46.……なんだそれ、怖すぎだろ。
マーダーホーネットの巣を青葉族の隠れ里に作らせるよう命じてから、俺は宿に一旦、戻って来た。
記憶の統合をして、再び〈代理人〉を起動した。
さて俺とベルナベルはこのまま夕食まで宿で過ごすことにする。
〈代理人〉はカーシャとイチャイチャしてくるといい。
俺たちは〈代理人〉を別荘に送り出して、俺は〈匿名掲示板〉の管理を、ベルナベルはベッドでゴロゴロして暇を潰していた。
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈防犯カメラ〉のクラススキルを習得しました》
このスキルはどうやら自宅と認識されている領域のどこでも監視できるらしい。
しかも複数を同時に仕掛けることができるときた。
実体としてカメラを設置するわけでもなく魔法で映像を取得するので、監視がバレる心配もない。
なかなか便利ではないか?
ひとまず青葉族の隠れ里の広場、門、マーダーホーネットの巣、別荘の周辺に仕掛けることにした。
あとは宿の自室だな。
必要があれば牢獄にしかけてもいい。
ズラりと並んだカメラからの映像をときどき見て、異変がないかチェックすればいいだろう。
本体の仕事が増えたが、大した手間ではないしいいか。
ベルナベルが新しい魔法の気配を察知したのか、こちらをジッと見てくる。
「また主は面白そうなスキルを習得しておるのう」
「基本的に宿から出られないから、特殊なスキルばかりになりがちなんだよ」
「とはいえ青葉族の隠れ里は自らの領域として認識されておるのじゃろう? 〈隠れ家〉に籠りっぱなしにならずとも別荘でカーシャと過ごすことはできよう」
「できるけど、俺は俺でやりたい仕事があるしなあ。カーシャと一日中、一緒にいても向こうは気が休まらないんじゃないかな」
リモートワークで家に居座る感じになると思う。
仕事をしているのが他から見て分かりづらいから、話しかけられたりしそうで気が散りそうだ。
本体である俺は〈隠れ家〉で大人しくしているのが一番だと思う。
「ま、主が良いなら別にそれで良いが」
時間になったので、ふたりで夕食を摂って部屋にまた戻ってくる。
今日のベルナベルは〈淫夢〉で精を集めてくるらしい。
いそいそと悪魔モードになってシュン、と消えた。
前から疑問だったのだが、あれは瞬間移動系の魔術かスキルだよな。
〈空間:移動〉とかありそうだ。
ベルナベル自身はサキュバスとかそういう系統の悪魔だが、やたらと魔術に関して通じている気がする。
空間属性の魔術がやたらと多彩だし、〈水:浄化〉や〈火:攻撃〉など普通の属性も持っていた。
そもそも七大罪の悪魔っていうのはなんなんだろうか。
本人に聞いてもいいのだが、なんとなく知れば変な深みに嵌りそうで嫌なんだよなあ。
七大罪を冠した悪魔のひとりということは、他に六人もベルナベルと同格の悪魔がいるということに他ならない。
……なんだそれ、怖すぎだろ。
あの無敵の悪魔が他にもいるとか、悪夢でしかない。
しかも味方じゃない可能性もあるのだ。
今なら魔術師ギルドのマスターであるリリアレットがあれだけ怖がった理由も分かろうというものだ。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 43
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉
〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉
〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉
〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンナイト召喚〉〈別荘〉
〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈防犯カメラ〉
〈アイテムボックス〉〈経験値20倍〉〈契約:ベルナベル〉
〈隷属:青葉族〉〈従魔:マーダーホーネット〉》
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