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初期クラスが自宅警備員であるため一歩でも宿から出ると経験値が全く得られなくなるらしいので、自室に引きこもります!  作者: イ尹口欠
聖痕収集編

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45.まったく可愛くない。

 沼地を脱して平原を歩く。

 森と違って茂みもないし、木がまばらに生えているだけなので見通しもよい。

 日差しと風が心地よい。

 ピクニック日和だな、と思っていると、虫の羽音が聞こえてきた。


「む、いかんな。主よ、魔物を刺激してしまったようじゃ」


「〈威圧〉でか? 虫っぽい羽音がするけど……」


「うむ。マーダーホーネットという巨大なハチじゃな」


 マーダーってことは殺人ハチか。

 怖い名前だ。


「ふむ、わしの〈威圧〉に屈しないという点では〈テイム〉に向いておる魔物じゃぞ」


「強いのか?」


「素早く飛び、尾の毒針に刺されたら死にかねん相手じゃ」


「危険そうだなあ」


「わしの〈威圧〉に耐えている時点で危険な相手になるのは当然じゃな。しかし働き蜂を〈テイム〉するのはもったいない。どうせなら女王蜂を〈テイム〉するのが良いじゃろ」


「更に難易度が上がってないか?」


「じゃが、そんなことを言っておったら何も〈テイム〉できぬぞ」


「……そうだな。ベルナベルが協力してくれるなら、〈テイム〉も簡単なんだけど。手伝ってくれないか?」


「わしが手を出したら意味がないぞ?」


「捕まえることってできないか? もし捕らえられれば、〈牢獄〉に入れてじっくり〈テイム〉できるんだけど」


「ほう、考えたのう。〈空間:拘束〉あたりを使えば可能じゃ」


「よし、それで頼む」


「女王蜂一匹だけでは役に立たぬ。働き蜂も二、三匹ほど拘束して〈テイム〉すると良い」


「分かった。拘束は頼む」


「うむ。では巣に向かうとしよう」


 ブンブンと羽音がうるさい。

 全長二メートルほどもある巨大なハチが、多数飛び交っていた。

 尾の毒針は五寸釘のような太さと長さがある。

 あれに刺されたら毒がなくても死ねそうだ。


「よし、大半は殺してしまおう。巣も破壊せねば女王蜂と対面できぬしな」


「分かった」


 俺は武装したボーンナイトを三体召喚する。

 ベルナベルは爪をひるがえしながら、巣の方へ突撃していった。

 ひとまず〈テイム〉に必要ないマーダーホーネットを間引く作業からだ。


 ボーンナイトは完全武装しているので、マーダーホーネットの針も鎧や盾で防いでいる。

 というかそもそも鎧を貫通したところで中身はスケルトンだ。

 刺さる部分もないし、毒も効果がない。

 相性が良いため、バッサバッサとマーダーホーネットを斬っていく。


 ベルナベルは既に巣の破壊に取り掛かっていた。

 周囲から襲いかかってくる働き蜂どもは爪で瞬殺している。

 そうして、遂に女王蜂と対面することになった。


 女王蜂は働き蜂よりも更に巨大だった。

 しかしあまり好戦的ではないようで、働き蜂をけしかけるだけで自身は動こうとしない。

 ベルナベルの〈空間:拘束〉で固められ、こちらに放って寄越された。


 ……って、働き蜂がブチギレてこっちに来るんだが!!


 慌ててボーンナイトを俺の方へ戻して、追加で更にボーンナイトを三体増やす。

 六体のボーンナイトに守られた俺は、〈空間:防御〉で全身を覆って防御に務める。

 マーダーホーネットが殺到して非常に怖い思いをしたが、数を減らしていき、なんとか無事に働き蜂も三匹、ベルナベルが拘束して戦闘は終わった。


「マーダーホーネットの毒針はそれなりの金額になるが、回収が面倒じゃな。それより巣の蜂蜜の方を確保しておきたいのう」


「蜂蜜か。あれ結構、高いんだよな」


 砂糖も蜂蜜も、この世界では高額な嗜好品だ。

 ベルナベルは丁寧に巣を破壊していき、俺に大きな破片を渡してくる。

 〈アイテムボックス〉に巣の破片を仕舞ってから、拘束した女王蜂と働き蜂を連れて〈牢獄〉へ向かった。


 〈牢獄〉に入れられたモノは死ぬことがない。

 だから俺は〈創造:槍〉で散々にマーダーホーネットたちを痛めつけて、上下関係を知らしめた。

 やり過ぎたら〈時間:治癒〉で治してやったし、餌となる肉もあげた。


 そして遂に、女王蜂と働き蜂三匹を〈テイム〉することに成功したのだった。


 ……予定とは違う展開だけど、まあいいか。


 アーチャドの狼のような相棒を期待していたのだが、デカいハチが四匹だ。

 まったく可愛くない。


「これは青葉族の集落で養蜂でもやるか」


「そうじゃな。連れて行っても役に立つとは思えぬ。青葉族の集落の防衛にも使えるし、蜂蜜も取れる。なかなか良い魔物を〈テイム〉できたな」


「ああ、……うん」


 俺に従順なマーダーホーネットの女王蜂と働き蜂。

 青葉族の集落の一角に巣を作り、蜂蜜集めをすることになりましたとさ。


《名前 コウセイ 種族 人間族(ヒューマン) 性別 男 年齢 30

 クラス 自宅警備員 レベル 41

 スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉

     〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉

     〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉

     〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉

     〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンナイト召喚〉〈別荘〉

     〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈アイテムボックス〉

     〈経験値20倍〉〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉

     〈従魔:マーダーホーネット〉》


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