62.これから各々には魔術の研鑽を積んでもらう。
〈ホットライン〉でベルナベルから魔術の研鑽を積むようにと、助言があった。
俺は〈匿名掲示板〉の管理の手を止めると、〈代理人〉を習得している魔術の数だけ呼び出した。
「これから各々には魔術の研鑽を積んでもらう」
「「「「「分かった」」」」」
俺は〈隠れ家〉の部屋を人数分だけ用意して、魔術の練習用の部屋とした。
この部屋で、ひたすら魔術を使わせる。
〈空間:防御〉は障壁の大きさの精度を上げたり、全身を覆う形への展開の練習を始めとし、最大の目標は詠唱の習熟とした。
防御魔術であるがゆえに、咄嗟に詠唱して出せるようにできるのが理想形だと思ったからだ。
〈時間:治癒〉は効果範囲の拡大を試したい。
一度に複数人の傷を癒せるようにできるのが理想だ。
そしてこれもまた、詠唱の失敗が命のロスに繋がるため、詠唱の習熟は必須と言えよう。
〈創造:槍〉については俺自身の唯一の攻撃魔術であるため、詠唱の失敗は許されない。
そしてできることなら、複数の〈ホーミングジャベリン〉を出せるようになると攻撃力はかなり上昇するはずである。
〈精霊:使役〉はひたすら練習して詠唱することだ。
これについては聖痕探しにしか使っていないから、磨きどころが分からない。
応用の手段を模索したり、命令の効率化、より多くの精霊の使役などが課題だろうか。
そして本命は〈ボーンガーディアン召喚〉だ。
まずはベルナベルを十秒とはいえ抑え込めるという三体同時召喚を目指す。
護衛を万全にするのにも三体程度はいつも召喚しているから、三体同時召喚は有効なはずだ。
俺はそれぞれと課題を共有し、魔術の練習部屋へと送り出した。
本体が魔術全体の底上げをしていることなど露とも知らず、俺は聖痕へ向けて歩いていた。
〈精霊:使役〉によれば、割と近くまで来ているらしく、距離を教えてくれるようになった。
そして、その場所までやって来たのだが。
「まさか、ダンジョンの中とはのう」
距離がゼロになったところにあったのは、地下への階段だった。
どうやらダンジョン内に聖痕があるらしい。
ダンジョンとは、一種の魔物だとされている。
内部に魔物を取り込み、宝物を餌にして人類を食らうのだ。
しかし基本的にはダンジョンは動かず、そのまま放置しても害はない。
むしろ人類は魔物や宝物を得るために、冒険者ギルドで保護しているくらいである。
ここは人里から離れているために、まだ見つかっていないダンジョンであると推察された。
「ダンジョンは久々じゃ。罠があるからのう、ボーンガーディアンを先行させておくのを忘れぬようにな」
「罠か。見つける手段ってないのか?」
「うーむ。わしにはないが、主には〈精霊:使役〉があるな」
「そうか。罠も見つけられるのか」
「しかし精霊は大雑把じゃからのう。複数の罠が密集していたりすると、命令によっては危険じゃ。だからボーンガーディアンに踏ませるといいぞ」
なるほど、確かに〈精霊:使役〉をいちいち使うのは手間だ。
罠はボーンガーディアンに踏ませて潰してもらうのが良さそうである。
「さあて、聖痕を得たダンジョンだとすると、どれだけ厄介か分からぬが……主が一緒なら楽勝じゃろう」
「俺を随分と買ってくれているようなんだが?」
「相性がいいんじゃよ。いつでも拠点に戻れるスキルもあるし、使い捨てのボーンガーディアンを召喚でき罠にもかかりづらい。ダンジョンからすれば厄介者以外の何者でもない」
なるほど、言われてみればいつでも拠点に戻れる〈隠れ家〉はダンジョンにとっては天敵に等しいな。
ボーンガーディアンには悪いことをするが、先行偵察してもらって罠を潰してもらうとしよう。
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