155.試しに召喚してみるか。
「ところで主よ。若返っておるようじゃが?」
「あ、そうだった。世界樹の実で若返りの薬を錬成したんだ。今の俺は二十歳だ」
「そうか。では若返った主と肌を重ねるべきじゃな」
じゅるり、と舌なめずりしたベルナベルは、アカリリスの方に「主と契約したからには、主に身も心も捧げるんじゃぞ」と言い放つ。
「ふふ、堕天使にはお似合い。主様にご奉仕する。夜になったらそうすべき」
「お、おう」
俺はベルナベルとアカリリスに身を寄せられる。
シュルン、とアカリリスの黒い翼は消えた。
どうやらベルナベルと同じく翼の出し入れは自在らしい。
しかしアカリリスの外見はちょっと幼いな。
下手するとクロエより年下に見える。
……ていうか。
アカリリス、股間のモノが当たってるんだけど。
両性具有だから両方ついているんだろうなあ。
「よいかアカリリス、主の後ろの処女を奪うのは無しじゃぞ」
「分かってる。主様はノーマルみたいだから、すべきじゃない」
「…………」
俺は今夜が急に不安になってきていた。
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈狙撃手召喚〉のクラススキルを習得しました》
《〈ボーンアーチャー召喚〉と〈狙撃手召喚〉を統合します。〈ボーンスナイパー召喚〉を習得しました》
おっとレベルアップしたぞ。
どうやら〈ボーンアーチャー召喚〉が〈ボーンスナイパー召喚〉に進化したらしいが……。
試しに召喚してみるか。
ボーンスナイパーを召喚してみる。
するとスラリとした骨格のスケルトンがクロスボウを構えて登場した。
ベルナベルとアカリリスが興味深そうにボーンスナイパーを観察している。
「主よ、そのボーンスナイパー、なかなかの攻撃力を持っておるぞ」
「主様、そのスケルトンが持つ武器は、なかなかに役立つことでしょう」
ベルナベルとアカリリスが顔を見合わせ、互いに眉を寄せた。
「……分かった分かった。強くなったのは嬉しい。実際、ボーンガーディアンと比較してどうとかあるか?」
「うむ。両者はまったく用途が異なるので、両方召喚して運用するのが正解じゃな。ボーンガーディアンは防御力に秀でた重装歩兵、ボーンスナイパーは強力な射撃能力を保持した遠距離兵種じゃ。ちなみにボーンスナイパーの持つクロスボウの威力は、連射のできない主の〈ジャベリン〉といったところかのう」
「なるほどな。誘導性能のない〈ホーミングジャベリン〉か。……それって結構、威力あるな?」
「そうじゃな。ただ連射は苦手らしい。開幕に一撃、終わり際に一撃がせいぜいじゃろ」
「開幕に〈ジャベリン〉を数発、撃ち込めるだけでも助かるよ。じゃあコイツはかなり使えるようになったんだな」
「そうじゃな。以前とは違うようじゃ」
ボーンガーディアンを見たことのないアカリリスが口をつぐんでいる。
ベルナベルと違って魔法を見る目はないようだ。
いやベルナベルが見えすぎているだけだから、決してアカリリスが劣っているのではないだろうけど。
「主様。主様は私にボーンガーディアンも見せるべき」
「ああ、すまない。召喚するよ」
対抗意識を芽生えさせたアカリリスがずい、と迫ってくる。
俺はボーンガーディアンを一体召喚した。
「…………ベルナベルが言った通りの運用が最適。しかしたかだか人類の割に、主様の召喚スキルは強力過ぎる。レベルも高い。一体、何者か私に教えるべき」
「そうだな。じゃあその辺のことを話しながら、夕方を待つか」
ボーンガーディアンとボーンスナイパーを〈リサイクル〉して、俺はふたりとお茶をして過ごすことにした。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 20
クラス 自宅警備員 レベル 105
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈念話〉〈槍聖〉〈暗視〉
〈気配察知〉〈危険感知〉〈気配遮断〉〈魔力隠蔽〉〈精密作業〉
〈性豪〉〈料理〉〈醸造〉〈錬金術〉〈農耕〉〈礼儀作法〉〈審美眼〉
〈酒豪〉〈感覚遮断〉〈オートマッピング〉〈呪破〉〈福音の祈り〉
〈新緑の魔手〉〈麻痺眼〉〈闇:召喚Ⅱ〉〈空間:防御〉
〈時間:治癒〉〈創造:槍〉〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉
〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈相場〉〈個人輸入〉〈魔力眼〉
〈多重人格〉〈睡眠不要〉〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉
〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈監視カメラ〉
〈ホットライン〉〈帰還〉〈百面相〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉
〈代理人Ⅲ〉〈眷属強化〉〈ダンジョンマスター〉〈浮遊島〉〈城塞〉
〈リサイクル〉〈永続召喚〉〈地下迷宮〉〈天運〉
〈ボーンスナイパー召喚〉〈地脈操作〉〈霊脈操作〉〈全異常無効〉
〈王威〉〈寄生〉〈天冥眼〉〈王道楽土〉〈アイテムボックス〉
〈経験値100倍〉〈契約:ベルナベル〉〈契約:アカリリス〉
〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉〈隷属:魔王軍〉
〈従魔:マーダーホーネット〉〈従魔:レッドキャトル〉
〈従魔:アイスドラゴン〉》