47.カーシャ、かわいい。
翌朝、戻って来た〈代理人〉と記憶を統合する。
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈ホットライン〉のクラススキルを習得しました》
これは……いわゆる通信スキルだな。
登録した相手と会話をやり取りできる、便利なスキルだ。
ひとまず本体と〈代理人〉、ベルナベルとカーシャを登録しておくことにしようか。
一対一でも通話できるし、複数人同時通話も可能な高性能スキルだ。
俺は〈代理人〉を起動して、カーシャにスキルの説明をしに向かわせた。
カーシャに〈ホットライン〉について説明すると、いたく感激して抱きつかれてしまった。
「里に異変が生じたら、本体の方に連絡してくれ。そうすれば全員と会話ができるようになるから」
「本体……ですか? あの、この本体と代理人というのは何が違うのでしょうか? 両方ともコウセイ様なのですよね?」
カーシャの元に来ている俺が、実はスキルで出来た偽物であると明かすのは、時期尚早な気がする。
少し考えて、嘘をつくことにした。
「本体というのは、〈ホットライン〉を全員で使うときに形式的に通話するときの緊急連絡先だと思ってくれ。代理人の方は緊急性がないときに使う連絡先だね。両方とも確かに俺なんだけど、用途で使い分けるために分けてあると考えて欲しい」
「なるほど。本体は緊急時に、代理人の方はそうでないときに使うのですね。分かりました」
素直さに心が痛む。
カーシャは頬を染めておずおずと俺を見上げた。
「あの……その……もしも緊急でなくとも、コウセイ様のお声を聞きたいときは、代理人の方に連絡をしても、よろしいのでしょうか?」
カーシャ、かわいい。
「ああ。もちろんだとも」
「分かりました。ありがとうございます」
用事は済んだので、名残惜しいが今日も聖痕探しの冒険だ。
俺は一旦、〈隠れ家〉に戻ってからベルナベルとともに〈隠れ家Ⅱ〉で昨日の続きから歩くことにした。
〈精霊:使役〉で方角を確認しながら歩くこと数時間。
方角しか教えてくれなかった精霊が、あとどのくらいで到着するのか教えてくれるようになった。
ベルナベルに問うと、これは距離が近づいてきたことの証左らしい。
あと少しで通算むっつ目の聖痕の在り処にたどり着く。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 45
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉
〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉
〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉
〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンナイト召喚〉〈別荘〉
〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈防犯カメラ〉
〈ホットライン〉〈アイテムボックス〉〈経験値20倍〉
〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉
〈従魔:マーダーホーネット〉》
面白い、続きが読みたい、そういった読者様は評価とブックマークで応援してください。
評価とブックマークは作者のモチベーションに関わるため、是非ともお願いします。




