41.やっぱ責任は取らないといけないよなあ。
歩くこと数時間。
ときどき〈精霊:使役〉で方角を確かめながら、森を進んでいく。
日は大きく傾いており、今日中には到着できそうもないことが分かった。
「方角は分かるけど、距離までは分からないんだよな」
「ううむ、進行方向から強い魔力の波動は感じるな。じゃが遠い。もう一日か二日ほどかかるやもしれぬ」
「そうだったか。結構、距離があるんだな」
「うむ。今日は一旦、戻るか」
「そうしよう」
俺は〈隠れ家Ⅱ〉を使って宿へ戻った。
記憶を統合してから、俺とベルナベルは夕食へ。
〈代理人〉は昨日と同じく別荘へ送った。
今晩、ベルナベルは〈淫夢〉で精を集めてくるつもりらしい。
昨晩はハッスルしまくってしまったので、俺としては助かる。
連日はさすがにキツいのだ。
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈隠れ里〉のクラススキルを習得しました》
遂に自宅から里になってしまった。
効果はというと、その名の通り許可なく外部からの侵入を阻害する結界が張られた領域を作り出すようだ。
なお許可は個別にも出せるが、〈代理人〉、契約状態のベルナベル、隷属状態の青葉族はまとめて許可を出すことができる。
……これは青葉族の集落に展開しておくのがいいかもな。
魔族は祖先に悪魔がいることから、基本的に人類と敵対しているらしいし。
冒険者などに集落が見つかれば、大きな戦いになるだろう。
魔物との戦いで戦力を幾らか失っていたようだし、隷属している青葉族は俺の庇護下にあると言っても過言ではない。
主人として守るべきだと思うのだ。
翌朝、〈代理人〉と記憶を統合する。
またもカーシャとイチャイチャしていたようだ。
ベルナベルではないが、〈夜の王〉〈性豪〉のある俺の相手は負担じゃないだろうか。
朝食後、〈代理人〉の俺はベルナベルを連れて青葉族の集落に移動した。
別荘ではカーシャが健気に掃除を頑張ってくれていた。
「あ、コウセイ様。……とベルナベル様。何かご用でしょうか?」
「用事を済ませに来ただけだよ。アーチャドはいるかな?」
「この時間ならまだ狩りに出てはいないと思います」
「ありがとう。掃除、お疲れ様」
「い、いえ。私の仕事ですから!」
別荘を出ると、ベルナベルがニタニタと下卑た笑みを浮かべて耳元に口を近づけてきた。
「随分と仲良くなったようじゃのう」
「べ、別にいいだろ」
「うむうむ。良いことじゃ。その調子で交わり続ければ、いずれそなたの子を孕むじゃろうなあ」
言われてギクリとする。
そういえばこの世界の避妊ってどうなっているんだ?
「わしは淫魔ゆえ、望まぬ限り子を孕むことはない。しかしあの娘っ子はそうではないからの。やることやっている以上は、いずれ結果が伴うじゃろ」
「そうか……」
やっぱ責任は取らないといけないよなあ。
カーシャを守るためにも、この集落を〈隠れ里〉にすることは必須だろう。
アーチャドは弓を背負って狩りに出かけるところだった。
「コウセイ様。ベルナベル様。おはようございます。集落にご用事でしょうか?」
「ああ。この里の防衛についてなんだが……」
俺のスキルである〈隠れ里〉について説明した。
現在、この集落は外部とのやり取りがない。
完全に自給自足生活をしているため、旅商人もやって来ることはないそうだ。
「じゃあこの集落を〈隠れ里〉にして問題はないな?」
「はい。是非ともお願いします」
俺は青葉族の集落を〈隠れ里〉に指定した。
ドーム状の結界が集落全体を覆った。
「これでよし」
「ありがとうございます、コウセイ様」
アーチャドが感激した様子で言った。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 37
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉
〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉
〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉
〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンナイト召喚〉〈別荘〉
〈夜の王〉〈隠れ里〉〈アイテムボックス〉〈経験値15倍〉
〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉》
面白い、続きが読みたい、そういった読者様は評価とブックマークで応援してください。
評価とブックマークは作者のモチベーションに関わるため、是非ともお願いします。




