40.俺たちはほくそ笑んだ。
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈従者召喚〉のクラススキルを習得しました》
《〈従者召喚〉と〈スケルトン召喚〉を統合します。〈ボーンナイト召喚〉を習得しました》
ほほう、〈写し技〉で得たスキルと新しいクラススキルが統合とな?
冒険者ギルドから〈代理人〉とベルナベルが戻って来たちょうどそのときに、レベルアップをしたのだ。
「なあベルナベル。〈スケルトン召喚〉が〈ボーンナイト召喚〉に変化したんだが」
「ほう? どれ……うむ、これは強くなったな。魔力を込めれば武装したスケルトンを呼び出せる。そもそもスケルトンよりもハイスペックじゃぞ。良いスキルに進化したものじゃ」
「おお、凄いな。役立ちそうだ」
「うむ。戦闘以外にも使い道がある。土木作業なども命じればできるぞ」
「外見が怖いから忌避されそうだが、便利なのには違いないな」
「さて、……わしは今晩こそ主とまぐわいたい。別荘には〈代理人〉がひとりで行くがよいぞ」
「そうか。昨晩は我慢させたか」
「うむ。たっぷり楽しもうぞ、主」
そんなわけで、〈代理人〉を別荘に派遣して俺はベルナベルとたっぷりベッドの上で運動に勤しむこととなった。
朝食後、〈代理人〉が戻って来たので記憶の統合をする。
おっと、向こうもカーシャとラブラブでしたか。
朝食も一緒に摂ってまあ、なんと初々しい。
……まあ中身は俺なんだけどな。
ベルナベルに一晩中ハードに搾り取られた俺も、カーシャとラブラブな俺も、同じ俺なのである。
人生の中身が濃いなあ。
地球にいた頃じゃ考えられん。
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈夜の王〉のクラススキルを習得しました》
一瞬、エロ系かと思ったがどうやら違うらしい。
日が沈んでいる間、つまり夜中にステータスが強化されるとのことだ。
自宅警備員たるもの、深夜にチカラを発揮するものらしい。
ていうかステータスが強化されるってことは、〈性豪〉も強化されるんじゃねえの?
やっぱりエロ系だったか。
ベルナベルが知ったら喜びそうだが、敢えて言う必要もないだろう。
今日もベルナベルは〈代理人〉と一緒に冒険に出かけるらしい。
こちらとしても強力な魔物は金になるので、どんどん冒険してもらって構わない。
というわけで、俺は〈代理人〉を起動して、〈匿名掲示板〉の運営に取り掛かることにした。
「ベルナベル、今日はどちらへ行こうか?」
「うむ、少し待つのじゃ」
ここはレイスを倒した森の中だ。
ベルナベルは次に戦う相手を探すべく、魔力の高いモノを探している。
モノを探すといえば、俺にも手段があることを思い出した。
「世界の運行を司る精霊たちよ。我が命に従え。ベルナベルが戦って楽しめそうな相手を探して教えてくれ」
俺の突然の魔術行使に目を丸くしたベルナベルが、「その手があったか!」と手を叩いた。
「確かに闇雲に魔力を探知するより、〈精霊:使役〉に頼った方が確実じゃ。よくぞ気づいたな主よ」
「使わないんじゃ、宝の持ち腐れだからな。と言っても今、思いついたんだけど」
「いや、面白い使い方じゃ。……む、そういえばそなたらは聖痕とやらを探しているのではなかったか?」
「あ、そうか。聖痕も精霊に探させればいいのか……」
とはいえ積極的に聖痕を集めたいとも思わないのだが。
しかし既にふたつ入手している以上、最後の殺し合いに巻き込まれかねない。
聖痕はスキルを強化するという副次効果を知っているのは、現在聖痕を入手しているリリカと俺のみだ。
この効果が知れたら、もっと聖痕探しに躍起になる地球人も増えるだろう。
「悪い、ベルナベル。聖痕探しを優先したい。アレは他の同胞たちが入手する前に押さえておきたい」
「分かった。主がより強いチカラを手にするのじゃ。悪くないぞ」
戻って来た精霊に今度は聖痕の在り処を探すように命じた。
割りと早くに戻った精霊からは、先程の命令と同じ答えが帰ってきた。
……つまりベルナベルが戦って楽しめる相手が、聖痕の持ち主というわけか。
「喜べベルナベル。どうやら強い魔物が聖痕を持っているらしい。聖痕を得て強くなったのか、元から強かったのかは分からないが」
「ふン? つまり、わしが戦って楽しめる相手が聖痕を持っておるのじゃろう?」
「そうだ」
一石二鳥の相手に、俺たちはほくそ笑んだ。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 35
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉
〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉
〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉
〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉〈ボーンナイト召喚〉〈別荘〉
〈夜の王〉〈アイテムボックス〉〈経験値15倍〉〈契約:ベルナベル〉
〈隷属:青葉族〉》
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