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初期クラスが自宅警備員であるため一歩でも宿から出ると経験値が全く得られなくなるらしいので、自室に引きこもります!  作者: イ尹口欠
聖痕収集編

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78.ここでベルナベルを失うのは駄目だな。

 夕方になった。

 記憶の統合のために、続々と各地に派遣していた〈代理人〉たちが戻る。


 〈匿名掲示板〉のニュース速報では既にジスレールフェルスの街が大量の悪魔に襲われ、壊滅したことが話題となっていた。

 全員が揃ったところで、俺は方針を告げる。


「聞いてくれ。本日、魔王とやらが大量の悪魔を使ってジスレールフェルスの街を滅ぼした」


 顔をしかめる〈代理人〉たち。

 ベルナベルだけは「ほう?」とだけ呟き興味を示した。


「聖痕探索中の〈代理人〉が魔王配下の悪魔に襲われた。無事に撃退したようだが、このような状況では聖痕探索に邪魔が入りかねない。そこで、〈代理人〉を四人ほど使って魔王を倒す。そこにはベルナベルも加わってもらいたい」


 ベルナベルと組んでいる俺の顔をした〈代理人〉が問うた


「俺はこのままひとりで聖痕探索を続ける、ということか?」


「いや。俺の……コウセイとしての〈代理人〉はクロエとローレア、カーシャとマニタのところ以外、ひとまず出さないことにする。聖痕探索は全員がコーニエルに〈姿写し〉をしてもらう。悪魔が出てこなければ、もう俺ひとりで対処できるだろう?」


 そして幾らかの質疑応答を経た後に、記憶の統合を順番にしていく。

 銀ランクの冒険者タグと一級魔術師のタグは、しばし〈アイテムボックス〉の肥やしだ。

 もっともクロエとローレアのところの〈代理人〉はお金を支払って再発行した冒険者タグを付けているが、このふたりは常にコウセイのフリをしていなければならないので例外だ。

 カーシャとマニタのところの〈代理人〉は別に冒険者タグがなくても困ることはないので、必要ない。


 記憶の統合を終えて、基本的な指針を共有し、全員が各地に散っていく。

 ベルナベルだけは残って、〈淫夢〉で精を集めてくると言っているが。


 さて魔王討伐用に三人の〈代理人〉を生み出した。

 彼らは各地に〈帰還〉し、〈精霊:使役〉で魔王のいる方角を調べてもらう。

 その方角の交点こそ、魔王の現在地になるのだ。


 早速、〈代理人〉たちを各地に派遣して、俺は〈ホットライン〉を三人と繋ぎっぱなしにして〈監視衛星〉を開いておく。

 始点からの方角を聞いてその交点のある場所には、城がひとつあった。


「仮にこれを魔王城と呼称する。魔王はここにいるものと断定して、〈浮遊島〉を向かわせる。三人は島に〈帰還〉して待機していてくれ。ベルナベルは明朝、もうひとりの〈代理人〉が連れて行く」


「「「了解した」」」


 通話を切る。

 さて魔王とはいかほどの存在なのだろうか。

 ベルナベルがいれば十中八九勝てるはずだが、もし同格の七大罪の悪魔だった場合はどうなるのだろう。


 ……ここでベルナベルを失うのは駄目だな。


 もしも勝敗が五分になりそうならば、四人目の〈代理人〉にはベルナベルを逃す役割を与えておくのが良いか。


 俺はいつも通りに〈匿名掲示板〉の管理をしながら、ベルナベルの帰りを待った。



 深夜、唐突にホロウィンドウがポップアップした。


《自宅警備員がレベルアップしました》

《〈永続召喚〉のクラススキルを習得しました》


 レベルアップか。

 これは一体、何のスキルだ?

 どうやらパッシブスキルらしく、起動のしようがない類のものだ。

 こうなってくると、効果を確かめるのが難しい。


 ベルナベルに鑑定してもらうしかないかな。



 翌朝、ベルナベルが戻って来た。

 非常に良い笑顔だ、多分、たっぷりと精を食らったのだろう。


「ベルナベル、戻ってすぐで悪いが、新しいスキルの効果を知りたいんだ。見てくれないか?」


「ん? よいぞ主。どのようなスキルじゃ?」


「〈永続召喚〉というパッシブスキルなんだが……」


「ほう。……ふむふむ、なるほどこれは素晴らしいスキルじゃ」


「そんなにか? 何を召喚できるんだ?」


「違う違う。主よボーンガーディアンを試しに召喚してみよ」


「? 分かった」


 俺はボーンガーディアンを召喚する。

 しかし何の変化もない。


「何も変わらないように見えるが?」


「うむ。見た目は変わらぬな。〈魔力眼〉で見て見るが良い」


「ああ……」


 俺は〈魔力眼〉でボーンガーディアンを見たが、特に変化はなかった。

 いや、待てよ?


「魔力が減衰していない? これってまさか……」


「そうじゃ。主の召喚するボーンガーディアンは、永続的にこの世に存在できるようになったのじゃ。以前とは違い、魔力が大気中に散っていかないから、ダメージで破壊されたり、主が〈リサイクル〉で消さない限りは、そのまま居続けるというわけじゃな」


「すごいな。これって何体でも召喚できるんだよな?」


「〈代理人〉を動員すればあっという間に大軍が作れるぞ」


 これは本当に素晴らしい。

 戦闘になってからボーンガーディアンを召喚するのではなく、予め召喚しておき護衛にすることができるという点で、聖痕探索にも役立つ。

 何より、これから向かう魔王城に攻め入るのにも使えるではないか。


 俺はすぐに〈ホットライン〉で全ての〈代理人〉にこのことを伝えた。


 さてこうなったら予定を変更して、ボーンガーディアンの大軍を作ってから、魔王城に攻め入るとしようか。


《名前 コウセイ 種族 人間族(ヒューマン) 性別 男 年齢 30

 クラス 自宅警備員 レベル 77

 スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉

     〈料理〉〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉

     〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉

     〈相場〉〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈多重人格〉

     〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉

     〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈防犯カメラ〉〈ホットライン〉

     〈帰還〉〈領土〉〈姿写し〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉

     〈眷属強化〉〈ダンジョン管理〉〈浮遊島〉〈城塞〉〈リサイクル〉

     〈監視衛星〉〈永続召喚〉〈アイテムボックス〉〈経験値50倍〉

     〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉

     〈従魔:マーダーホーネット〉〈従魔:レッドキャトル〉》


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