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初期クラスが自宅警備員であるため一歩でも宿から出ると経験値が全く得られなくなるらしいので、自室に引きこもります!  作者: イ尹口欠
聖痕収集編

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38.おいやめろ、可哀想だろ。

 焼肉パーティーは大盛りあがりだった。

 女性は綺麗な衣装に着替え、子どもたちは大はしゃぎで肉を頬張る。

 困ったのは女性陣が俺を誘惑してくることだった。


「コウセイ様。どうか好きな女をお選びください」


 アーチャドが一族の女から好みの子をひとり、差し出すという。

 この集落に来たときの俺の侍女扱いであり、愛人扱いでもあるとのことだった。

 ベルナベルは面白そうに口を開く。


「ひとりもらっておけ、主よ。そうせねば向こうも収まらんぞ」


「おいおい……いいのかこれ?」


「よいのじゃ。青葉族は主に隷属した。なんじゃ、ひとりで足りぬなら好きなだけ抱けばよいぞ」


「いや、ひとりで十分……」


 あ、うっかり言質を取られた。

 これではひとり、選ばなくてはならない。

 仕方ないので、選ぶことにするのだが……見た目が若い。

 元が悪魔と森人族(エルフ)の混血なのでだろうか、女性たちは皆、十代後半くらいの年齢に見える。


 ……地球じゃないし、相手が未成年っぽくてもセーフだと思おう。


 俺が選んだのは、ショートボブの快活そうな子で、名をカーシャというそうだ。


「コウセイ様に選んで頂き、光栄の極みです。どうぞ、ご存分に私めを可愛がってください」


 頬を染めるカーシャにドギマギしながら、横のベルナベルの様子を伺う。


「なんじゃ。わしのことは気にせず、とっととベッドに連れて行ってやるが良い」


「うーん、ベルナベルが良いというなら……」


「伊達に“淫蕩の”ベルナベルを名乗っておらぬ。わしの主ならば、女経験はいくら積んでも足りぬくらいじゃぞ」


「わ、分かった。……カーシャ、ふたりきりになりたい」


 カーシャは耳まで真っ赤になりながら、「では、こちらへ……」と俺の袖を掴んで引っ張っていく。

 祭りの夜は、こうして更けていった。



「昨夜はお楽しみじゃったな?」


「く……っ」


 いつもと逆の立場に立たされていたたまれない。

 ああもうすっかり楽しんでしまった。

 多分だが俺が唯一知っている女性がベルナベルだというのも悪かった。

 あと〈性豪〉のスキルな。

 カーシャはベッドで気絶したように眠っている。

 いや、途中で気絶させたんだっけか?


「……気をやった娘っ子を相手に腰を振り続けるとはなんたる鬼畜じゃ。さすがわしの主。ぷくく」


「く……っ、だって加減が分からなかったんだよ」


「相手が気を失ったことに気づかず攻め続けたのじゃから加減もなにもないのにのう。まあ良い。一旦、宿に戻ってその楽しげな記憶を共有してくるが良いぞ」


「……そうだな。本体も巻き添えにしよう」


 俺は〈隠れ家Ⅱ〉から宿へ戻った。


 宿では本体が〈新聞閲覧〉をしながら〈匿名掲示板〉の管理をしていた。

 〈闇市〉も開いて何が出品されているかチェックしているようだ。


「よう〈代理人〉。焼肉パーティーは楽しめたか?」


「ああ本体。大いに楽しめたから記憶を一旦、共有しよう」


「そうか。分かった」


 〈代理人〉を解除した俺は、その記憶に思わず「なんてこった」と呟いてしまった。

 明らかにけしかけに来たベルナベル、初めての夜で散々に弄ばれたカーシャ。

 うん、悪いのは俺だね。


 しかしどうしたものか。

 部下になった青葉族は放置できない。

 〈隠れ家Ⅱ〉の出口はそのまま集落に設置しておきたい。

 そうすると、ベルナベルとの冒険が不自由になる。

 難しいところだ。


 そんなことを考えていると、ホロウィンドウがポップアップした。


《自宅警備員がレベルアップしました》

《〈別荘〉のクラススキルを習得しました》


 お、これは……。

 どうやら自宅領域内に別荘を建築するという派手なスキルだった。

 しかしちょうどいいことに、青葉族の集落は現在、自宅扱いだ。

 別荘を建てるなら集落だな。


 そしてこの〈別荘〉、なんと〈隠れ家〉と繋がる扉を有しているのである。

 これで〈隠れ家Ⅱ〉は冒険に使えるようになるというわけ。

 早速〈代理人〉を起動して、集落に派遣した。



 俺はアーチャドに聞いて、集落の良い立地に別荘を建てた。

 なかなかオシャレな建物だ。

 レンガ作りで集落の他のログハウスから浮いているが、逆にそれが特別感があって良いとアーチャドは言ってくれた。

 別荘には常にカーシャを置いてくれることになった。

 掃除などしていてくれるらしい。


 肝心のカーシャは、ベルナベルの横でイジられていた。

 おいやめろ、可哀想だろ。


 俺はカーシャをベルナベルから引き剥がして、別荘について説明した。

 距離感が昨日より明らかに近いのは、いたしてしまったからだろう。

 責任は取ろう、そう思った俺だった。


《名前 コウセイ 種族 人間族(ヒューマン) 性別 男 年齢 30

 クラス 自宅警備員 レベル 31

 スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉

     〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉

     〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉

     〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉

     〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉〈写し技Ⅳ〉〈別荘〉

     〈アイテムボックス〉〈経験値15倍〉〈契約:ベルナベル〉

     〈隷属:青葉族〉》


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