ううん、記憶を統合しても判然としないな。


 ともかく悪魔たちが深刻なホームシックになっていて、人類との終わることのない戦いに疲れていた、ということなのは分かった。

 これだけ理解できていれば、あとは魔王城は基本的には放置でいいだろう。


 ただ悪魔たちは色々なチカラを持っているらしい。

 その中に俺にとって有益なものがあるかもしれない。

 城主として〈代理人〉をひとり、常に派遣して悪魔の能力の把握に努めてもらうことにしよう。

 なにか特産物でもできれば、取引をしてもいいしな。


 日も傾き始めて、続々と〈代理人〉たちが戻る。

 本日の成果は、聖痕ふたつだ。


 マジか、ふたつも入手したの?


 どうやら〈永続召喚〉で常にボーンガーディアンを召喚し続けられると、探索の進み方も改善されるらしかった。

 俺の入手した聖痕はこれで十一個目。

 経験値増加スキルは〈経験値60倍〉となった。


 またダンジョンで宝箱を設置し続けている〈代理人〉からは、遂に全力で魔力を注いだ宝箱の設置に踏み切ったとの報告を受けた。

 宝箱からは最初、強力な武具の類が出てきたらしいが、それらは俺にとっては不用品。

 すべて〈リサイクル〉に回し、何度か〈代理人〉を入れ替えながら全力で宝箱を開き続けた結果、あるひとつの宝物を入手したとのことだ。


 それは、『ステータス隠蔽のスキルオーブ』というものだ。


 早速、ベルナベルに見せてみることにした。


「ほう。これは珍しいものを。スキルオーブは使用した者にスキルを習得させる宝珠じゃな。これの場合は〈ステータス隠蔽〉のスキルを習得させるものじゃ。〈ステータス隠蔽〉はその名の通り、他者の鑑定系スキルから任意の項目を見えないようにするスキルでな。主のように〈代理人〉を駆使するならあって損のないスキルじゃな」


「スキルが増えるのか……それは素晴らしいものを」


「まさかダンジョンの宝箱から出たのか? それは……凄いことじゃな。これで主は多くのスキルを保有できるじゃろう」


 俺はステータス隠蔽のスキルオーブを使った。


《〈ステータス隠蔽〉のスキルを習得しました》

《〈ステータス隠蔽〉と〈姿写し〉を統合します。〈変身〉を習得しました》


「ベルナベル、〈ステータス隠蔽〉と〈姿写し〉が統合されて〈変身〉になった。これは〈姿写し〉とどう違う?」


「ほう。〈変身〉は〈姿写し〉より上位のスキルじゃな。外見以外に、ステータスも変身元の相手のステータスが表示されるようになる。あくまで中身は主のままじゃが。鑑定系を受けた場合、本人だと誤認させる効果が高まるわけじゃな」


「なるほど。コーニエルに〈変身〉すれば……いや待て。その場合、種族が魔族になってしまうじゃないか」


「くっくっく。悩みが尽きぬな?」


 どうにかして人類に〈変身〉しなければならない。

 さて誰に変身すればいいのだろうか……。


《名前 コウセイ 種族 人間族(ヒューマン) 性別 男 年齢 30

 クラス 自宅警備員 レベル 77

 スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉

     〈料理〉〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉

     〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉

     〈相場〉〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈多重人格〉

     〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉

     〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈防犯カメラ〉〈ホットライン〉

     〈帰還〉〈領土〉〈変身〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉

     〈眷属強化〉〈ダンジョン管理〉〈浮遊島〉〈城塞〉〈リサイクル〉

     〈監視衛星〉〈永続召喚〉〈アイテムボックス〉〈経験値60倍〉

     〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉

     〈隷属:魔王軍〉〈従魔:マーダーホーネット〉

     〈従魔:レッドキャトル〉》


面白い、続きが読みたい、そういった読者様は評価とブックマークで応援してください。

評価とブックマークは作者のモチベーションに関わるため、是非ともお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ