170.そういう日もある。
日が暮れて〈代理人〉たちが記憶の共有をしに戻ってくる。
さて今日のリザルトは?
まずエチゴヤがアサエモンから抜き取った技能の記憶を確認しておこう。
記憶を共有すると、たくさんのスキルを得た。
《〈殺人嗜好〉のスキルを習得しました》
《〈剣聖〉のスキルを習得しました》
《〈猿飛〉のスキルを習得しました》
《〈暗器〉のスキルを習得しました》
《〈詐欺〉のスキルを習得しました》
《〈演説〉のスキルを習得しました》
《〈印象操作〉のスキルを習得しました》
《〈罠設置〉のスキルを習得しました》
《〈罠発見〉のスキルを習得しました》
《〈罠解除〉のスキルを習得しました》
《〈人肉食〉のスキルを習得しました》
《〈皮革〉のスキルを習得しました》
《〈服飾〉のスキルを習得しました》
《〈心理〉のスキルを習得しました》
《〈恫喝〉のスキルを習得しました》
《〈脅迫〉のスキルを習得しました》
《〈洗脳〉のスキルを習得しました》
《〈統率力〉のスキルを習得しました》
《〈権謀術数〉のスキルを習得しました》
《〈賄賂〉のスキルを習得しました》
五人の死刑囚のスキルが統合され、結果的に圧縮されたものがこれらになる。
幾つかは習得していると自分に悪影響があるので、早々に手放したいところだ。
〈殺人嗜好〉は殺人に忌避感がなくなり、愉悦を覚えるようになる危険なスキルである。
当然のことながら自分で所持する気はないので、ボーントーチャーに統合するべきだろう。
〈猿飛〉は身軽に行動するスキルで、運動能力が飛躍的に上昇する。
とはいえレベルアップで身体能力が向上しない俺が持っていても宝の持ち腐れだ。
〈暗器〉や罠関連のスキルと合わせてボーントーチャーに統合するのがいいだろう。
《〈殺人嗜好〉と〈猿飛〉と〈暗器〉と〈罠設置〉と〈罠発見〉と〈罠解除〉と〈ボーントーチャー召喚〉を統合します。〈スカルアサシン召喚〉を習得しました》
スカルアサシンを召喚する。
相変わらず腰に様々な道具を吊るしたベルトをしたスケルトンだ。
以前と異なるのは、〈暗器〉による攻撃能力と〈猿飛〉による機動力を身に着けたことだろう。
また罠や鍵などに対応できることから、大迷宮の宝箱は時間のかかる〈精霊:使役〉ではなくスカルアサシンに任せるようにするのが良さそうだ。
〈人肉食〉は文字通りのスキルだ。
手放したいので、霊馬に統合することにした。
《〈人肉食〉と〈霊馬召喚〉を統合します。〈鬼馬召喚〉を習得しました》
召喚すると、二本の短めの角が生えた筋骨隆々の馬体に、装甲を纏った姿に変貌していた。
人肉食が可能となったことで霊的な格はむしろ上がったらしく、赤黒い霊体の身体は非常に威圧的だ。
〈剣聖〉はボーンガーディアンに統合すれば間違いはないだろう。
《〈剣聖〉と〈ボーンガーディアン召喚〉を統合します。〈スカルガーディアン召喚〉を習得しました》
召喚してみれば、特に変化はない。
だが剣の扱いは上達したはずなので、戦力アップが見込まれる。
残った十二のスキルは一旦、自分で保有しておくか。
一部はまっとうに使えるスキルだが、ほとんどはロクでもない使い道しかない。
しかし話術系スキルなどは喋ることをしないスケルトン召喚系に与えたところで無駄になるので、取り敢えず自分で持っておくことにするしかないだろう。
宝箱設置をしているダンジョン管理人からは今回、有用なスキルオーブは入手できなかったそうだ。
そういう日もある。
〈天運〉さん、仕事してくださいな。
大迷宮探索部隊は第二百階層でダンジョンコアに遭遇したようだ。
もちろん破壊したら宝箱の入手ができなくなるので、撤退した。
ここからは第百二十階層と第二百階層を往復して宝箱を探す耐久戦だ。
早くオリハルコンが欲しいものである。
おっと有用なスキルオーブをひとつ入手してきたらしい。
〈ゴースト召喚〉だ。
確かゴーストは喋ることができたはず、話術系の厄介なスキルを押し付けてしまおう。
《〈ゴースト召喚〉のスキルを習得しました》
《〈詐欺〉と〈印象操作〉と〈心理〉と〈恫喝〉と〈脅迫〉と〈洗脳〉と〈ゴースト召喚〉を統合します。〈ウィスパーホロウ召喚〉を習得しました》
ウィスパーホロウは他者に取り憑き、様々な言葉を用いて対象を都合よく動かすらしい。
〈印象操作〉で良い霊に偽装したりすることもできるので、相手の警戒心を解くのも容易いだろう。
結果、俺の習得スキルは〈演説〉〈皮革〉〈服飾〉〈統率力〉〈権謀術数〉〈賄賂〉となった。
〈皮革〉〈服飾〉だけが生産系で浮いているが、衣服の見立てができるようになる〈服飾〉は正直、悪くない。
〈演説〉〈統率力〉〈権謀術数〉〈賄賂〉については悪徳政治家みたいなラインナップだが、魔王シューベルト辺りには似合いそうかもしれないな。
「主よ、今日はわしとまぐわる日じゃぞ」
「主様は私を可愛がるべき」
「分かっているよ。……ふたりともお手柔らかに頼みます」
そんな手心を加えてくれるふたりじゃないのは分かっていたはずなのに。
結局、いつも通りの激しい運動会になってしまったとさ。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 20
クラス 自宅警備員 レベル 107
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈念話〉〈演説〉〈槍聖〉〈騎乗〉
〈暗視〉〈気配察知〉〈危険感知〉〈気配遮断〉〈魔力隠蔽〉
〈精密作業〉〈性豪〉〈料理〉〈醸造〉〈錬金術〉〈農耕〉〈皮革〉
〈服飾〉〈解剖知識〉〈統率力〉〈礼儀作法〉〈権謀術数〉〈賄賂〉
〈審美眼〉〈酒豪〉〈感覚遮断〉〈オートマッピング〉〈マナ集積〉
〈呪破〉〈福音の祈り〉〈新緑の魔手〉〈麻痺眼〉〈未来視〉〈直感〉
〈鬼馬召喚〉〈スカルアサシン召喚〉〈ウィスパーホロウ召喚〉
〈スキル強制統合〉〈闇:召喚Ⅱ〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉
〈創造:槍〉〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉〈通信販売〉
〈新聞閲覧〉〈相場〉〈個人輸入〉〈魔力眼〉〈多重人格〉
〈睡眠不要〉〈スカルガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉
〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈監視カメラ〉〈ホットライン〉
〈帰還〉〈百面相〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉
〈眷属強化〉〈ダンジョンマスター〉〈浮遊島〉〈城塞〉
〈リサイクル〉〈永続召喚〉〈地下迷宮〉〈天運〉
〈ボーンスナイパー召喚〉〈地脈操作〉〈霊脈操作〉〈全異常無効〉
〈王威〉〈寄生〉〈天冥眼〉〈王道楽土〉〈記憶奪取〉
〈アイテムボックス〉〈経験値100倍〉〈契約:ベルナベル〉
〈契約:アカリリス〉〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉
〈隷属:魔王軍〉〈従魔:マーダーホーネット〉
〈従魔:レッドキャトル〉〈従魔:アイスドラゴン〉》