66.イメージは、ミサイルだ。
レッドキャトルの番を〈牢獄〉に送り込み、新しい〈代理人〉にテイムを任せた。
テイムした暁には、黒影族のところで飼育してもらおう。
ダンジョンに戻って来た俺とベルナベルは、順調に進み、遂に最深部まで辿り着いた。
そこは青い宝石のようなものが鎮座する小部屋であり、その青い宝石こそがダンジョンコアと呼ばれる、ダンジョンの心臓部なのだそうだ。
ダンジョンコアにはしっかりと聖痕が刻まれていた。
「よし、破壊しよう」
「気をつけろ、主。ダンジョンコアは動かぬ魔物じゃ。しかし戦えぬわけではないぞ」
ダンジョンコアからドバっと大量の触腕が生えてきた。
チカチカと明滅を繰り返すダンジョンコアから、地属性の攻撃魔術が飛んでくる。
「そういうことはもっと先に言え!!」
ボーンガーディアン二体を前衛にして、〈ホーミングジャベリン〉を三本発射した。
しかし必中の〈ホーミングジャベリン〉が空中で触腕に叩き落される。
見た目以上に素早く、硬い。
いや硬いというよりも斬撃や衝撃に強いと言った方が正確だろうか。
ウネウネとした触腕は、ボーンガーディアンたちにグルリと巻き付き、締め上げている。
突如として天井から矢が放たれた。
ボーンガーディアンたちに当たるが、分厚い甲冑に阻まれてダメージにならない。
罠を自由に生成できるらしい。
ということは、魔物の増援もありそうだな。
もう一体、背後にボーンガーディアンを召喚しておく。
前衛のボーンガーディアンたちは力づくで触腕から脱出し、なんとか体勢を整えて大剣を振るう。
しかし弾力のある触腕は切断されることなく、剣を受け止めた。
強いぞ、ダンジョンコア。
とはいえ、戦えているのは事実。
その証拠に、まだベルナベルが手を出していない。
……つまりまだ余裕があるということだな?
俺は、――〈写し技Ⅶ〉を起動した。
《現在の〈写し技Ⅶ〉の対象は以下の通りです。
〈常駐障壁〉〈危険感知〉〈地:攻撃〉〈触腕生成〉〈膂力〉〈ダンジョン管理〉》
ほうほう、〈ダンジョン管理〉とな?
唐突に罠を生成したりしているのは、このスキルによるものらしい。
面白そうなのはダントツでこれだ。
迷わずに習得した。
しかし起動しようとして、それができないことに気づいた。
どうやらこのダンジョンの管理者であるダンジョンコアを倒さなければ、俺がダンジョン管理を発動することはできないらしい。
ちょっと早まったか?
いや、ダンジョンコアを破壊した後なら、なんとかなるに違いない。
俺は〈創造:槍〉で新しい槍を作成する。
イメージは、ミサイルだ。
着弾したら爆発する投槍である。
もうそれ投槍じゃないだろう、とは思うのだが、追尾性能をもたせたりできるのだ、着弾時に爆発するくらいの応用は可能だと思う。
「我は創造する。剣より長き刃もつもの。汝の名は槍――〈ロケットジャベリン〉!!」
追尾性能までは追加できなかったので、ミサイルというよりはロケットになったのでこの命名だ。
真っ直ぐに飛ぶ〈ロケットジャベリン〉は、触腕に叩き落されると同時に派手な炎を伴い爆散した。
飛び散る触腕。
なるほど、打撃にも斬撃にも強いが、爆発には耐えられなかったようだな。
俺は〈ロケットジャベリン〉を発射しながら、触腕を減らしていく。
そして遂に、無防備になったダンジョンコアにボーンガーディアンの剣が突き刺さった。
《名もなき洞窟が自宅として認定されました》
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 67
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉
〈料理〉〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈相場〉
〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈多重人格〉〈睡眠不要〉
〈闇市〉〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉〈隠れ里〉
〈牢獄〉〈テイム〉〈防犯カメラ〉〈ホットライン〉〈帰還〉〈領土〉
〈姿写し〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉〈眷属強化〉
〈ダンジョン管理〉〈アイテムボックス〉〈経験値35倍〉
〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉
〈従魔:マーダーホーネット〉》
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