31.……ド変態め。
ガイアタイマイ事件があっても時間は比較的たっぷり残っていた。
なので冒険に出発することにする。
俺――もちろん〈代理人〉の方だ――とベルナベルは〈隠れ家Ⅱ〉の扉を通って、昨日の続きから探索する。
しばらく深い森を歩いていると、急に開けたところに出た。
「森を抜けたな」
「うむ。どうやら山じゃな。あの山頂辺りで魔力が渦巻いておる」
次はどうやら山登りらしい。
俺はヒィヒィ言いながらなんとか山登りを敢行する。
「主よ。……体力、なさすぎじゃないのかのう?」
「日頃の、運動不足が、祟っているな……」
「やれやれ。ペースは落とすからゆっくり登ろうぞ」
「ありがたい……」
その辺で拾ったいい感じの木の棒を杖代わりにして、なんとか中腹までやって来たところで夕方になっていた。
「今日はこの辺にして帰るか?」
「そうじゃな。夕食が楽しみじゃ。普通の食事も楽しいものじゃのう」
〈隠れ家Ⅱ〉の扉を設置して、宿へ帰還した。
〈代理人〉を解除した途端に、脳内にふたつの記憶が同時に存在するという気持ちの悪い思いをしながら、なんとか吐き気に耐えて記憶の同期を終えた。
続けていけばこの感覚にも慣れるのだろうか。
夕食へ行こうとしたところ、ホロウィンドウがポップアップした。
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈睡眠不要〉のクラススキルを習得しました》
さすがは〈経験値10倍〉様だ、もうレベルアップしたのか。
しかし新しいクラススキルは文字通りのようだな、俺はもう眠る必要がなくなったらしい。
夕食後は、ベルナベルに誘われて〈隠れ家〉に連れ込まれた。
昨晩は〈淫夢〉で精を集めてきたから、今日は俺の番というわけだ。
「のう主。頼みがあるのじゃが」
「なんだ?」
「〈代理人〉を交えて3Pがしたいのじゃ」
……ド変態め。
翌朝、俺は疲労こそしているものの、徹夜してもまったく気にならなくなっていた。
疲労の原因は昨晩ハッスルしたせいなので、何もしなければ普通に夜も寝ずに過ごせるらしい。
散々ふたりがかりで攻められて上機嫌のベルナベルは、俺にしなだれかかって、〈匿名掲示板〉と〈新聞閲覧〉を覗いていた。
「お、主よ。新聞にわしらが載っておるぞ」
「そうだな。昨日のガイアタイマイ瞬殺事件か。あれ俺たちがいなければどうなっていたんだ?」
「そりゃ甚大な被害が出ておったじゃろうなあ」
あんな魔物がいるなんて、この世界、割とヘヴィだよな。
「ガイアタイマイっていうのは、この世界ではどのくらいの強さになるんだ? 魔物の中でもかなり強いとか?」
「分からんのう。竜種が最強格なのは確かじゃが、わしの方が多分強いしなあ」
ドラゴンよりベルナベルの方が強いのか。
なんとなく世界のヒエラルキーの最上位に彼女が君臨している気がしなくもない。
多分〈空間:攻撃〉の切断を防ぐことのできる奴がいるとも思えないし。
ドラゴンだろうと瞬殺しかねないんだよなあ。
「ぬ、主よ。朝食の時間じゃぞ」
「おっと、そうだな。行くか」
俺たちは朝食に出向いた。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 25
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈聞き耳〉〈忍び足〉〈性豪〉
〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈隠れ家〉〈相場〉
〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉〈魔力眼〉〈代理人〉〈隠れ家Ⅱ〉
〈二重人格〉〈睡眠不要〉〈アイテムボックス〉〈経験値10倍〉
〈契約:ベルナベル〉》
面白い、続きが読みたい、そういった読者様は評価とブックマークで応援してください。
評価とブックマークは作者のモチベーションに関わるため、是非ともお願いします。




