71.俺がやることは単純。
〈浮遊島〉の管理を任されたので、俺はダンジョンに〈帰還〉して外に出た。
スキルを起動すると、思ったよりも巨大な空中に浮かぶ島が現れる。
これ遠目でも見えるんじゃないのかな、早く隠さないと。
〈浮遊島〉は最初から自宅領域扱いなので、〈帰還〉で島に入ることができる。
草木の生えたなにもない平らな島は、「なんにでも使える」と同時に、取り返しの付かない要素とも言えるだろう。
活用は慎重かつ大胆に、が基本だろうが、今は活用の方法が思い浮かばないので移動用に使うくらいだろうか。
おっと早く〈隠れ里〉に設定しよう。
……オーケー、これで俺の眷属以外には目視すらできなくなった。
ひとまず〈浮遊島〉にいる間は、ホロウィンドウで操作用のコンソールが出せるらしい。
うん、簡単な操作方法だが、移動させるためには魔力を消費するようだ。
まずはガエルドルフとオルタンスモーア以外の街へ向けて移動させよう。
できれば地球人が初期配置された十二の街を網羅し、聖痕探索を始めたいところだ。
名もなき洞窟の最奥に、座り心地の良いソファを用意し、入り口に扉を設置した。
あとテーブルと筆記用具も用意しておく。
殺風景だが、最低限の調度品があれば問題ないだろう。
俺がやることは単純。
魔力を注ぎ込んで宝箱を延々と出し続けることだ。
ただし消費魔力によって宝箱の中身がグレードアップしていくという仕様らしいので、まずどのくらいの魔力で何がでるのか調査する必要がある。
場合によっては魔力を使い果たすだろうから、そうなったら別の〈代理人〉と交代だ。
〈代理人〉を無限に呼べるということは、無限に魔力を使えるということでもある。
もちろん同じ顔が並ぶ不自然さがあるため、〈代理人〉を複数運用するときは同じ場所にふたり以上配置しないように気をつける必要がある。
それすらも〈姿写し〉を使えば問題は解決するようになったので、今後はどんどん〈代理人〉を酷使していくことになるだろう。
とりあえず俺の全魔力を十等分してみて、宝箱の中身を調査するところから始めていこうかと思う。
さて何が出るか、非常に楽しみである。
俺とベルナベルは、ダンジョンに〈帰還〉して外に出た。
もう既に〈浮遊島〉が空に浮いている。
「面白いスキルじゃのう。島に建造物など建てれば、都市国家として独立できそうじゃな」
「そういう意図のスキルだとは思うんだが、執事とかいないから管理がなあ」
「ふむ。まあ急ぐ必要はあるまい。お、なにやら動き出したぞ」
「ああ、どこか街を目指すつもりなんだろう。順調そうだな」
ひとまず〈浮遊島〉の方は上手くいっているようなので、こちらも仕事を始める。
〈精霊:使役〉で聖痕を探してもらった。
「よし、向こうに聖痕があるらしい。行こうか」
「うむ。分かったのじゃ」
俺たちは聖痕のある方角へと歩き出した。
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