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初期クラスが自宅警備員であるため一歩でも宿から出ると経験値が全く得られなくなるらしいので、自室に引きこもります!  作者: イ尹口欠
聖痕収集編

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53.俺たちの完全勝利だ。

 遂に冒険者らしき六人と接触した。

 そして同時に、この接触が偶然でないこともよく分かった。


 相手は聖痕を入手した地球人のひとりリョウマだった。

 新聞で顔写真を見ているから知っている。

 そしてパーティメンバーのひとりに森人族(エルフ)がいた。


 やっていることは恐らく同じこと。

 〈精霊:使役〉で聖痕を探していたのは、向こうも同じだったのだ。


「日本人、だよな? あんたがひとつ目の聖痕を入手した野郎か?」


「初めまして、リョウマ。〈精霊:使役〉で聖痕を探せることに気づいたのは良かったな」


「――なぜ、俺の名前を知っている? それに〈精霊:使役〉のことまで」


「知っているさ。残念だ、最後ではなく、この時点で殺し合いになるとはね」


「チ。上等。六対二で勝てると思うなよ!!」


 リョウマの仲間たちが構える。

 ベルナベルは「わしはどうする?」と呑気に問うてきた。


「サポートを頼む。アイツは俺が殺さなければならない」


「分かった。油断するでないぞ、主よ」


 魔術が飛んでくる。

 こちらはまず前衛の用意からだ。

 〈ボーンナイト召喚〉で完全武装したボーンナイトを前に立て、盾で魔術を防ぐ。


 リョウマは腰から剣を抜き放ち、こちらへ走り寄る。

 仲間のうちふたりも同様だ、どうやら前衛は三人いるらしい。


 俺は追加で完全武装のボーンナイトを二体召喚した。


「召喚魔術かなんかか? だがそんな急造の騎士三体で俺たちを止められると思うな!!」


「我は創造する。剣より長き刃もつもの。汝の名は槍」


「やっぱり魔術師か。このまま召喚された騎士を食い破って、聖痕を奪う!!」


「〈ホーミングジャベリン〉!!」


 投槍は上空へと飛んでいった。


「どこを狙っているんだよ? このノーコン野郎が!!」


 リョウマたちがボーンナイトたちと接触した。

 その実力はほとんど互角と言ってよかった。

 意外だ、聖痕を入手しているのに、こんなに()()のか。


 後方の魔術師たちが悲鳴をあげた。

 リョウマたちは目の前のボーンナイトに手一杯で、背後を振り向く暇はない。

 俺の投擲した槍が、リョウマの後頭部を吹き飛ばした。


「――がッ!?」


 殺した。

 この手で、地球人を。


 聖痕の存在と探し方を知っている冒険者の存在は危険だ。


「目的の対象は殺した。ベルナベル、後はひとりも逃すな」


「うむ、心得たのじゃ」


 黒い風が走る。

 長い髪をひるがえしながら、赤い爪がボーンナイトと戦っている前衛ふたりを瞬殺した。

 そして三体のボーンナイトを置き去りにして、後衛の三人に迫る。


 魔術はことごとく弾かれ、赤い五本の線が後衛魔術師たちを八つ裂きにした。

 戦闘終了、俺たちの完全勝利だ。


 リョウマの聖痕がひらひらと俺のもとへ飛来する。


「聖痕を入手しているからもっと強いかと思っていたけど、あっけなかったな」


「当然じゃろ。あの聖痕の持ち主な、主のレベルの半分もなかったぞ」


「そうだったのか。でも俺はレベルが上がっても体力とか伸びないぞ」


「主はレベルが上がっても身体能力が伸びない代わりに、魔力だけがガンガン伸びていくタイプじゃな。だから主のボーンナイトは格下相手に余裕をもって戦えたのじゃ」


 実のところ、ボーンナイトとリョウマが斬り合いをしたら、最終的にボーンナイトが勝っていただろう。

 剣の技量は互角程度だったが、ボーンナイトは技巧派ではない。

 パワーとタフネスで相手を叩き潰す力戦派なのだ。

 巨大な大剣と盾、そして全身を覆う甲冑を身にまとい、その重量差がありながら互角だった時点で剣技の腕前はボーンナイトが上。

 さらに戦い続ければ体力を消耗する人間族(ヒューマン)と、いくら動いても体力など存在せず動き続けるアンデッドとの差も見過ごせない。

 また盾と甲冑をなんとかしたとしても、剣は硬い骨の身体のどこを狙っても有効打を与えるのは難しい。

 逆にリョウマたち生身の身体は、ひとたび傷を受ければ動きが鈍る。

 どう考えても、ボーンナイトの方が強かった。


 ……そりゃ経験値をバカスカ入手してレベルをガン上げしている俺とじゃ差があって当然か。


「ベルナベル。聖痕を入手したから、今日はもう帰還しよう」


「分かったのじゃ」


 俺たちは本体のいる〈隠れ家〉に〈帰還〉した。


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