44.それはかなり難易度が高い。
《聖痕をその身に宿しました。強化するスキルをひとつ指定してください》
当然、指定するのは〈経験値15倍〉だ。
《〈経験値15倍〉のスキルが〈経験値20倍〉に進化しました》
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈写し技Ⅴ〉のクラススキルを習得しました》
早速、レベルアップした。
遂にいつつ目のコピースキルだ。
これの使い道は〈代理人〉に一任しよう。
俺は〈代理人〉を起動して、別荘に送った。
俺とベルナベルは宿で夕食を摂った後、ベッドの上の格闘技に興じることとなった。
俺は別荘でカーシャと夜を共にして、カーシャの作った朝食を食べていた。
カーシャの立場は俺にあてがわれた侍女という立場だが、こうしていると新婚さんみたいだ。
幸せを噛み締めていると、窓の外でアーチャドが狼を躾けているのが見えた。
〈魔力眼〉で見れば狼は魔力を宿している、魔物だ。
「あれは狼の魔物じゃないか。里に入れて危険はないのか?」
「はい。あれはテイムしているのです。狩りに役立つのだそうですよ」
「へえ……テイムか」
アーチャドは毅然とした態度で狼を殴った。
驚いて見ていると、狼は段々と上下関係を認識したようで、アーチャドに従順になっていく。
……これ、面白そうだな。
俺は〈写し技Ⅴ〉を起動した。
《現在の〈写し技Ⅴ〉の対象は以下の通りです。
〈テイム〉〈威嚇〉〈鋭敏嗅覚〉》
《警告。〈写し技Ⅴ〉を〈テイム〉に変化させますか?》
変化させた。
ベルナベルに相談しなかったが、魔物を躾けて配下にできるのは面白そうなので良いのだ。
俺はカーシャに街に戻る、と伝えて宿に帰還した。
記憶を本体と共有してから再び〈代理人〉を起動する。
ヒドラを倒したので、また新しく聖痕を探す冒険に出かける必要があった。
俺とベルナベルはヒドラを倒した沼地にやって来ていた。
早速、俺は〈精霊:使役〉で聖痕を探すことにする。
「世界の運行を司る精霊たちよ。我が命に従え。聖痕を探し、在り処を俺に伝えろ」
精霊たちが散っていく。
しばらく待っていると、精霊が戻ってきて、新しい聖痕の在り処を教えてくれた。
「今度は向こうの方角らしい」
「分かった。ところで〈テイム〉とは面白いスキルを習得しておるのう」
「ああ、それで相談があったんだ。〈テイム〉するのに手頃な魔物が欲しい。〈威圧〉しっぱなしだと魔物と遭遇しないだろ?」
「主よ、わしの〈威圧〉に耐えられぬような雑魚を今更、〈テイム〉してどうするんじゃ? どうせならわしの〈威圧〉に耐えられるような奴を〈テイム〉するのじゃ」
「ええ? そんな魔物、〈テイム〉できるかな……」
「〈テイム〉の仕方は簡単じゃ。上下関係を徹底的に叩き込むこと。魔物が相手なら、自分の方が強いことを示すのじゃ。その上で餌などを与えるなどの慈悲を見せることで、魔物を〈テイム〉することができるのじゃ」
「ふむふむ」
「つまり、わしの〈威圧〉に耐える魔物を主が単独で叩き伏せる必要があるわけじゃな」
「……え?」
それはかなり難易度が高い。
俺はペット兼バトル要員になる程度の魔物を想定していたが、ガチの戦闘狂を従える予定はなかった。
とはいえ、半端な魔物を〈テイム〉したところで戦いについてこれないでは困るのも確かだ。
……ひとつ妙案が浮かんだが、実行できるかは要相談だな。
ともかく聖痕のある方角へと、俺たちは歩き始めた。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 41
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉
〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉
〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉
〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンナイト召喚〉〈別荘〉
〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈アイテムボックス〉
〈経験値20倍〉〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉》
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